漢方薬のストロング・エビデンス

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漢方薬のストロング・エビデンス

商品コード 50745
編著 元雄 良治/監
新井 一郎/著
判型 B5判
発行日 2018年3月
ページ 392頁
定価(税込) ¥4,968
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内容

●日本東洋医学会が収集したランダム化比較試験(RCT)や診療ガイドラインをベースに、厳選した最新のエビデンスを収録。
●漢方医学独自の考え方や用語を極力使用せず、漢方初学者でも理解しやすいよう西洋医学的なとらえ方で解説。


本書は、『月刊薬事』の人気連載だった「漢方薬ききめのめきき」の内容を拡充、アップデートした書籍です。各処方をいくつかの疾病領域ごとに分類したうえで、グレードの高いエビデンス〔メタアナリシスやランダム化比較試験〕や診療ガイドラインにおける推奨状況を処方ごとに収録しました。また、漢方初学者でも理解しやすいよう西洋医学的な疾患・治療薬のとらえ方でわかりやすく解説しています。最初から読んでも、データ集として途中から読んでも大丈夫。EBMを実践できるように、「ストロング・エビデンス」を薬学者の観点から詳細に紹介した一冊です。

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目次

・本書の使い方
総論 エビデンスの読み方、使い方
1.EBMの基礎知識
2.EBMと漢方薬

各論 ストロング・エビデンス
1.認知症およびその周辺症状に対するエビデンス ――釣藤散、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏
2.悪心・嘔吐や下痢に対するエビデンス ――五苓散、啓脾湯、半夏瀉心湯
3.胃腸虚弱、消化不良などの胃の症状に対するエビデンス ――六君子湯
4.イレウスに対するエビデンス ――大建中湯
5.便秘、痔、腹痛に対するエビデンス ――大黄甘草湯、乙字湯、きゅう帰膠艾湯、桂枝加芍薬湯
6.消耗性疾患に対するエビデンス ――補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯
7.のぼせ・イライラ、肥満に対するエビデンス ――黄連解毒湯、防風通聖散
8.婦人科疾患に対するエビデンス ――桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、温経湯、温清飲、きゅう帰調血飲、当帰四逆加呉茱萸生姜湯
9.かぜ症候群、インフルエンザに対するエビデンス ――葛根湯、麻黄湯、小青竜湯、麻黄附子細辛湯
10.咳嗽に対するエビデンス ――麦門冬湯、清肺湯、滋陰降火湯、神秘湯、桔梗湯
11.咽喉頭異常感症、喘息に対するエビデンス ――半夏厚朴湯、柴朴湯
12.浮腫に対するエビデンス ――柴苓湯
13.腰痛、神経痛など痛みを伴う疾患に対するエビデンス ――牛車腎気丸、八味地黄丸、桂枝加朮附湯
14.こむら返り、頭痛に対するエビデンス ――芍薬甘草湯、呉茱萸湯
15.肝・胆道疾患に対するエビデンス ――茵ちん蒿湯、小柴胡湯
16.そのほかの疾患に対するエビデンス ――当帰飲子、排膿散及湯、黄連湯、白虎加人参湯、加味帰脾湯、柴胡桂枝乾姜湯、治打撲一方

資 料
・各症状・疾患に応じた漢方処方一覧
・各漢方処方の作用機序

クイックリファレンス
・漢方処方別エビデンス一覧
・各診療ガイドラインにおける漢方処方の推奨度一覧
・生薬からみる漢方処方一覧
・副作用からみる漢方処一覧

Column
・漢方薬は日本の薬
・漢方製剤の効能・効果、配合生薬の種類と量はなぜ、メーカーにより異なるのか
・中国の人は、日本の漢方薬の品質は良くて、世界中に輸出されていると思っている
・患者さんに「漢方薬を飲まれていますか?」と聞いてよいか
・漢方製剤はヒヤリ・ハットしやすい
・漢方エキス製剤はお湯に溶かして飲む? 電子レンジで温めてよいか
・医療用漢方製剤と医療用漢方エキス製剤
・漢方製剤の1日量には添付文書に書いてある量の生薬のエキスが入っているとは限らない
・90%の医師が漢方薬を使用しているというけど本当?
・漢方は2000年の歴史があるって本当?
・なぜ、新しい医療用漢方製剤が発売されないのか
・煎じ薬のほうがエキス製剤よりよく効くの?
・なぜ、医療用漢方製剤にはジェネリックや新剤形がないのか
・漢方製剤はなぜ食前投与なのか
・トリカブトは怖い?
・漢方薬はドーピング検査で問題になるか
・医療用漢方製剤と一般用漢方製剤の中身は同じか
・漢方製剤は生き残れるか
・索 引

