2026.09.16

【診療報酬】「数字」でみる、過去10年分の疑義解釈通知(PartⅠ)

 診療報酬改定のたびに、医療機関のレセプト請求担当者が継続的にチェックする資料があります。それは、改定後に随時発出される、厚生労働省保険局医療課の事務連絡「疑義解釈資料の送付について」(以下、疑義解釈通知)です。
 いわずもがな、診療報酬改定でまず押さえるべき中心的な資料は、改定時に発出される厚生労働省告示「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」です。あわせて、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」や、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」などといった各種告示・通知も、実務上は外せない通知といえます。
 そのなかでも、より具体的な取扱いや個別のケースを示し、実務上の対応を明らかにしているのが疑義解釈通知です。その内容によっては、実務上の取扱いが変わることもあり、もはや“改定通知のおまけ”とはいえない、大変重要な情報といえるでしょう。
 今回は、平成28年度改定から令和8年度改定※1までの過去10年分(6改定分)について、疑義解釈通知の「発出本数」と、そこに収載された「設問数」を集計してみました。通知は何本出たのか、そして、そこには何問の疑義解釈が収載されていたのか。2つの数字を並べてみると、改定ごとの違いがみえてきました。

※1:令和8年度診療報酬改定の疑義解釈通知は、同年7月末日時点までを集計。

疑義解釈通知の「発出本数」の違いは?

 まずは、一番わかりやすい数字からみていきましょう。各改定年度で発出された疑義解釈通知の本数を比較したものが図1です。令和2年度には通知本数が大きく増えていますが、これは、令和2年度に新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)が流行し、検査や診療報酬上の取扱いなど、さまざまな事項について事務連絡が相次いで発出されたことが影響しています。

 

図1 改定年度別 疑義解釈通知 発出本数(自社調べ)



 従来は、1つの事務連絡に複数の設問・回答が掲載されることがほとんどでしたが、令和2年度と令和4年度には、新型コロナに関する事項について「1つの事務連絡に1つのQ&Aのみ」といった通知が数多くみられました(表1)。こうした事情も、両年度の通知本数が大きく増えた一因と考えられます。医事課職員のみなさんは、この時期、【SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出】などの言葉を、頻繁に目にしたのではないでしょうか?

 

 ちなみに、平成24年度および平成26年度の疑義解釈通知の本数は、どちらも10本台半ば程度でしたので、いかに令和2年度および令和4年度の通知発出本数が例年と比べて多かったかがわかります。

疑義解釈通知の「総設問数」の違いは?

 先ほど、令和2年度および令和4年度の通知本数が多かった主な理由として、「新型コロナ関連の通知が多かったこと」を挙げました。実際、令和2年度の総発出本数は101本で、うち79本に新型コロナに関連する内容が含まれていました。この数字からも、新型コロナ関連の事務連絡が通知本数を押し上げたことがうかがえます。
 しかし、「新型コロナ関連の通知が多かった」という事実を踏まえると、1つの疑問が浮かんできます。

『「新型コロナ関連の通知は、1つの事務連絡に1つのQ&Aのみというものが多かった」ということは、トータルの情報量としては例年と変わらないのでは…?』

 こういうことを考えてしまったが最後、もう調べるしかありません。ですので、過去10年分(6改定分)の疑義解釈の設問数を、手作業で数えてみました(図2)。

図2 改定年度別 疑義解釈通知 設問数(自社調べ)


 通知の発出本数では最も多かった令和2年度ですが、設問数でみてみると、実は6改定中で最も少ないことがわかりました。一方、最多の設問数となったのが令和4年度で、その数は838問。次いで令和6年度の828問となっています。 さて、図2をご覧いただいて、何か気づかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「令和8年度の設問数が、改定年の7月末日時点で707問なのはかなり多いのでは…?」

 図の注釈にもあるとおり、令和8年度は、改定からまだ半年も経過していない7月末日時点での集計ですが、すでに令和2年度以前の設問数を上回っています。
 令和8年度は、賃上げや物価高騰への対応、急性期・高度急性期入院医療の評価における見直し、段階的に拡充されるベースアップ評価料など、さまざまな見直しが行われました。これに伴い、医療機関における届出や算定ルールの確認・対応項目も多岐にわたっています。こうした改定内容が、疑義解釈通知の設問数の増加にも影響しているのではないかと考えられます。
 次回は、令和8年度分の設問数を押し上げている要因の解明も含め、種別ごとの割合や発出本数などを比べていきます。

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