2025.03.03

薬剤師も知っておきたいお金のコト|今年も確定申告が始まりました

薬剤師も知っておきたいお金のコト|今年も確定申告が始まりました

 みなさんこんにちは。書籍『知らないと絶対損する 薬剤師のためのお金(マネー)の強化書』、愛称「薬マネ」の編集を担当したOです。

 確定申告の受付・相談が2月17日から始まりました。ニュースなどで見かけられた方も多いかと思います。国税庁のWebサイトによると、約9割の方が確定申告会場に来場せずに確定申告しているそうです。

 薬剤師も知っておきたいお金のコトについて、「薬マネ」に書ききれなかったことや発刊後の制度改正などについてお伝えしていきたいと思います。本記事では「薬マネ」の著者であるKeyさんに確定申告についてお話を伺いました。

編集担当O
サラリーマンの多くは職場でその年最後の給与で年末調整をされていると思いますが、年末調整が済んだサラリーマンが確定申告する必要があるのはどのような場合でしょうか?

 

Key
確定申告というと自営業者やフリーランスが行うものというイメージが強いかもしれませんが、サラリーマンで年末調整が済んでいても確定申告が必要なときがあります。主なものとしては以下があります。

(1)1カ所から給与をもらっている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合

 例えば、副業の所得が20万円を超えたときですね。

(2)2カ所以上から給与をもらっている人で、2カ所目以降の給与収入・所得の合計額が20万円を超える場合

 複数のアルバイトや派遣の掛け持ちをされている薬剤師さんは多いかもしれませんね。

 

編集担当O
私の配偶者は、2カ所から給与をもらっているので、この機会に確認してみたいと思います。私は1カ所からのみ給与をもらっているだけですので、確定申告とは縁遠いような気がします・・・

 

Key
Oさんのように大半のサラリーマンは年末調整で所得税額を確定させ、納税も完了していますので確定申告することはないと思います。
でも、いまは該当するものがなくても将来適用できるものがでてくるかもしれませんよ!

 

編集担当O
どのようなことがありますか?

 

Key
サラリーマンを前提としたお話にはなりますが、行動に移すことで適用できる控除があります。還付申告といわれているもので、払い過ぎた税金の還付を受けることができます。自動的に適用されるものではなく、節税という観点からは大事なことですので押さえておいて欲しいですね。

(1)住宅借入金等特別控除

 いわゆる住宅ローン控除や住宅ローン減税と呼ばれているもので、ローン残高の0.7%が控除できます。控除を受けるとき、初年度だけ確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で受けることができます。2年目以降自動的に適用されるわけではなく、年末調整時に申告書と住宅ローンの年末残高等証明書を会社に提出するのを忘れないでくださいね。

(2)医療費控除

 1年間の医療費が10万円を超えたときに超えた分だけ適用できます。控除できる金額は以下の式で計算した金額で、上限200万円です。

(1年間で実際に支払った医療費合計)-(保険金などで補てんされる金額)-(10万円)

 医療費控除の対象となる医療費の要件は結構広いですので、一度確認しておくことをお勧めします。具体的な事例は、薬マネのSECTION041でまとめていますので、いざという時のために頭の片隅においておきたいですね。
 なお、医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」がありますが、これを適用する場合は上記の医療費控除の適用はできません(修正申告で選択を変更することもできません)。

(3)寄附金特別控除

 政党や政治資金団体、認定NPO法人、公益社団法人などへ寄付したときに適用できます。控除できる金額は、「(寄附金-2,000円)×30~40%」です。
 寄付というとあまりピンとこないかもしれませんが、クラウドファンディングという言葉を聞かれたことはないでしょうか? クラウドファンディングの場合、すべてが控除対象というわけではありませんので、控除を受けたい場合は寄付前に確認してください(ふるさと納税は寄付金控除のひとつですので、ここでは除きます。ワンストップ特例制度を利用したのちに確定申告を行う必要が生じた場合は、ワンストップ申請が無効となるため確定申告のほうで控除を受ける必要があります)。

(4)配当控除

 預貯金の利子は源泉分離課税のため申告不要ですが、株式の配当や特定公社債の利子は確定申告が原則です。控除できる金額は、「配当所得の1.25~10%」です。

(5)雑損控除

 災害、盗難、横領によって損害を受けた場合、次のAかBのうちいずれか多い方の金額が控除できます。
A(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
B(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

(6)給与所得者の特定支出控除

 対象となるのは業務上のいわゆる自腹出費で、転勤に伴う転居費、資格取得費、図書費、交際・接待費などがあります。
 特定支出の合計額が給与所得控除額の50%を超えた分を給与所得控除の所得金額から控除できますが、例えば年収400万円、特定支出額が70万円の場合の節税額は1万6千円であり、あまり効果を実感できないかもしれません。

Key
あと、年の途中に退職し、再就職せず年末調整を受けていないときも払い過ぎている可能性がありますので注意をしてください。確定申告することで還付されます。

 

編集担当O
ありがとうございます。知らなくて損をしているってことは避けたいですね。節税の前提として、自分の収入・支出をきちんと把握していることも大切だと思います。「薬マネ」をお持ちの方は、以下のSECTIONで詳細を復習してみてください。前後のSECTIONも参考になりますよ!
  • SECTION 109 副業の所得は確定申告が必要? 不要?
  • SECTION 044 節税[13]住宅ローン控除 対象住宅と控除額・期間
  • SECTION 045 節税[13]住宅ローン控除 具体的な計算例と確定申告
  • SECTION 041 節税[10]医療費控除 年間に支払った医療費が10万円を超えた場合に適用できる
  • SECTION 042 節税[11]セルフメディケーション税制 一定のOTC医薬品が対象となる
  • SECTION 028 節税[ 2 ]セルフメディケーション税制 所得控除と税額控除の一覧表
  • SECTION 043 節税[12]特定支出控除 業務上の自腹出費が対象となるものの利用頻度は低い

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メディカルタックス(https://passmed.co.jp/setsuzei/)を立ち上げ、サイト運営・記事執筆を中心に行っている。1986年生まれ。大阪薬科大学(現 大阪医科薬科大学)大学院卒。薬剤師、FP2級、基本情報技術者、簿記2級。現在は製薬企業に勤めながら、副業で個人事業主として株式会社PASSMEDのサイト運営・SEO対策・記事執筆・監修、メディカルライター業に取り組んでいる。著書に『知らないと絶対損する 薬剤師のためのお金(マネー)の強化書』(じほう)、『薬剤師になったら最初に読みたい 大学で教えてくれなかったお金の本』(じほう)、共著『新薬情報オフライン』(金芳堂)。

@key_Pharma_FP

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