がん緩和ケアの薬の使い方

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基本的知識と症例から学ぶ

がん緩和ケアの薬の使い方

アセスメント・処方提案の考え方が身につく

商品コード 52008
編著 岡本 禎晃、荒井 幸子/編
判型 B5判
発行日 2019年6月
ページ 200頁
定価 ¥3,520(税込)
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内容

●痛み、悪心、便秘、倦怠感、せん妄、高Ca血症、不安・うつ…よくある症状・訴えのマネジメントに自信がつく
●緩和ケアのエキスパート薬剤師が教える正しいアセスメントと薬の処方提案
●基本的知識+症例の構成だから初学者の学びにもベテランのブラッシュアップにも役立つ
 
吐き気にメトクロプラミド、便秘に酸化マグネシウム…そんなパターン化した処方を提案していませんか? 緩和ケアの薬を正しく使いこなすには、正しいアセスメントが肝心です。
本書は、がん患者のさまざまな苦痛症状に対する緩和薬物療法をテーマに、エキスパート薬剤師が基本的知識をわかりやすく解説。豊富な症例を通じてアセスメントのポイントや処方提案の実際を教えます。知識だけでなく、臨床で本当に使える力が身につく1冊です。

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目次

痛みシリーズ
Lesson1 軽度の痛みに対応する 宗像千恵/龍 恵美
Lesson2 オピオイドの導入と患者・家族への対応 千原里美
Lesson3 オピオイドが必要な持続する痛みに対応する 大矢浩之/藤本英哲/佐野元彦
Lesson4 突出痛に対応する 岡本禎晃
Lesson5 オピオイドが効きにくい痛みに対応する 久原 幸/佐々木理絵
Lesson6 スペシャルポピュレーションに対応する 国分秀也

その他の症状シリーズ
Lesson7 悪心・嘔吐に対応する 村井 扶
Lesson8 便秘に対応する 槇原洋子/池末裕明
Lesson9 全身倦怠感・食欲不振に対応する 伊勢雄也
Lesson10 せん妄に対応する 宮部貴識/所 昭宏
Lesson11 不安・抑うつに対応する 田中育子/中嶋真一郎
Lesson12 高カルシウム血症に対応する 矢野琢也
Lesson13 苦痛緩和のための鎮静 嶽小原 恵/池永昌之

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書評

 加賀谷 肇先生(湘南医療大学 特任教授)

 
急速な高齢化社会の到来にあいまって、医療形態も在宅医療の推進に大きく舵取りが進み、緩和ケアに携わる薬剤師の守備範囲も、病棟薬剤業務やチームでの役割に加え、地域連携の橋渡し役へと広がってきている。一方、保険薬局のなかでは、かかりつけ薬局の機能分化を先取りして地域在宅医療に特化したコミュニティ薬局も登場してきている。
しかし、緩和ケアの専門性や知識・スキルを身につけることは一朝一夕には進まない。本書は、在宅医療、医療現場、教育現場に身を置いている薬剤師が緩和医療の担い手になるために、症例を体感しながら薬剤師の目の付けどころを学べるように工夫されている。患者アセスメントのポイントが多角的に記述されていて、入門者から上級者まで納得のいくようにエビデンスが示されている。薬剤師に求められる能力は、処方提案が具体的にできるかどうかに集約されるといっても過言ではない。
本書の特徴は、臨床経験を症例から疑似体験を通して学び、アセスメントの仕方と思考プロセスを、データをもとに提案する手法が身につくように構成されている点にある。Lesson 1「軽度の痛みに対応する」からLesson 13「苦痛緩和のための鎮静」まで55症例が登場し、巻頭の「知りたい図表がすぐわかる早見表」は便利で内容が充実しているのでビジュアル的に理解することができる。
岡本禎晃先生、荒井幸子先生の執筆・編集と、緩和医療薬学を専門とするトップランナー薬剤師、緩和医療のオピニオンリーダーである池永昌之先生(淀川キリスト教病院)からなる豪華な執筆者が本書への信頼性を高めている。緩和ケアの実践指南書として、医療現場の薬剤師、薬学教育者、緩和薬物療法認定薬剤師を目指す薬剤師、その他緩和関連の多職種にお勧めしたい一冊である。
 
 
千堂 年昭先生(岡山大学病院 教授・薬剤部長)
 
