【治療薬ハンドブック】「たーぼーとおさらい」シリーズを公開!

こんにちは。治療薬ハンドブック編集部のKです。
治療薬ハンドブックといえば、付属のアプリをご使用いただいている方も多いかと思います。書籍に封入されているシリアルコードを登録すれば、充実した「読者限定機能」が解放されますが、なかでもご好評いただいているのが“動画”。2024年版では、「Webセミナー」として執筆者の先生方に各薬効群の最新トピックスなどを解説いただきましたが、今年公開するのは「たーぼーとおさらい」シリーズです!
「たーぼーとおさらい」は、SNSで生理学や薬理学などをわかりやすく発信されている薬剤師ロクガツさんによるもので、治療薬ハンドブックの総説(各章のはじめにある文章の解説部分)の概要を「たーぼー」というキャラクターが解説してくれています。学生さんや若手医療職の方、得意でない薬効群について勉強したい方、復習したい方にピッタリ! このたび第1弾「抗精神病薬」が公開されました。
今回はその薬剤師ロクガツさんに、クリエイターとしての裏話や、「たーぼーとおさらい」の制作にあたっての意気込みなどを伺いました!
「たーぼーとおさらい」制作者・薬剤師ロクガツさんインタビュー
―まず自己紹介をお願いします!
こんにちは。薬剤師ロクガツと申します。
4年ほど前から、誤解や偏見を生みやすい複雑な生理学や薬理学について「イラストを用いてわかりやすく」を心がけながらInstagram、X、YouTube、Webメディアにて発信しています。薬剤師はじめ看護師、医師、管理栄養士、登録販売者といった医療関係の方々や、それらを目指す学生の方々に多く見ていただけているようです。
「ロクガツ」という名前の由来は、私の誕生月である「6月」です。6月は1年の折り返し地点でもあり、前半を振り返り、後半に向けて新たな学びや挑戦をする時期とも言えますよね。医療や薬の世界は日進月歩です。私自身も「常に学び続け、現状を見直し、新しい知識を取り入れる姿勢を大切にしたい」という想いから、この名前にしました。
現在は、生理学・薬理学だけでなく、より多くの方が「不要な選択」を避けることができるようなサポートをしたいと考え、中医学も学んでいるんですよ。西洋医学と中医学の両方の視点から、根本的な解決策を総合的にお伝えできるよう努めています。
―発信されるようになったきっかけを教えてください。
発信活動を始める前は派遣薬剤師として全国各地で勤務していました。現場で多くの患者さんと接する中で、週刊誌の誤った薬学情報や、周囲の方の意見を鵜呑みにしてしまっている方々にたびたび出会いました。
また、息子を出産し、子育てを通じて衝撃的だったのは「ワクチンを打つと自閉症になる」「ステロイドは危険だから使うべきではない」という考えを持つお母さんが少なくなかったことです。母子手帳のワクチン欄が真っ白なままの赤ちゃんや痒みで肌をかき壊しているのにステロイドを拒否するお母さん…その姿を見て、ただただ胸が痛みました。
話せば理解してもらえることも多いですが、直接対応できる患者さんの数には限りがありますよね。そこで「薬学が難しいからこそ、誤解や偏見が生まれるのでは?」と考え、より多くの方に正しい知識を伝えるため、誰にでもわかりやすく学べる生理学・薬理学を、イラストで表現し発信する活動を始めたのです。
―なるほど、そんな経緯があったのですね! 発信されることについて、何か目標などはありますか?
最終目標は、「薬学部に進まなくても、子どもたちが薬に関する基本的な知識を持っているのが当たり前の社会を作ること」です。しかし、この目標を実現するには、私一人の力では限界があります。
そこで、まずは薬に興味のある方や登録販売者、看護師、薬学生の方々を対象に、身近な薬・中医学・漢方・薬膳について、イラストを活用してわかりやすく学べる教育を提供する会社を設立したいと考えています。
この活動を通じて、薬や身体への理解を深め、日々の生活や業務に役立つ知識を広めることができれば、いずれ子どもたちにもその考えが届くはずです。誰もが自然に薬の知識を持ち、健康を守れる社会の実現を目指します。
―普段どのように投稿内容を作成されていますか? 特に気を付けているポイントなどはありますか?
