副作用のみかた・考えかた

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3ステップで推論する

副作用のみかた・考えかた

商品コード 51100
編著 川口 崇、岸田 直樹/編著
判型 A5判
発行日 2018年8月
ページ 384頁
定価 ¥3,190(税込)
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内容

●目の前の症例が副作用かどうかの見極め方(=副作用の臨床推論)が身につく、これまでにない本
●薬局・病院薬剤師の薬学管理、医師の鑑別に直結する知識を3ステップで解説
●副作用と有害事象の違いなど、副作用に関する基本からわかりやすくレクチャー
 
「これって副作用かな?」は、どの医療従事者も経験しますが、その見極め方を学んだことはありますか? 副作用を疑ったときに必要なのは、薬理学や薬物動態学など医薬品に関する知識とともに病態生理学などの知識を駆使して考えること。本書はそうした副作用の見極め方を、①薬が原因である可能性、②薬以外が原因である可能性、③考え方をまとめてアクション――の3ステップに沿ってわかりやすく解説します。さらに副作用の基本的な考え方や添付文書の特徴など、初学者向けのレクチャーも充実。誰も教えてくれなかった「副作用の臨床推論」をしっかり学べます!

 

【岩田健太郎先生(神戸大学感染治療学分野 教授)の書評をご紹介します!】

献本御礼。白状すると、開いてみるまで普通の副作用列記の解説本だと思っていました。とんでもないことで、本書はまごうかたなき名著です。医師看護師薬剤師は必読。特に小宮山先生の因果関係の考えかはは目からウロコ。さらには陥りやすいコミュニケーション上のピットフォールや秀逸な「あうあわない」の議論(診断でも使えます)。これぞまさにアブダクション! グラフトレンドとか知らないこともあってこういうコネタも大いに勉強になりました。もう一度いいますが、医師、看護師、薬剤師は必読です。

(読書メーター https://bookmeter.com/books/13094011 より)

 


本書44ページで紹介されているスライドはこちらからダウンロードできます。本書を使った勉強会を始めるときなどにとても便利ですので,ぜひお使いください。

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目次

 序文
巻頭ミニレクチャー:実際どうする? 医療者が ‘副作用かも?’ と思ったときのみかた・考え方
 
第1章 副作用の考え方のキホン
Lesson 1「有害事象」が「副作用」とよばれるようになるには
Lesson 2どうやって副作用かどうかを見極める?
Lesson 3副作用情報の使い方を考える
Lesson 4副作用情報活用の実際
Lesson 53ステップで考える副作用、本書の読み方・使い方
Lesson 6知っておきたい薬物相互作用の考え方・とらえ方
Lesson 7看護師の視点で考える薬の副作用
Lesson 8臨床推論において医療従事者が知っておきたい法的観点
 
第2章 実践! 3ステップで推論する副作用
Case 1この「めまい」はミノサイクリンによるものですか?
Case 2この「口内炎からの出血」はワルファリンによるものですか?
Case 3この「呼吸困難」はトラスツズマブによるものですか?
Case 4この「横紋筋融解症」はβ刺激薬によるものですか?
Case 5この「嘔吐」はがん化学療法誘発性の悪心・嘔吐ですか?
Case 6この「高熱」「筋強剛」「CK高値」は抗精神病薬による悪性症候群ですか?
Case 7この「心窩部痛」「胸やけ」はNSAIDs潰瘍によるものですか?
Case 8この「ふらつき」はがん化学療法によるものですか?
Case 9この「徐脈」はジギタリス製剤によるものですか?
Case 10この「過敏症状」はパクリタキセルによるアナフィラキシーショックですか?
Case 11この「痙攣」はニューキノロン系抗菌薬誘発性の痙攣ですか?
Case 12この「せん妄」はオピオイドの増量によるものですか?
Case 13この「舌の動かしづらさ」はコリン作動薬によるものですか?
Case 14この「低カリウム血症」は利尿薬によるものですか?
Case 15この「下痢」は化学療法によるものですか?
Case 16この「呼吸苦」はNSAIDs過敏喘息によるものですか?
Case 17この「めまい」はオピオイドによるものですか?

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書評

 徳田安春(群星沖縄臨床研修センター センター長)