病室や外来で苦痛を抱える患者さんを目の前にしたとき、頭が真っ白になってしまった経験はないでしょうか。ひと通り専門書を熟読し、自分では薬の知識をしっかりと頭に入れたつもりでも、実際患者さんの前に行くと、どのように対応すればよいのか迷った経験は誰しもがおもちだと思います。
近年、わが国は超少子高齢化時代を迎え、在宅医療を含む地域包括ケアの推進など、薬剤師が多職種連携のなかで主体性をもって専門職能を発揮することが社会から求められています。緩和医療においても、早期からの症状緩和から家族ケアまで、あらゆるスキルを身につけ、社会に貢献することは喫緊の課題といえます。そのようななか、多くの緩和医療に関する書籍が出版されてはいるものの、対象とするレベルの違いなどにより、読者が求めている情報が得にくいケースにもしばしば遭遇します。
本書は、臨床の現場で緩和医療薬学をリードする執筆陣が名を連ね、より実践に則した内容となっています。セクションごとにオピオイドの導入など大きなテーマが設定され、それに関する詳細な解説と症例が提示され、読者に考えてもらう設定となっているのが特徴です。
また、患者・家族の背景など、実際に臨床で遭遇する内容も含まれており、本書を手に取った若手の薬剤師からベテランの薬剤師まで十分に読み応えのある、期待を裏切らない内容になっています。さらに本書は痛みに対する鎮痛薬のみならず、便秘や抑うつ、鎮静など、「がん緩和ケアの薬」を網羅しており、緩和医療の本質を突いた内容となっています。昨今のオピオイド鎮痛薬をはじめとする新薬も記載されており、まさに“かゆいところに手が届く”良書であります。
本書が、手に取った薬剤師の先生方の日々の業務での良い“相棒”になることを期待します。ぜひともお勧めする実用書であります。
 
 
坂本 岳志先生(あけぼの薬局在宅支援室)
 
本書のタイトルに「基本的知識と症例から学ぶ」とあるように、緩和ケアにおける基本的な知識や鎮痛薬の使用・注意点のみならず、緩和領域全般における薬剤の使用方法について症例を用いながらわかりやすく書かれています。緩和ケアにこれから取り組む方への入門書として十分活用できるだけでなく、緩和領域に関わる薬剤師にとって非常に有益な参考書として活用できる1冊となっています。
本書の特徴として、作用機序や薬物動態などの基本的な事項の後に臨床での使用方法や注意点が書かれており、現場に即した理解を得ることができ、また提示された症例を考えることにより、より実践的なことを学ぶことができるような作りになっています。さらには服薬指導のコツや肝機能・腎機能低下時など、実際の臨床の場で疑問やつまずきやすい問題点についても解説がなされており、実際現場で困ったときに参考とすることができると思われます。
そして鎮痛薬のみならず、全身倦怠感や食欲不振、せん妄といった実際に緩和領域で直面する症状への薬剤の使用方法も記載されており、緩和領域全般に対して理解を得ることができると思います。さらに薬剤の使用方法だけではなく、薬物療法以外の対応方法などについても記載があり、どのように対応するべきか参考となります。
最後に、各章に記載されている症例は非常に良くまとめられており、これから緩和薬物療法認定薬剤師の取得を目指している薬剤師にはぜひ読んでいただき、症例に対する介入方法であったり症例報告の記載方法であったりと参考にしていただける1冊であると感じました。

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序文

近年、緩和ケア、緩和医療を取り巻く状況は大きく変わりつつある。1つは、在宅医療の推進である。在宅医療はがんに限ったことではないが、在宅緩和ケアという余命の限られた患者さんの在宅医療はそれ特有の問題がある。

次に、新薬の登場である。本書にも記載しているが、ここ数年でオピオイドをはじめとする緩和ケアで使用する薬剤が多数発売になった。このことは治療の向上につながるが、一方では多くの医薬品の特徴を熟知し、使い分け、より早く、正確な症状緩和の均てん化が求められる。
3つ目は薬剤師を取り巻く環境の変化である。病院においては、病棟薬剤業務実施加算の新設、がん患者指導管理料3の新設、緩和ケア診療加算の見直しなど、保険薬局においては薬局そのものの機能分化やかかりつけ薬局からかかりつけ薬剤師へのシフトなど、診療報酬に関わる変化が多くなっている。
このようななかで、社会や診療報酬がどのように変化しようとも、緩和ケアにおいて薬剤師の役割は、早期の症状緩和、スピリチュアルペインへの対応、家族ケア、医療連携とブレることはない。これらのスキルをいち早く身につけて、高めることが必須である。
しかし、スキルを身につけることは容易ではない。身近に適切な指導者がいる場合を除いては、多くの書籍を読まなければならない。緩和ケア関連の書籍は多く存在するが、医師が医師のために書いたものであったり、看護師向けのものであったりする。薬剤師向けの書籍の多くは、薬を薬理学的視点から解説したものが多い印象である。
そこで本書のコンセプトは、処方提案のできる薬剤師になるために、症状や薬剤の解説とともに、経験豊富な著者陣が仮想症例を提示して読者に処方提案などを考えてもらい、可能なら同僚の方々とディスカッションができればと考えて作成した。薬の選択の根拠はエビデンスや薬理作用だけでなく、患者背景や家族背景などさまざまな要因がある。よって、実際に即した内容となるように著者一同工夫した。
本書は現在、第一線で緩和ケアを実践している薬剤師の知識の整理や後進育成のためのテキストとして、また、これから緩和ケアを実践する薬剤師の手引きとして、さらには、緩和薬物療法認定薬剤師を目指す薬剤師にとっても有用なものとなるように編集した。内容は可能な限り最新の薬剤の情報と、ガイドラインの内容を盛り込んでいるが、日々進歩する医療のなかでは、常に最新の添付文書の確認や、新たに出版されたガイドラインを併用してご活用いただきたい。
今後はさらに良いものに改訂したいと考えていることから、読者諸氏からの忌憚のないご意見を出版社へお寄せいただければ幸いである。
 
岡本禎晃
荒井幸子

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