2026.05.28

慢性腎臓病(CKD)の緩和ケア 実践に向けて【月刊薬事2026年4月号】

慢性腎臓病(CKD)の緩和ケア 実践に向けて【月刊薬事2026年4月号】

 非がん疾患に対する緩和ケアの重要性が高まるなか、「腎不全患者のための緩和ケアガイダンス」が公表されたほか、2026年度診療報酬改定で「緩和ケア診療加算」の対象に腎不全患者が追加されるなど、緩和ケアチーム全体で腎不全の緩和ケアを実施することが期待されています。月刊薬事2026年4月号特集「慢性腎臓病(CKD)の緩和ケア 実践に向けて」のオーガナイザー、大武陽一先生に、企画のねらいや読みどころなどを伺いました。


腎不全緩和ケア――大きく変わる薬剤師の役割

 2026年6月の診療報酬改定により、腎不全における緩和ケアがついに保険診療の対象として明確に位置づけられた。現場の薬剤師にとっても、役割が大きく変わる大きな出来事である。
 腎不全患者の症状は多岐にわたる。疼痛、呼吸困難、掻痒感、悪心・嘔吐、倦怠感、不眠、浮腫──これらが複合的に重なり合い、患者のQOLを著しく損なう。さらに、透析患者では抑うつ・不安、せん妄、認知症(BPSD)といった精神症状も無視できない。身体症状と精神症状が交錯するなかで、いかに患者の苦痛を和らげるか。それが本特集のテーマである。
 腎機能低下は薬物動態を大きく変化させるため、症状緩和薬の選択と用量設計は一筋縄ではいかない。オピオイドの活性代謝物蓄積、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の禁忌、鎮静薬の過剰蓄積リスク──薬剤師が関わらなければ見落とされかねない問題がこの領域には山積している。オピオイド一つをとっても、腎不全患者への投与設計は健常者とは大きく異なる。まさに薬剤師の出番である。
 本号は「慢性腎臓病(CKD)患者の抱える問題」、「症状緩和を知る」、「その他(社会的課題)」の三部構成で編集した。CKDの基本的事項から、病期ごとの治療選択、保存的腎臓療法(CKM)、多職種チームにおける薬剤師・看護師それぞれの役割、そして疼痛・吐き気・便秘・かゆみ・抑うつ・不眠・せん妄・認知症のBPSDなどといった症状緩和の実践を幅広く網羅している。さらに、予後、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、退院支援、地域連携といった社会的課題にも踏み込んだ。
 チームのなかで薬剤師がどう動くか、何を情報として提供し、どう意思決定を支えるか。制度が整った今こそ、実践を積み上げるときである。本号がその一助となれば幸いである。

大武 陽一

月刊薬事2026年4月号

月刊薬事 2026年4月号(Vol.68 No.5)

【特集】慢性腎臓病(CKD)の緩和ケア 実践に向けて

近年、がん領域だけでなく、非がん疾患に対する緩和ケアの重要性が注目され、2025年9月には日本緩和医療学会、日本腎臓学会、日本透析医学会の3学会から「腎不全患者のための緩和ケアガイダンス」が公表されました。さらに、2026年度診療報酬改定では「緩和ケア診療加算」の対象に腎不全患者が追加されるなど、緩和ケアチーム全体で腎不全の緩和ケアを実施することが期待されています。
本特集では、腎不全患者が抱える身体的・心理的・社会的課題を理解し、薬剤師が医療チームの一員として腎不全患者の緩和ケアに主体的に関わり、実践につなげられることをめざします。

目次はこちら

特集にあたって――腎不全緩和ケア 大きく変わる薬剤師の役割……大武 陽一

■慢性腎臓病(CKD)患者の抱える問題
 慢性腎臓病(CKD)の重症度分類と臨床経過………大月 伯恭
 病期ごとの治療方法………北村 温美
 緩和ケアが注目されるようになった背景………丹波嘉一郎
 保存的腎臓療法(CKM)と腎臓支持療法(KSC)………坂井 正弘
 多職種チームにおける薬剤師の役割………吉田 拓弥
 多職種チームにおける緩和ケア体制の構築――看護師の役割………高井 奈美

■CKD患者のよくある症状緩和を知る
 痛み………合田 建、官澤 洋平
 吐き気………長辻 克史、山﨑 大輔
 便秘………堀田亜州美,瀬口 由芽、部坂 篤
 慢性腎臓病(CKD)に伴う掻痒症の緩和ケア………川崎 創
 抑うつ・不安………志賀浪貴文
 不眠(レストレスレッグス症候群を含む)………大武 陽一
 せん妄………大内 雄太、藤倉 恵美
 認知症(BPSD)………………岡 文恵

■チーム医療・地域連携などの支援体制
 予後とアドバンス・ケア・プランニング(ACP)――透析の開始と継続に関する意思決定プロセス………岩田 幸真
 退院支援とソーシャルサポート………藤田 譲
 京都府におけるCKDシールを用いた地域連携………松下 智侑
 CKD患者への外来での薬学的管理――岡山大学病院での取り組み………有木 沙織

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