【書評インタビュー】 研究という“断崖絶壁”を、越えられるハードルに。「難しい」が「できるかも」に変わる読者体験 ──児島悠史先生

――本書をお読みいただく前、児島先生ご自身は、研究に対してどのような印象をもたれていらっしゃいましたか?
「難しい」ですね。自分も挑戦してみたい気持ちはありますが、新しい臨床疑問を思いついても、それをどのような手法で研究するのが適しているのか、どんな準備や下調べが必要なのか、またこれを誰に相談すれば良いのか……どれも全くわからないため、非常に大きなハードルを感じていました。研究は、一部の“すごい人”たちだけができる特別なもの、というイメージすらありました。
――「研究にハードルを感じていた」とのことですが、まさに本書はそういった方に向けて作られています! 実際にページを開いてみて、全体の構成や、マンガ・対話形式を取り入れた見せ方について、率直にどのような第一印象をもたれましたか?
現場で感じた疑問を下調べし、研究を設計・実施し、学会発表や論文執筆につなげるまでには、たくさんのハードルがありますよね。これらが一つの塊になって“断崖絶壁”としてそびえ立っているように感じてしまっていたんです。
本書は、この“断崖絶壁”を一つひとつのステップに分解し、順番に乗り越えていけるよう導いてくれているので、「意外と自分にもできるかもしれない……」と思うことができました。
――本書では、足立先生が読者と同じ目線で悩み、壁にぶつかる姿がリアルに描かれています。ご自身と重なった部分、あるいは「自分のモヤモヤを代弁してくれている!」と共感したエピソードがあれば教えてください。
目の前のハードルを一つ越えるたびに、それだけでもう「研究ができる!」と毎回ちょっと“調子に乗っている”ところは、非常に親近感を抱きました(笑)。 ところが、そこでは毎回「実はまだこんなことも考える必要があるよ」と新たな課題が示されてしまうんですよね。この繰り返しにより、まるで自分自身が先生方から教え諭されているような気分で読み進められました。
――この本を読んで、「自分にもできるかも」「ここからなら始められそう」と、研究に対するイメージのハードルが下がったポイントはどこでしょうか?
「ハードルが下がった」というより、「どんなハードルがあり、それをどのように越えていく必要があるか」という研究の全体像が可視化された、という感覚でした。これまでは漠然と“断崖絶壁”のように感じていたものが、頑張れば越えられそうなハードルの集まりに分解されたのです。本書を読めば、自分がこれから何を勉強すべきか、その課題がはっきりすると思います。
――臨床現場のちょっとした「なぜ?」が研究の種になる、と本書では語られています。本格的な研究を今すぐ始めないとしても、本書を読んだことで、日々の業務(患者さんへの指導や、処方の疑問など)に対する視点やマインドに何か変化はございましたでしょうか?
自分が感じた疑問を見過ごさずに言語化し、その疑問に関する論文報告を調べ、結果を解釈・考察する力は、研究を行うときだけでなく、患者さんからの疑問や不安に応える日常業務のなかでも必要な力です。そういった意味で、“研究に必要な力”は決して研究のためだけのものではなく、薬剤師として患者さんに貢献するためのスキルの延長線上にあるものだと感じました。私自身も、研究を“特別なもの”として遠ざけず、日々の業務の先にあるものとして挑戦していきたいと思います!

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