臨床検査専門医が教える 異常値の読み方が身につく本

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臨床検査専門医が教える 異常値の読み方が身につく本

商品コード 50226
編著 村上 純子/著
判型 A5判
発行日 2018年2月
ページ 280頁
定価(税込) ¥3,672
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内容

●専門医だから教えられる検査値の読み方、異常値・パニック値の判断のコツ
●ケーススタディ形式だから、ずらっと並んだ検査項目を関連づけて読み解くスキルが身につく
●全医療者向け。疾患の鑑別、薬の効果・副作用の判断、患者アセスメントの質が上がる


「ALTが高いから肝臓が悪そう」「BUNが高いから腎障害」…そんな通り一遍の見かたをしていませんか? 現場で必要なのは、複数の検査値を関連づけてとらえ、異常値のメカニズムから疾患を推測し、鑑別のためさらに必要な検査を考える、といった総合的な“検査力”です。
 本書はそうした検査値の読み方、異常値・パニック値の判断のコツを、臨床検査の専門医がわかりやすく解説。検査項目を列挙して説明する従来型の本とは違った、臨床直結型の読み方が身につきます。

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目次

総論  検査に関する基本的な知識
Lesson1  尿・血算・生化学検査の基本を理解する
Lesson2  血算のパニック値とそのメカニズムとは
Lesson3  肝機能を正しく評価するためのアプローチ
Lesson4  メカニズムから考える凝固・線溶系
Lesson5  “腎臓からの手紙”尿検査に強くなる
Lesson6  一歩踏み込んで考える血糖とHbA1c
補講  これだけは知っておきたい血ガスの読み方

検査値の推移をみるシリーズ
Lesson7  白血球・CRPの陥りがちなピットフォール
Lesson8  カンファレンス実況中継① 若年女性の異常値をどう捉えるか
Lesson9  短時間で検査値が急変化…そのとき何を考える?

小児・高齢者シリーズ
Lesson10 小児の検査値の読み方はじめの一歩
Lesson11 高齢者の高蛋白血症ときたら外せない鑑別は?

Lesson12 何気ない貧血を見過ごすと痛い目に!
Lesson13 カンファレンス実況中継② 再び、若年女性の異常値をどう捉えるか
Lesson14 腫瘍マーカーの陥りがちなピットフォール

臨床推論能力を鍛えるシリーズ
Lesson 15 貧血のタイプをどう絞り込むか
Lesson 16 病態のキモはどこ? データの変化を読み解こう
Lesson 17 救急受診のケース…速やかにBestの決断を!
 

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序文

 検査は誰が何のために行うのでしょうか?
 従来から、検査は、医師が医療の現場で、患者さんの疾患や病態を「診断するために」あるいは「治療を行うために」あるいは「経過観察のために」実施するものでした。検査データは診療録(カルテ)に綴じ込まれ、医師の手もとにありました。
 私は、1996年に“臨床検査専門医”という認定資格を取り、約20年間、検査の業界にいるのですが、特にここ数年、医学生や研修医だけでなく、看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士、栄養士など、多職種のメディカルスタッフから「検査データが読めるようになりたい」という要望の声を聞くことがすごく多くなったように感じています。なぜでしょうか?
 その理由の一つは、チーム医療の必要性・重要性が、医療現場だけでなく、社会全体に理解されてきたことでしょう。チーム医療とは「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と定義されています。メディカルスタッフが医師とともに医療に深く関わる場面は今後ますます増加するものと思われます。
 もう一つの大きな理由は、電子カルテの普及でしょう。電子カルテシステムへのアクセス権さえあれば、いつでも、どこからでも、患者さんの検査データを見ることができますので、熱心なメディカルスタッフがそのデータを業務に活かすために「解釈する能力を習得し、医師とディスカッションできるようになりたい」と考えるのはもっともなことです。医師もうかうかしていられません。
 では、どのようなトレーニングを積めば、検査データを的確に解釈する力がつくのでしょう。検査の本を読んで勉強すればよいのでしょうか?

 書店の医学書コーナーには、検査関連の本がたくさん並んでいます。インターネットの大手書籍通販サイトで「検査医学」と検索したら、約6,000件ヒットしました。よりどりみどりですが、実はどれも似たりよったりで、目の前の患者さんの診療に本当にピタッとくる本はあまりないように、私は思っています。
 どの本もたいてい、検査項目ごとに、その検査の意味、異常値を示す疾患・病態がずらずら…と記載してあります。例えば、ALTが高値を示すのは急性肝炎、慢性肝炎、劇症肝炎、アルコール性肝炎、薬剤性肝障害……のように。
 しかし、臨床の現場で必要なのは、同時に複数の検査が異常値を示している目の前のこの患者さんについて、何が起こっているのだろう、可能性がある病態を鑑別するためには何をみればいいのだろう、この後どうなっていくのか判断するためにはどの検査データを追っていけばよいのだろう…というような見方です。いわゆる検査本…検査項目列挙・解説型の本が、このような検査データの「読み方(解析)」と「考え方(解釈)」を習得するのに適しているとは思えません。
 そこで、「the 検査力in現場」を涵養するために、これまで主に医学生や研修医を対象とする検査医学教育において実施されてきたReversed ClinicopathologicalConference(RCPC)の技法を用いてみてはどうかという企画が持ち上がりました。
 臨床の現場では、まず患者さんからよく話を聞き(医療面接)、身体所見を十分に把握し(身体診察)、それから検査計画を立てますが、RCPCでは、ほぼ検査の結果のみから患者さんの病態解析を試みます。ちなみに“reverse”とは、裏返すとかひっくり返すという意味です。
 これまでRCPCを経験したことがない読者は、普段「大切にしなさい」と言われている医療面接や身体診察の情報なしに、検査の数値だけであれこれ考えるのは邪道のような気がするかもしれません。しかし、RCPCは、合理的な検査成績の読み方(=臨床推論能力)を習得することを目的とした、確立した学習法です。同時に、検査成績から病態解析ができる範囲や限界を自覚することも学習目標の一つです。

 本書の編集方針は、1症例だけをピックアップして読んでも一通りの理解が可能なよう、「一話完結」としました。読み進めるうちに、「また同じことが書いてある」と感じることがあるかもしれませんが、「何回も出てくるのはとても重要なことなのだ」と受け止めていただきたいと思います。

埼玉協同病院臨床検査科 部長
村上純子

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