Chernobyl Medical Fund Newsletter(6)

ベラルーシ留学事情

坂本 龍太朗

 こんにちは。今年の7月まで1年間、ベラルーシのゴメリ州立大学で学んでいた坂本龍太朗です。今回は大学の様子をお話しさせてください。私は大学にてロシア語、中国語、ベラルーシ語、そして経済学部で世界経済学科の授業を受けておりました。どの授業にも共通して言えることは、教室の電気をめったにつけないということ、黒板消しの代わりにタオルや布を使っていること、教科書がないことなどです。電気をつけないということは当初、節約のためであると私は解釈しておりました。しかし話を聞くと、「太陽の明かりならいいが、電灯の明かりで勉強したくない、目が疲れる」とのことでした。インドネシアで「明るいと暑く感じるからつけないでほしい」という暑い国ならではの理由とは別の理由が、ベラルーシには存在していたのです。もちろん節約という目的もあるのでしょうが、僕にとっては暗すぎて目が疲れるほどでした。2点目の黒板消しについてですが、私はたいてい、ロシア語の授業が始まる前に先生から黒板をきれいにしてほしいと頼まれました。黒板をタオルや布で拭けばいいというだけではありません。まずは汚いタオルをトイレの水で洗い、黒板を拭き、汚くなった手を洗うという一連の作業となります。日本のように、黒板消しという道具は共通認識として誰でも思い浮かべることができるでしょう。しかしベラルーシでは、日本にあるような黒板消しは見たことがありません。黒板も水拭きをされているため凹凸がなく、チョークでもなかなか書けなくなっています。まるでガラスにチョークで書こうとしているようです。結果として黒板は汚くなり、汚い黒板をきれいにするためには水拭きということを繰り返しているのでしょう。3点目は教科書がないことです。あったとしても先生が持っているだけで、生徒は持っていません。教師はその教科書を全員の前で読み上げ、生徒は自分たちのノートに書き取ります。時にはこのような作業が90分続いたこともあります。本はとても安いのですが、生徒たちによると、「先生が生徒に教科書をコピーしたり渡したりしたら授業でやることがなくなる」と言われました。制度の違いとしては、大学が5年制であるという点を挙げることができます。ヨーロッパで多い3年制、日本の4年制と比べると大学在籍年数は長くなっています。日本の小学校6年間より1年短いだけという見方をすると長く感じてしまいます。私は日本とアメリカの大学で学んできましたが、その経験からベラルーシを比べたとき、そのほかにも多くの興味深い相違点がありました。




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