POCTが変える医療と臨床検査

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POCTが変える医療と臨床検査

商品コード 45727
編著 監修:〆谷 直人 国際医療福祉大学熱海病院 教授
編集:日本臨床検査自動化学会 POC技術委員会(旧POC推進委員会)
判型 A5判
発行日 2014年3月
ページ 146頁
定価 ¥3,850(税込)
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内容

2012年12月より臨床検査の総合情報誌"The Medical&Test Journal"に連載され、好評を博した「POCTが変える医療と臨床検査」を大幅加筆し、最新の情報を網羅して書籍化しました。

 

 POCT(point of care testing)とは、「被験者のかたわらでリアルタイムに医療従事者が実施し、診断・治療に有益な情報を得る検査」の仕組みのことです。医療機器技術の 進歩により、患者や検体が動くのではなく、医療従事者が自在に動いて検査を行い、患者中心の医療提供につなげることを目的としています。

POCT機器の進歩により、臨床検査に求められる「いつでも、どこでも、速く」が実現され、院内における臨床検査の迅速化だけでなく、場所や環境を問わない災害医療の現場や在宅医療においてもその役割が注目されています。

本書では、近年医療機関において急速に普及が進んでいるPOCTを実際に使用する臨床検査技師や医師、看護師、薬剤師など実地医療従事者に対し、臨床検査医・臨床検査技師が、検査項目別のPOCTの現状や特徴、留意点、検査の必須ポイントなどを解説するとともに、POCTの海外での動向、将来展望などに ついても解説を加えました。また、検査項目別に汎用されるPOCT検査機器の写真を巻頭に掲載しました。

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目次

巻頭カラー 検査項目別 POCT機器・試薬

第1章 総説

第2章 検査項目別 POCTの現状と展望
2-1 糖尿病の検査
2-2 感染症の検査
2-3 血液・凝固系の検査
2-4 卓上型と携帯型の多項目生化学検査
2-5 尿検査
2-6 薬物毒物検査
2-7 その他の検体検査(電解質・便)
2-8 循環器系疾患の検査
2-9 呼吸器系疾患の検査
2-10 その他の生理機能検査
2-11 緊急検査・診察前至急検査
2-12 災害対応での臨床検査~災害医療におけるPOCTの役割~
2-13 在宅医療の検査

第3章 POCTの精度保証

第4章 POCTの海外動向

第5章 POCTの今後

付 録 POCTガイドライン第3版の抜粋と解説

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書評

 平成25 年6 月14 日に閣議決定された日本再興戦略において、予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくりの一つとして、薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、薬局・薬剤師の活用を促進するとされた。また、平成26 年4 月より臨床検査技師法に基づく厚生労働省告示が改正され、薬局での簡易な検査が可能となり、薬局を活用した健康情報拠点づくりとして、患者さんが自己検査を行った結果を受けて、薬剤師が一般的なアドバイスや受診勧奨を行うなど、患者さんの状態や生活環境にあわせ、専門的知識を踏まえて情報を提供し健康管理のサポートを行うことが進められている。そのためにも、薬剤師が今まで以上に臨床検査等に関する知識を深めることが求められている。
本書のタイトルにあるPOCT(Point of care testing)とは、操作が簡便で迅速にデータを得ることができるポータブル分析装置や迅速診断キットなどを利用して患者の傍らでリアルタイムに臨床検査を実施できるシステムであり、病院内だけでなく在宅医療の現場等でも非常に重要なシステムとなってきている。本書では糖尿病、感染症、血液・凝固系検査など、検査項目別のPOCTの現状や特徴、留意点、検査の必須ポイントなどがわかりやすく解説されており、また、災害時におけるPOCTの役割や在宅医療における検査、海外における動向や将来展望についても解説されている。また、巻頭には写真にてPOCT対応機器や試薬が紹介されており、検査機器を見慣れていない薬剤師にとっても参考になる。
今後在宅医療および健康拠点薬局としての活動のさらなる推進のためにぜひ活用したい一冊である。

一般社団法人大阪府薬剤師会会長  藤垣 哲彦

 

