Chernobyl Medical Fund Newsletter
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 感 謝

ベラルーシより〜 坂本 龍太郎

  今回ゴメリにて訪問団に合流させていただいた坂本龍太朗です。ベラルーシからこのような報告をさせていただけることを感謝します。
 私の出身は長野県更埴市(現千曲市)であり、菅谷先生の活動に影響を受け今まで生きています。私が中学校2年生の時、菅谷先生がわが中学校に講演に来てくださいました。その際、私と同じ年代の子ども達がベラルーシでチェルノブイリ原子力発電所の事故により苦しんでいる状況に心が痛み、同時に菅谷先生のベラルーシでの活動に大きな感銘を受けました。その後2002年に、菅谷先生をはじめCMFの皆様に支えていただきベラルーシでの文化交流を行いました。ベラルーシの人々との触れ合いが現在また僕がここに戻ってくる大きな原動力になっていることは否めません。その後もベラルーシに興味を抱き続け、2008年の夏より静岡大学派遣の交換留学生としてベラルーシのゴメリ大学にて学んでいます。毎年日本からの訪問団がベラルーシを訪問されていることは耳にしていましたが、今回このような形で合流させていただけるとは嬉しい限りです。ベラルーシに来て以来、初めての日本人との出会いでした。忙しい中、何度もメールを送らせていただいた、北和田様に感謝しています。
 私はベラルーシに住み、この国の生活を知ることで自分が将来できることを今でも探しています。生活面、勉強面から多くの問題を目にしてきました。医療面においてもベラルーシはまだまだ支援が必要です。冬になれば多くの患者に病院の収容が間に合っていません。待合室のソファーに入院していた友人を見て、とても心が痛みました。
 現在、ベラルーシで一番問題となっている病気はエイズです。私達留学生はベラルーシ入国前にエイズが陰性であるという証明書の提出を義務付けられている上、年に2回の_液検査もあります。ベラルーシの中でもゴメルはエイズ感染者数がとても高いことで有名です。しかしながらこれと言って目立った対策がなされていないと感じています。
 ベラルーシ政府はチェルノブイリ原子力発電所の事故を過去のこととして片付けようとしています。しかし人々にとっては未だに日常的な問題です。雨が降れば「放射能がまだあるから怖い」という声を聞き、水が汚いことや、空気が汚い理由として一番聞かれるのはやはりいつもチェルノブイリです。
 単刀直入に、ベラルーシは根本的な改革がなされなければ今国民が抱えている多くの問題は解決されないと思います。市民活動を発展させて、全体を変えていくという理想的な方法は近い将来においてもあまり考えられません。そのため、その改革には外国からの支援なしではとても難しいでしょう。ベラルーシの周辺国においてもこの国の問題を知りながら、行動を起こしている人々は多くありません。同時にベラルーシの人々は皆、日本にとてもいい印象を抱いています。その日本から毎年訪問団がベラルーシにいらしていること、そして何よりCMFの皆様からの支えはベラルーシの人々にとって、とても心強いものになっているに違いありません。ゴメリでの報告会にてベラルーシの医師たちからの質問が止まりませんでした。この状況を目にし、日本からベラルーシにできることはまだまだたくさんあるのだろうと感じました。
 ベラルーシの人々にとって、日本は夢の国、自由の国です。日本人であるというだけで特別扱いされることはよくあります。私がこのようにベラルーシの人々にあたたかく受け入れられるのも、CMFの皆様のお陰であると心から感謝しています。同時に、日本がベラルーシから学べることも多くあるでしょう。いつか幅広い面において両国が支援し合える関係を夢見ています。
 私はこの国に住み、「人は生まれながらにして平等」ということは理想であり、現実ではないと感じています。しかしこの理想に向かって私達が日本人としてできることはたくさんあります。私は自分の生涯をかけてこの理想が全世界で実現されるよう努力していきます。いつかベラルーシと日本が国民の心の中から隣国になれる日を夢見ています。
 最後に、今回ベラルーシでお世話になった中村先生、橋本先生、千原さん、小川さんをはじめCMFの皆様に今一度感謝を申し上げます。ありがとうございました。



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