子どもたちと甲状腺がん
 

 
 通常、甲状腺は正常な成長に不可欠なホルモンを分泌する。甲状腺ホルモンの素材はヨードである。しかし、もし事故などで体内に放射性ヨードが蓄積されると、甲状腺がんに冒され、特に子どもではその影響を受けやすく、その処置は急がねばならない。

 1995年末までに旧ソ連で約800名の子どもが甲状腺がんの治療を受け、そのうちの400名以上はベラルーシで発見され、外科治療が施された。爆発の規模より考えると、当時15歳未満の小児の中から、今後数千人の甲状腺がんが発生すると予測されている。

 一方、外科手術後の子どもたちが生涯飲み続けなければならない甲状腺ホルモン剤の問題や、残念ながら首に深く残った傷あとは、彼らの大きな精神的苦痛となっている。さらに最近では、甲状腺以外の臓器におけるがん病変などの発生が懸念されはじめている。