 医療の現場では古くからPOCTを利用して診断や治療に用いられてきた。しかしこの概念や使用目的に明確な基準はなく測定現場や測定者が個々に理解し利用していたのが現状であった。POCTについて各医療雑誌などに掲載されているが今までPOCTを理解し現場に活かす実践書はなかった。このたび一般社団法人日本臨床検査自動化学会POC技術委員会(旧POC推進委員会)より「POCTが変える医療と臨床検査」がPOCTについての初の実践書として発行された。本書は第1章から第5章よりなり巻頭カラーで現在利用できる検査項目別のPOCT対応機器、試薬が掲載され,この解説も各章でなされて見やすく掲載されている。第1章総説ではPOCTの概念や活動の場の広がりについて説明がされ、POCTの和名を「臨床現場即時検査」とし、POCTの定義やPOCTは単なる検査でなはなくPOCTは検査の仕組みであることが解説されている。第2章の検査項目別POCTの現状と展望では本誌の中心的な章で各疾患や検体、災害の対応、在宅医療の検査などのPOCTの活用を13項目で詳しく解説されている。その中で糖尿病検査ではSMBG機器とPOCT対応機器の違いや測定時の注意、穿刺による正しい採血法の説明がされている。感染症の検査ではイムノクロマトグラフィー法(ICA)の原理や対象病原体微生物の留意点などの説明がされており、現在使用可能な感染症領域のPOCT対応試薬や機器の一覧が掲載されている。緊急検査・診察前至急検査では緊急検査の5つの条件(迅速性、簡便性、随時測定、ベットサイド検査、反復性)が必要とされているがPOCTの多くはこの条件に合致しており緊急検査としての利用価値は高いことが解説されている。災害対応での臨床検査では災害での臨床検査の在り方、災害医療現場における臨床検査の役割が説明されており、特にいままで災害と臨床検査の関わりにつて解説されているものが少なく参考になるものと考える。在宅医療の検査では訪問看護ステーション施設長を対象としたPOCT等に対する調査報告が掲載され、在宅医療分野におけるPOCTの可能性、役割について述べられている。このほか血液凝固や他項目生化学検査、尿検査、薬物検査、循環器系・呼吸器系検査などでのPOCTの役割が解説されている。第3章POCTの精度保障では精度保障をするには単に検査に対する精度管理をするだけではなく検査前から検査後まで管理していくことが重要で、POCTのクオリティーマネジメントの5W1Hや作業内容、要求事項などについて説明がされている。第4章POCTの海外動向では海外でのPOCTの要求事項やPOCT国際シンポジウムの報告がされ、さらに日本国内でのPOCTの現状POCTコーディネーターの役割やPOCT運営委員会の設置の必要性について解説されている。第5章POCTの今後ではPOCTの現状における障壁とその解決の方向性やPOCTの将来像について説明がされている。
POCTの目的は本書にもうたってあるように医療の質を向上させることである。POCTの最大の利点である迅速で簡単な操作で正確な検査結果を医師に提供できることである。しかしながら簡単な操作=適当な操作、精度管理不必要などと考える医療従事者も少なくない。管理されたPOCTで使用することで初めて医療の質の向上が可能である。本書はPOCTを利用する臨床検査技師や医師、看護師等の医療従事者に一読していただきPOCTを理解し現場で活かしていただければと願っている。

長野赤十字病院 徳竹佐智夫

 

 「本年4月1日より薬局での自己採血を解禁する」という内容の告示が厚労省から出された。これにより、地域の健康拠点としてPOCTを利用した新しい取り組みが可能となった。街角の薬局で自己採血後、数分で結果が分かれば、例えば国民病とも言える糖尿病療養者にとっても日常生活の場で血糖コントロールの把握が随時にできることは有意義であろう。
POCTは元来、米国から始まった臨床検査現場の「即時対応型・簡易・小型・迅速検査」の総称であるが、それだけにとどまらず、今や我が国においては独自の“新しい価値”が創造されつつある。それは、健康増進の関連分野に深く関わって、在宅自己検査、街角検査室、健康相談薬局などでの健康戦略が期待できることである。現代人が「未病・養生」を真剣に意識しはじめ、“健康は自己責任である”といういわゆる“セルフ・メディケーション”の大切さに社会も気づきはじめた証拠だと思われる。
さらに多様化する現代社会にあって、今後、個別の予防医学として革新的な検査の要求がますます強まってくる。マイクロチップを利用した新しいゲノム検査技術などの開発は第3世代のPOCT到来を告げている。POCTは「いつでも」「どこでも」「検査技師でなくとも」というコンセプトの上に成り立っているが、このような広がりをみせる現代社会にあって、医療の質を担保するためにPOCTコーディネータの役割とその重要性が本書にも紹介されている。
POCTを円滑に利用しようとする実地医療の場において、医師、看護師、保健師、薬剤師、臨床検査技師等の方々、およびこれからPOCTを利用した新しい事業に関心を抱く多くの方々にとって、本書は待望の実践書である。執筆はPOC技術委員会委員長 〆谷直人氏の監修のもと、実務に明るい執筆陣が各要点・留意点をわかりやすく解説し、汎用される検査機器なども巻頭写真にカラー掲載するなど親切な内容となっている。ぜひお薦めしたい一冊である。

日本未病システム学会臨床検査部会代表
富士いきいき病院 健診センター副センター長  加瀬澤 信彦

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