 
薬物療法が発展し、ポリファーマシーが増えているなかで、薬の副作用のケースが増えています。水戸市の急性期病院で評者らが行った研究では、救急室からの高齢患者の入院の原因の5%は薬の副作用のケースでした。関西で有名な総合内科系の勉強会で登場するケースの約20%は薬の副作用のケースでした。このような背景のなか、さまざまな病状の原因が薬の副作用であることを常に疑う状況になっています。病棟や救急室などで、薬剤師さんがチーム医療のメンバーとして常に参加することが多くなった現場では、薬の副作用についての意見を求められる場面が多くなっていると思います。
そんななか、本書が登場しました。病棟や救急外来などで医療チームのメンバーとして活躍する薬剤師の皆様にお勧めの本です。
薬の副作用が原因となる病態に特化した臨床推論の考え方について、総論的な解説と、実際にあったケースに対する具体的な推論の行い方をやさしく解説する本です。総論では、有害事象と副作用との違い、副作用のタイプ分類、薬物相互作用などについて臨床現場でよく遭遇する薬の例を挙げながら解説されています。このうち薬物相互作用の発現機構では、薬物動態学的相互作用と薬力学的相互作用の違いについてわかりやすく説明されています。薬力学的相互作用は、薬物の体内動態には変化がないものの、受容体などの作用部位での相互作用によって効果の増強や減弱が起こる場合とされています。ここで評者がさらに追加したい点は、臨床的に同一の症候として現れるさまざまな機序に作用することによって効果が増強する場合もよくあるということです。同一の受容体をお互いに刺激するようなものではありませんが、これは臨床的によく経験するケースであり、有名なグッドマン・ギルマンの教科書にも記載されているので、これも薬力学的相互作用と呼んでもよいと考えています。
実践編では、実際に遭遇したケースについてのリアルタイム的な展開が行われており、薬の副作用が疑われるケースでの具体的な臨床推論の方法を学習できるよう工夫されています。評者が水戸の急性期病院で行った研究でも、薬の副作用ケースで関連する薬剤の種類は特徴的な分布があり、これらは世界的な研究でもほぼ同じようなパターンを見ています。抗凝固薬や非ステロイド消炎鎮痛薬、化学療法薬、抗菌薬、抗精神病薬などです。本書ではそのような代表的な薬剤を取り扱っており、臨床現場で大変役に立つと考えます。
臨床推論では、患者の臨床情報を正確に集め、疫学的情報に加え、緊急性や重篤度なども考慮して、確率を考えていきます。ここで、薬の副作用を考える場合は、その起こり方のパターンについて臨床推論でのロジックが必要となります。本書を読むことによってそのロジックが学習できます。薬剤師はもちろんのこと、医師や研修医、医学生にも役に立つ、お勧めしたい好著です。
 
 
 
林 昌洋(虎の門病院 薬剤部長・治験事務局長)
 
チーム医療に参加し薬の専門職として臨床に勤務する薬剤師には、患者の薬物療法に責任をもち最大限の効果と安全性を提供できるよう薬学的な処方設計や副作用モニタリングを実践することが求められている。
お一人おひとりの薬物療法について、ベネフィット・リスクバランスを最適化するためには、患者と医師が期待する治療効果が得られていると同時に、副作用が患者の生命や健康、QOLに及ぼすリスクが許容範囲内であることを薬学的に評価し、懸念があればリスク最小化の方策を立案する必要がある。
しかし、臨床経験の浅い薬剤師にとっては、副作用モニタリングといわれても“言うは易く行うは難し”と感じる場面も少なくないのではないだろうか。
薬剤を投与中に起こる有害事象のうち、合理的な関連があり因果関係が否定できないものが副作用と定義されている。この合理的な関連を薬学的に評価するためには、良質の医薬品情報と有害事象に関連した個々の患者の臨床情報が必要である。
本書は、この合理的な関連と因果関係を薬学的に評価し、推論するトレーニングを可能とする書籍である。
第1章において副作用の考え方の基本知識が示され、続く第2章では副作用を3ステップで推論する思考法に沿って、実際に経験した事例に基づき薬剤師・医師から解説されている。ステップ1では『被疑薬が原因である確からしさ』を医薬品情報に基づき評価し、ステップ2では『疾患など被疑薬以外が原因である確からしさ』を臨床経過に基づき評価し、ステップ3では総合的な判断を行って、副作用については処方提案や安全対策の立案を行う過程が紙上で体験できる構成となっている。
本書の執筆・編纂に関わったすべての薬剤師・医師の皆さんのご努力に敬意を表したい。
患者の期待に応え副作用リスクから患者を守る薬学的患者ケアを実践したいと考える薬剤師にとって、その精度と品質を向上させる助けとなる書籍であり、ぜひご活用いただきたい。
 
 
 
梅田 恵(昭和大学保健医療学部看護学科 教授)
 
薬物療法はどんどん進化し、長生きができたり、苦痛な症状と付き合いやすくなったりと、その恩恵は計り知れない。しかし、そのためか、薬剤についてのトラブルも増えているように思う。
有害事象について、薬剤性なのか病状の進行なのかのアセスメント(臨床推論)とともに、薬剤師や医師との話し合いが求められる場面が増えている。薬剤の恩恵を長く持続するためには、薬剤が本当に悪者なのか、適切な薬剤の使用ができていなかったのではないかなどなど、看護師といえども考える能力は必須となってきた。
症状マネジメントにおいて、その人の体験している症状を導き出すことは、看護の重要な役割である。その症状を捉えるとき、薬剤についての知識は推論の幅を広げるが、無知は不適切なバイアスのもととなり、推論を狂わせてしまうだろう。本書の第1章「副作用の考え方のキホン」は、職種を問わず必須の内容である。薬剤については学習してきたつもりであったが、知らない内容も含まれ、改めてキホンを押さえることができた。また、本書の目玉である第2章の各Caseにまとめられた思考のプロセスは、納得の内容で、面白くどんどん読み進めることができた。思考の訓練に最適ではないだろうか。
起こっていることの推論を、看護の思考も交えて導き出すことができれば、もっと早く効果的に効率的に対策につなぐことができるだろう。薬剤の恩恵を長くもたらすことができるチームの一員に、看護師も加わりたいものだ。そのためには努力が必要である。本書を使った勉強会などの企画はいかがだろうか。