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序文

監修の序

 漢方薬はこの数十年の間にわが国の医療現場で広く普及し、現在では「ふつうの薬」として使われている。特に21世紀に入って医学教育に漢方が盛り込まれたことから、40歳未満の医師には漢方に対する強い抵抗はない。一方、漢方薬はわが国における臨床経験をもとに承認された薬剤であり、1990年代以後のEBM(evidence-based medicine)の時代にあって漢方薬にはレベルの高いエビデンスが不足しており、いまだに「ふつうの薬ではない」との批判も根強くある。
しかし、特に2010 年以降、医療用漢方製剤を用いた臨床試験が英語論文で発表されることが多くなり、かなりレベルの高い漢方薬のエビデンスがさまざまな医療分野で認識されるようになってきた。このような時代背景のなか、本書は、ランダム化比較試験(RCT)やメタアナリシスなど漢方薬に関するグレードの高いエビデンス(ストロング・エビデンス)を紹介することを目的に、日本東洋医学会EBM委員会(委員長:元雄良治)が収集・作成した「漢方治療エビデンスレポート(Evidence Reports of Kampo Treatment:EKAT)」や「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(Clinical practice guidelines containing Kampo products in Japan:KCPG)」をもとに、代表的な漢方薬について最新のRCTや診療ガイドラインにおける推奨状況を処方ごとに収録している。
著者の新井一郎先生は富山大学薬学部を卒業し、富山医科薬科大学(現 富山大学)大学院修了後、株式会社ツムラで研究畑を歩まれた後、日本薬科大学漢方薬学分野の教授に就任された。新井先生と私は同年齢でもあり、また慢性膵炎に対する柴胡桂枝湯の効果に関する研究で、ともにシカゴの米国膵臓学会で発表したり、そして前述の日本東洋医学会EBM委員会で活動をともにしてきた。
本書は広い医療分野における漢方の「ストロング・エビデンス」を薬学者の観点から詳細に紹介しており、従来からの症例集や漢方解説とは異なる、現代医療に携わる医療者の誰もが納得できる精緻なエビデンス集である。またEBMの基本から学ぶことができ、資料、クイックリファレンスでは各種観点からの漢方処方一覧があるので、自己研鑽に、またカンファレンスなどにおいて多職種でおおいに活用していただきたい。

