薬剤師のための 死と向き合う患者のこころのケア

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もう悩まなくていい。

薬剤師のための 死と向き合う患者のこころのケア

精神科医が教えるベッドサイドのコミュニケーション

商品コード 55016
編著 清水 研/著
判型 A5判
発行日 2023年3月
ページ 244頁
定価 ¥3,300(税込)
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内容

●なぜあのときモヤモヤしたのか? こころの動きを知る16のケース
●「悲しむことは悪いことじゃない?」「そもそも他人の気持ちはわからない?」「解決法を見出さなくてもよい?」など
 
患者さんが怒り出してしまった…、泣き出してしまった…、死にたいと訴えてきた…。あなたならどう対応しますか? がんなどの重篤な疾患に罹患し、強い不安を抱えている患者さんのこころの動きを知るとコミュニケーションがスムーズになるばかりか、患者さんの精神的苦痛を和らげることにもつながります。薬剤師が臨床でコミュニケーションに苦慮するさまざまな場面・16ケースを取り上げ、薬剤師の薬丸先生が抱いたモヤモヤについて、精神科医の清水先生が、精神医学的な観点から "こころ" をわかりやすくひも解き、対応法について解説します。
※本書は月刊誌「月刊薬事」の連載「薬剤師が行うこころのケア~こんなときどうするの?~」(2018年9月~2019年8月、全12回)をもとに加筆修正し、再構成したものです。

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目次

PART 1 こころを知るための基本

INTRODUCTION 総論 がんに罹患したときのこころの動きとは…
 
PART 2 こころの守り方
CASE 01 事実を伝えることで患者さんを傷つけてしまうことがある
     ~患者心理・否認とは~
CASE 02 つらい気持ちを聞き出そうとしてはいけない患者さんがいる
     ~患者心理・抑圧とは~
CASE 03 医療者に甘えることでストレスを和らげようとする患者さんがいる
     ~患者心理・退行とは~
CASE 04 患者さんに「あなたはダメだ」と叱責されたとき
     ~その言葉を真に受けてはいけない!~
CASE 05 がん告知後の患者さんの反応が乏しく、十分な服薬指導ができないとき
     ~患者心理・解離とは~
 
PART 3 負の感情の役割を考える
CASE 06 患者さんが目の前で泣き出したらどうする?
     ~悲しみという感情の役割~
CASE 07「なんで私ばかりこんな目にあうの!?」と怒りをぶつけられたらどうする?
     ~怒りという感情の扱い方~
CASE 08 患者さんから「死」の話題が出たらどうする?
CASE 09 不安が強い患者さんにどう対応する?
 
PART 4 上手な話の聞き方
CASE 10「あなたに私の気持ちがわかるの?」と言われたら?
     ~共感とは:患者さんの気持ちがよくわからないとき~
CASE 11「もう死んでしまいたい」と言われたら?
     ~希死念慮への対応法~
 
PART 5 発達障害やAYA 世代の患者さんへの対応
CASE 12 なんだか話がかみ合わないのはなぜ?
     ~発達障害傾向のある患者さんの特性を知ろう~
CASE 13 高校生の気持ち、わかりますか?
     ~思春期特有の心理を知っておこう~
 
PART 6 家族や遺族への対応
CASE 14 患者さんと家族の意向が異なるときどうする?
     ~一生懸命励ます家族の思いとは~
CASE 15 子どもの病状を受け入れられない家族にどう対応する?
     ~子どもの意向はどうなる?~
CASE 16 大切な人の死から立ち直れない人に何ができる?
     〜遺族のケア〜

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序文

 はじめに

 
「つらい病気を抱えている患者さんに、きちんと向き合うことができるようになるための、実践的な本を作りたい!」というのが、この本を作った最初の動機です。
 
「苦しんでいる患者さんをケアしたい」という熱意をもっている方は多いのですが、難しい場面がたくさんあり、気持ちだけでは乗り越えられない壁があります。対応に困り、どうしたらよいか悩んでいる方も多いでしょうし、もしかしたら燃え尽きてしまいそうな方もいらっしゃるかもしれません。そのような方に、わかりやすく患者さんとのコミュニケーションに関する方法論をお伝えすることを、この本は目指しています。
 
私は精神医学を専門としていますが、医師になって6年目に国立がんセンター(当時)に赴任してがん患者さんの診療を始めたとき、それまで学んだ精神医学の知識だけでは患者さんとどう向き合ったらよいかわからず、最初は「自分には何もできない」という無力感を日々味わう経験をしました。
 
赴任当時の私の年齢は30代前半で、重い病気に罹患することがどのような意味をもつのか、病気の先にあるかもしれない「死」と向き合うこととはどのようなことなのかについて、真剣に考えたことがありませんでした。重い病気に罹患するということは、自分にはよくわからないけれど、きっととてつもなく恐ろしいことなのだろうと思えました。なので、担当する患者さんから「病気が治らないと言われたんだけど、どうしたらよいのか?」という問いを投げかけられたとき、どう答えてよいかまったくわからず、言葉が出ずに窮してしまいました。当時の私にとって、病状が思わしくない患者さんのベッドサイドに赴くことは、とても気が重いことでした。
 
それから20年以上の間、私は4、000人以上の患者さんの診療を担当するなかで、試行錯誤しました。いくつかの心理学の方法論も習得しながら、少しずつ「あぁ、こうすれば向き合うことができる」という、コミュニケーションのスキルを学んでいきました。また、その方法は定式化して伝えることが可能であったので、周囲の医療者や後輩の医師に紹介すると好評をいただきました。そこで、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思っていました。
 
私は2013年から、縁があって薬剤師の方々を対象とした精神心理的ケアに関する教育プロジェクトに携わっております。そして、教育プロジェクトを進めるなかで、臨床経験豊富な薬剤師の方々と多く知り合うことができました。
 
彼らとさまざまな話をしていると、薬剤師の方々にも、患者さんとのコミュニケーションについて悩んでいらっしゃる方が多いことを知りました。「近年、薬剤師はベッドサイドに出ていく機会が多いが、大学の教育ではコミュニケーションについて学ぶことがほとんどないので、どうしたらよいかわからない」という声も多く聴きました。
 
そこで、教育プロジェクトで協働した薬剤師の方々と協力して、『月刊薬事』に2018年9月号から1年にわたって「薬剤師が行うこころのケア こんなときどうするの?」という連載を行いました。薬剤師が困る場面を提示し、対応法を提示したこの連載は好評を博し、今回編集を担当した関口さんから書籍化のご提案をいただきました。そこで、いくつかの原稿を書きおろし、やっと出版の運びとなりました。
 
出版にあたり、いっしょにご執筆いただいた8名の薬剤師の方々に、こころより御礼申し上げます。臨床経験豊富な皆様のおかげで、薬剤師の方々にとってリアルな場面を提示することができ、とても実践的な内容に仕上がったと思います。そして、取り上げた場面は普遍的な内容を含みますし、『月刊薬事』の連載は薬剤師以外の職種の方にも好評でしたので、本書は薬剤師に限らず、重い病気と向き合っている患者さんと関わる機会がある他職種の方にも、十分参考になる内容であると思います。
 
本書が多くの方々の役に立ち、ひいては患者さん・ご家族の苦しみが少しでも和らぐことを、こころから祈っております。
2023年2月
清水 研

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