 

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序文

 薬学領域での臨床推論は、2012年に月刊薬事(じほう)で連載が開始され、そこから徐々に薬学の世界でも認知されていきました(と思っています)。その頃、医学領域ではすでに診断推論の教育が盛んでしたが、看護領域では薬学とほぼ同時期に臨床推論に取り組まれるようになったと(勝手に)思っています。医師以外の職種が臨床推論に取り組むようになっているのは、そこに共通言語としての学びが多く、臨床にいる一人として活用できることがあるからだと、私は考えています。共通言語というだけに、医学領域で発展している臨床推論から学べることがかなり多い状況ですが、薬学領域で臨床推論の教育コンテンツを作成する過程で、薬剤師ならではの内容を考えるようになりました。それが本書で取り扱っている、副作用の考え方です。わかりやすくなるように落とし込みをしているので、いわゆる本格的な臨床推論のようにはなっていませんが、肩の力を抜いて読んでいただければと思います。

(中略)
さて、医師や看護師、そして患者さんも、薬剤師に「これって副作用ですか?」という質問をしたことがありませんか? きっとあるんじゃないかなぁと思います。薬剤師はよくされる質問の一つです。もし、質問された薬剤師が添付文書を見て、記載があったら「副作用だと思います」、記載がなかったら「副作用じゃないと思います」といった返答をしているとしたら、聞いた方はどう思うでしょうか。期待しているのは記載の有無ではなく、薬剤師がどう考えるか、という一つの意見を聞きたいわけですよね。でも、やっぱり副作用かどうかを考えることは、医薬品の(マニアックな!?)知識を有する薬剤師であっても簡単でないことが多いのです。読者の方は言わないかもしれませんが、薬剤師は「すぐ薬剤師は薬が原因っていうよね」という言葉におびえている(かもしれない)のです。病態を考え、他の疾患の可能性もあることを考えなければいけないのですが、そこがなかなか難しいことを理解しているからかもしれません。医薬品の特性に関する知識と、病態生理などの両側面を考える必要があるわけです。本書は、この臨床で副作用を考えるということに、どのようにアプローチするかに取り組んだものです。
 
臨床推論のアプローチの一つとして、患者の主訴、病歴、身体所見などから鑑別すべき疾患を想起し、さらに必要な情報を得て鑑別すべき疾患を「あう・あわない」と、そのもっともらしさを検討する方法があります。副作用を疑う状況は、この鑑別すべき疾患に、医薬品に起因する疾患と、その他の疾患が含まれることになります。本書では、この副作用を疑う状況で考えるべき3つのステップで考察をしていきます。
1つ目は、被疑薬が原因であるもっともらしさを検討することです。病態生理に加え、薬剤師が得意とする医薬品の特性(薬理や薬物動態など)を加味した考察をします。
2つ目は、被疑薬以外が原因であるもっともらしさを検討することです。副作用だ! と決めつけるのではなく、他の疾患の可能性もしっかり吟味しましょう。
最後の3つ目のステップは、考えをまとめてアクションする、です。上述したとおり、副作用かどうかの判断は容易でない場合も少なくありません。実際には副作用かどうかグレーであっても、その被疑薬を中止するのか、減量するのかなどの判断が迫られます。副作用を含めた鑑別すべき疾患とそのもっともらしさを以て、自分で、もしくは仲間と悩み、判断していくわけです。決して綺麗にはおさまらない、臨床の不確かさをそのまま記述してもらえるよう執筆陣にはお願いしました。副作用かなと思ったときに、短絡的に決めつけることなく、こうしたステップで考えることを習慣にしてしまいましょう!
 
本書で解説されている副作用を疑う症例は、若手から何らかの専門や認定資格をもつ人まで、実に多様な薬剤師が執筆しています。熟練した医師からみれば甘い部分もあるかもしれませんが、そこも含めて、薬剤師の思考のリアルが覗けると思います。逆に、薬剤師がここまで考える、というのを示している側面もあり、本書を読んで薬剤師を頼ってみようと思う医師や看護師が増えることを期待しています。
(中略)
本書が読者の先生方の一助となりますように。
 
東京薬科大学 医療実務薬学教室
川口 崇

 

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