2018年1月
金沢医科大学医学部腫瘍内科学講座 主任教授
元雄 良治
 


 医療用漢方製剤は、この数十年の間で日本のなかにずいぶんと普及し、現在では、一般的な薬として医療現場で使われています。しかし、医療用漢方製剤はわが国における臨床経験をもとに承認された薬剤であり、治験を行っていません。そのため臨床エビデンスの不足を根拠に、いまだ否定的な見方をされることも少なくありません。
EBMにおいては、試験デザインにより臨床エビデンスにグレードをつけるのが一般的であり、ランダム化比較試験(RCT)やメタアナリシスでのエビデンスが一番高く評価されます。治験を行っていない医療用漢方製剤についても、1960年代から一部の先駆者がRCTを行ってきましたが、その全貌については明らかになっていませんでした。日本東洋医学会EBM委員会では、この漢方製剤のRCTを網羅的に集め、一つひとつにつき構造化抄録を作成し、アブストラクターのコメントをつけて「漢方治療エビデンスレポート(Evidence Reports of Kampo Treatment;EKAT)」として、2007 年から学会のWeb サイトで公開しています。現時点での最新版は2012 年秋までの漢方のRCT を集めたEKAT2013と、その後のRCT を追加したEKAT Appendix 2014、2015 です。ここには、漢方製剤の445件のRCTと2件のメタアナリシスが掲載されています。漢方製剤にも「意外とエビデンスがある」と驚かれた方もおられるかもしれません。
本書では、EKATのなかから、漢方製剤が有効であったRCTについて、さらに凝縮してご紹介するとともに、EKATにはまだ掲載されていない最新のRCTについてもご紹介します。当然、エッセンスだけの記述になりますので、臨床試験全体の姿を正しく理解することはできません。本書で興味をもたれた方は、ぜひともEKATにアクセスいただき、構造化抄録をお読みになることをお勧めします。また、それでも物足りない方は、さらに元の論文までアクセスしてみてください。EKATには、元の論文までたどり着きやすいような仕掛けがしてあります。
なお、本書ではこれに加え診療ガイドライン(Clinical practice guideline;CPG)における漢方製剤の推奨の状況を、同じく日本東洋医学会EBM 特別委員会が作成・公開している「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(Clinical practice guidelines containing Kampo products in Japan;KCPG)」をもとに処方ごとにご紹介します。これにつきましても、まだ、KCPG に紹介されていない最新の情報を追加しました。漢方製剤のエビデンスは、PubMedや医学中央雑誌には収録されていない雑誌だけで報告されていたり、英語での漢方論文の検索には工夫が必要であることなどから、すべての診療ガイドラインの作成者が、漢方製剤のエビデンスを十分に見つけられているとはいいにくい状況です。そのため、本書で示す処方ごとのRCTエビデンスと診療ガイドラインにおける推奨とが、必ずしも相関していない場合があります。本書がきっかけになり、より多くの方がEKATを知るようになり、診療ガイドラインに漢方のエビデンスが十分に反映されるようになればと願っています。
本書は、漢方製剤の臨床エビデンスをご紹介することが目的ですが、漢方製剤の効能・効果すべてにRCTでのエビデンスがあるわけではありませんし、皆さまがイメージされている漢方処方の使い方と、実際に存在するエビデンスとが必ずしも一致しているわけではありません。そこで本書は、以下のようにしました。
①紹介するエビデンスは原則、有効性に関する何らかの指標において統計学的に有意な作用が認められているRCTに限りました。RCTが行われていても、作用が明確でないものは取り上げていません。また、他の漢方薬投与群と比較したRCTも、比較薬の有効性の位置づけが行えないため取り上げませんでした。
②各処方を、主に存在するRCTエビデンスをもとにいくつかの疾病領域に分類して掲載することにしました。その処方の、代表的な古典的な使い方のRCTエビデンスが存在しない場合には、一般的な分類とは異なる分野に処方が分類されている場合があります。
③主に存在するエビデンスにより処方を分類しましたが、漢方薬の作用は多様ですので、当然そのほかのエビデンスも得られている場合があります。しかし、処方は1つだけの疾病領域に配置しましたので、処方によってはその項目のテーマとは異なるエビデンスが紹介されている場合もあります。なお、ご紹介するエビデンスは、保険治療の範囲外のものも一部、含まれます。
④RCTエビデンスが存在する処方は、RCTエビデンス、診療ガイドラインにおける推奨状況を記載した後、メーカー別に効能・効果、構成生薬といった基本的な情報、味・におい、副作用、禁忌・相互作用について記載しました。
⑤巻末には、「資料」として本書で取り上げた疾病に用いる漢方薬をエビデンスの有無にかかわらず掲載するとともに、本書で取り上げた漢方処方の現時点でわかっている作用機序(動物実験やin vitro試験のエビデンス)を記載しました。そのほか、本書の内容を簡単に参照できる「クイックリファレンス」を掲載しました。
以上、本書は漢方製剤の臨床エビデンスを中心に構成したため、古典的な分類をもとにした他書とは分類が異なることがあり、見づらい点もあろうかと思いますが、趣旨をご理解いただきますようお願いいたします。本書を通じて、漢方製剤の臨床エビデンスに関心をもっていただければ幸いです。

2018年1月
日本薬科大学漢方薬学分野 教授
新井 一郎

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