OTC販売のプロが教える“来局者の背景から選んではいけない商品を選ばない技術”

セルフメディケーションが推進され、保険薬局の役割拡大が求められている。そうしたなか、薬剤師や登録販売者が“現場で本当に知っておきたい情報”を一冊に凝縮した「商品選びの超決定版 OTC薬ポケットマニュアル」が2025年7月に発売された。本書は発売直後から大きな反響をよび、即重版となった。なぜ、これほどまでに多くの専門職から支持されるのか──。その理由を、本書を手掛けた鈴木伸悟氏(株式会社メディカルガーデン OTCセルフメディケーション推進室 室長)に聞いた。
――なぜ今、薬剤師にOTC薬の知識がこれほど求められているのでしょうか?
大きな背景として、国の制度変更があります。昨年の診療報酬改定から地域支援体制加算の要件に「48薬効群のOTC薬の取り扱い」が加わり、さらに2026年度にはOTC類似薬が保険適用から除外される議論が進んでいます。
これまで調剤をメインにしてきた薬剤師のなかには、OTC薬に苦手意識をもつ方も少なくありませんでした。しかし、こうした時代の流れから「いよいよOTC薬を勉強しなければ」という機運が高まっているように思います。そこで「何から始めればいいのだろう?」と悩んでいる方々にとっては、本書がちょうど良いタイミングであったのではないかと思います。
――膨大なOTC薬のなかから、掲載する約250品目はどのように選んだのですか?
軸は大きく2つです。一つは、「売れ筋であること」です。お客様からの質問が多い商品は必ず入れるようにしています。
もう一つは、「売れ筋ではないが、欠かせない商品であること」です。薬学的にみて、「単剤である」などの来局者に提案しやすい商品が、必ずしも売れているとは限りません。放っておくと販売数が伸びずに販売終了となる可能性があるかもしれません。そうした商品をしっかり紹介し、残していくこともこの本の使命だと考えています。ただし、現場で手に入らない商品や、すでに販売終了したものを紹介しても意味がないので、「本当に現場で使えること」を徹底的に意識し、厳選しました。
――本書ならではの特徴を教えてください。
「来局者の背景から選んではいけない商品を、選ばない技術」が身につくことです。本書では、メーカーのCMがうたう「効き目」中心の“推し文句”とは一線を画し、専門家として「この人には売ってはいけない」と判断するための視点を随所に盛り込んでいます。例えば、各項目のはじめに「選び方のコツ」や「使い分け」を簡潔にまとめ、思考の幹をしっかり作れるようにしました。商品一覧の比較表では、添付文書の膨大な情報から「明確な違いが出る部分」を抜き出して比較できるようにしているので、一目でポイントが掴めます。
さらに、他書籍にはない試みとして、「質問フレーズ」を具体的に提示しています。痛み止めなら「いつも使っているお薬はありますか?」、目薬なら「コンタクトレンズはしていますか?」といった、その後の対応にスムーズにつながる問いかけを、これまでの経験をもとにまとめています。
――商品のパッケージ写真を掲載したことには、どのような意図があるのですか?
お客様は「水色のパッケージで、顆粒で…」というように、記憶のなかのパッケージデザインで薬を伝えることがあります。その時、「商品名がわからないと対応できません」と返すのではなく、「もしかして、〇〇のお薬ですか?」と症状などを確認しつつ、対応することが大切だと思います。また、例えば「パブロン」と一括りにいっても、シリーズによって成分は異なり、高血圧の方には禁忌のものもあれば、使用を検討できるものもあります。
パッケージの視覚情報と商品知識を結びつけておくことは、重大なミスを防ぐうえでも極めて重要です。OTC薬は「商品」ですから、その「顔」であるパッケージをある程度覚えることは、的確な接客に不可欠だと考えています。
――現場の薬剤師や登録販売者の方に、この本をどのように活用してほしいですか?
ポケットサイズなので、ぜひ白衣のポケットに入れて現場で必要な時に使っていただきたいのですが、実は休憩時間や通勤中にもパラパラと眺めてほしいのです。「読んだ翌日に、まさにその症状の患者さんが来た」という声をたくさんいただくのですが、少しずつ読み進めることで知識が記憶に残り、いざという時に役立ちます。
――最後に、本書を手に取る読者へメッセージをお願いします。
今、多くのお客様がCMのイメージなどでOTC薬を「パケ買い」している現状が多いと思います。しかし、その選択がその人にとってベストとは限りません。これからの薬剤師・登録販売者には、「お客様が選んだその薬は、本当に最適なのか」という専門家の視点で寄り添い、より良いセルフメディケーションをサポートする役割が求められます。対話を通じてお客様に寄り添うための“現場の武器”として役立つ一冊となっています。日々の業務のお供に、ぜひお役立てください。

商品選びの超決定版
OTC薬ポケットマニュアル
定価3,630円(本体3,300円+税10%)
よくみる250品以上の商品写真をフルカラーで掲載!
薬剤と商品選びのエッセンスをギュギュッとまとめた1冊です。第1章では、薬効群ごとに、症状や患者背景に応じた薬剤選びのポイント、受診勧奨の目安などをコンパクトに整理。250品以上の商品を写真付きで解説し、それぞれの特徴や使い分けのコツをわかりやすく紹介しています。第2章では、現場で「これだけは押さえておきたい」という情報を一覧形式で掲載。知識の引き出しを増やし、症状に合わせたイチ押し商品を選びたい方におすすめです。
