Chernobyl Medical Fund Newsletter (3)


2009年ベラルーシ訪問記

         長野県立こども病院新生児科部長:中村 友彦

 昨年は、ミンスク医科大学をはじめとするミンスク、ゴメリ、モーズリ市内の母子病院を見学し、多くの新生児科医、産婦人科医にもお会いしてベラルーシ周産期医療の現状を知ることができました。
 今年は昨年の経験を基に、長野県内の周産期医療従事者に行っている「新生児蘇生法」の講習をミンスクの国立医療研究所「母と子の病院」とゴメリ産院で、スライドは英語で、話は小川様にロシア語に通訳していただいて講演をしました。ミンスクの国立医療研究所「母と子の病院」では、土曜日にもかかわらず事務局長、院長をはじめ40数名の医師に集まっていただき、1時間の講演後にさらに約1時間の質問を受けました。かなり具体的な質問が多く「早産児の頭蓋内出_の予防はどうしているか?」「動脈管の治療は、手術適応は?」など、蘇生以降の新生児ケアに関する質問を多く受けました。終了後には数名の医師より「スライドをもらいたい」との申し出もあり、その熱心さに感心しました。ゴメリ産院では、昨年もお会いした産婦人科のパラノフスカヤ教授のお世話で、ゴメリ小児病院の院長先生はじめ講義室満員の先生にお集まりいただき、ミンスクの時と同様に講演後には大変多くの質問を頂きました。ゴメリでは日本の周産期医療の現状や、他のこども病院との連携などのシステムに関する質問が多く、ミンスクとの違いを感じました。両講演の中で、私どもが最近作成した「早産児の蘇生とケア」のDVDの動画もお見せしたのは、大変効果的だったようです。
 その後、今回の私の2つ目の仕事である、CMFの支援で日本への留学を希望する先生の面接を行いました。6名の先生が来られましたが、後に聞いた話では、年齢制限のために今回は面接参加を断念した先生が数名おられたとのこと、CMFへの期待の大きさを感じました。1人10分程の面接で、「新生児医療の経験」「日本留学の目的」「日本での経験は帰国後どんなことに役立つと思うか」等をお聞きしました。皆さん大変熱心で、強い意志を持っておられることを感じました。今回は、日本での研修終了後、ベラルーシで指導的役割を果たせるかどうか?を一番の選考基準にして、候補の先生を推_させていただきました。今回の応募者はすべて女性で子どももおられる先生も多く、短期間とはいえ、家庭を離れ海外で勉強する機会を目指すベラルーシの女性医師を支える社会システムは、むしろ我々がぜひ教えていただきたいと思います。ちなみに、さすがベラルーシ!どの方も大変きれいな女性で、こんな面接の機会を与えていただいたことに感謝します。
 最後に、今回一番印象深かったことが、ゴメリでの長野県出身の大学生坂本龍太朗君との出会いです。彼がゴメリで学ぶことになった経緯は、別紙にレポートがあるかと思います。「将来は国際機関で働きたい」と目を輝かせていた彼に感動しました。CMFが育てた坂本龍太朗君が世界で活躍する日が近いことを確信しています。
 今回の訪問では、新型インフルエンザの問題で出発寸前まで宮田理事長、北和田様にはご苦労をおかけしました。また団長として、今年も楽しい訪問旅行をリードしていただいた千原様、講演でのお手伝いをしていただいた橋本先生、そして今回も新生児医療の専門分野から日常会話まで通訳をしていただいた小川様に深謝いたします。今年度中にベラルーシからの先生をこども病院にお迎えできることを楽しみにしております。







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