普段はデジタルで発信していますが、投稿を作成する際はパソコンではなく、ノートや付箋に手書きで書き出すことから始めます。これは、伝えたいことが溢れてパンパンになった頭を整理するためです。
手を動かして書くことで思考のスピードが適度に落ち、じっくりと考えることができ、それにより思考が深まり、より的確に伝えたいことを整理できるようになるような気がしています。
特に気を付けているのは、見ていただいている方が内容を理解するにはどのようなイラストで表現すれば伝わりやすいか、どの程度まで噛み砕いて表現すれば伝わりやすいかということですが…いつも苦戦していますね。
―発信をされているなかでよかったと思うのはどのようなときでしょうか?
発信したコンテンツをご覧になられた方から「わかりやすかった!」「勉強になった!」というコメントをいただけると本当にうれしいです。特に、医療関係の学生さんや新人さんが「試験や仕事で役に立った」と言ってくださると、「発信していてよかったな」と感じます。
発信した内容をご覧になった患者様やそのご家族の方からご相談が届くこともあります。もちろん担当医の方に聞くべきことであれば私の知識をもとにした回答は控えていますが、発信した内容から私的なご相談をいただくほどに信頼を得られたのかと思うと、決して間違ったことを伝えてはいけないと、改めて襟を正す気持ちです。
―ロクガツさんのコンテンツといえば「たーぼー」による解説ですよね。とても可愛らしい「たーぼー」ですが、どのようにして誕生したのでしょうか?
「薬の知識がない幼い子どもでも、むしろ幼いからこそ自分を守る力を身につけてほしい。なぜなら、大人だからといって必ずしも正しい方向に導いてくれるとは限らない」。そんな想いから、子どもたちにも親しみを持ってもらえるキャラクターを作ろうと考え、当時0歳だった息子をモデルに「たーぼー」が誕生しました。
たーぼー
―お子さんがモデルだったんですね! 今回治療薬ハンドブックの動画制作をお引き受けいただきましたが、治療薬ハンドブックについてはどのようなイメージをお持ちでしたか?
いつも手元に置いておきたい相棒のような本です。中高生のころ使っていた英語辞書のような印象があります。
新人時代、ベルソムラ®を一包化してしまうという失敗をしました。その日、きつくお灸を据えられた帰り道に書店で手に取ったのが、治療薬ハンドブックでした。薬剤ポイントの欄には、「ベルソムラ®は光・湿度の影響を受けるため、一包化は避ける」としっかり記載されており、自分の知識不足を痛感したことをいまでも覚えています。さらに、ベルソムラ®は薬価が高く、廃棄することがどれだけ業務上問題になるかもこの失敗を通して思い知りました。それ以来、手帳に頻繁に扱う薬剤の情報を書き込む習慣をつけるようになり、業務後はカフェで勉強する日々に。
苦い思い出ですが、私にとって治療薬ハンドブックは薬剤師としての基礎を築くきっかけとなった大切な本です。
―そんな風に言っていただけると、編集部一同涙が出るほどうれしいです…! 最後に、今回「たーぼーとおさらい」を制作されるにあたり、意気込みなどありましたらお聞かせください!
治療薬ハンドブックを使われる方の多くは、日々患者さんと向き合いながら、忙しい業務をこなす医療者の皆さんだと思います。ミスや判断の誤りは患者さんの健康に影響を与えるおそれもあり、常に緊張感を持って業務に取り組まれていることでしょう。
そんな日々の中で、ピンク色の生き物「たーぼー」が、治療薬ハンドブックからひょこっと現れ、皆さんの学びにエールを送るような動画を作りたいと思っています。
業務の合間に、少しでもほっこりとして前向きな気持ちで学びに取り組めるきっかけになればうれしいです!
「たーぼーとおさらい」シリーズは今後も不定期で続々公開予定です。治療薬ハンドブックアプリの「P+(ピータス)」を開くと最上部に表示される「治療薬ハンドブックウェブセミナー」のボタンからご視聴いただけます。ぜひご活用ください!

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