Chernobyl Medical Fund Newsletter (9)


ベラルーシ共和国への
医療支援のむずかしさ

北和田 修介

 2003年4月、私達はモーズリの子供病院へ免疫検査に必要な機器と試薬100人分を支援しました。その検査結果は子ども達の治療に大きな成果をもたらしました。
 1年後、子供病院から600人分の試薬支援の要請がありましたので、早速準備にとりかかりました。試薬が無償の支援物質であるという日本の公証役場の証明書、輸入税を免除してもらうための申請書、物資内容の詳細等の書類をベラルーシ共和国からの要請に従って整え、試薬に添えて発送しました。ところが2カ月後、発送した試薬すべてがベラルーシの首都ミンスクの空港で行方不明になってしまいました。通訳をお願いしているベラルーシ在住の小川良子さんにお願いし探していただきましたが、とうとう見つける事ができませんでした。
 そこで同じ物をもう一度送る事にしましたところ、突然ベラルーシ共和国より無償支援にもかかわらず、インポートライセンスを取得する必要があると言われました。試薬メーカーの協力を得てライセンスを取得し、再度発送しましたが、今回は試薬の有効期限が1年を切っているとの理由で、試薬メーカーに送り返されてしまいました。
 今年6月、長野県立こども病院で研修してもらうために招いた、女医エカテリーナ・チェルニショーワ医師と共に来日していた小川良子さんがベラルーシ大使館を訪れた時、先の試薬支援のいきさつを説明、合わせて支援に対する協力をお願いしたところ、快く協力を承諾してもらえました。そこで3度目の試薬を発送しました。
 3カ月後の10月25日、朝6時(ベラルーシ時間夜中の12時)小川さんより嬉しいFAXが届きました。試薬が子供病院に無事到着し、機器の整備にミンスクからスペシャリストが来られ、調整に取り掛かってくれる事になったとのこと。実に2年半、3度の発送でようやく、子供たちの治療に役立つ支援ができました。メーカーのご好意により3回もの発送にもかかわらず、1回分の料金のみで済ませていただきましたこと深く感謝申し上げます。支援物資が子供病院に届くのに2年余りもかかり、皆様にご心配をお掛けしましたが、やっと子ども達の治療に役立つことができます。
 試薬発送にあたり、東京技術貿易の小林秦さん、ベックマン・コールター社佐伯ひろみさん、ベラルーシ大使館の皆様、英訳ボランティアの信州大学国際交流室牧かずみさん、現地コーディネーターの小川良子さんほか、たくさんの方々にご協力いただき感謝しております。


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