2026.08.05

薬剤師も知っておきたいお金のコト|令和8年度税制改正で押さえておきたいポイントってなに?

 みなさんこんにちは。書籍『知らないと絶対損する 薬剤師のためのお金(マネー)の強化書』、愛称「薬マネ」の編集を担当したOです。

 令和8年度税制改正では、物価高への対応と働く世代の可処分所得の向上を目的として、個人所得課税の見直しが行われました。基礎控除や給与所得控除の拡充に加え、住宅ローン控除やひとり親控除の見直しなど、家計に直接関わる改正が数多く盛り込まれています。

 「税制改正は経営者や高所得者の話」と思われがちですが、実際には病院・薬局勤務の薬剤師にも少なからず影響があります。「薬マネ」著者のKeyさんに、薬剤師が押さえておきたいポイントを聞きました。

「手取りが増える」 控除の見直しがポイント


編集担当O
今回の税制改正で、一番影響が大きいのは何でしょうか。

 

Key
やはり所得税の控除制度の見直しですね。
所得税は給与全額に課税されるわけではなく、

という式で課税される所得が計算されます。

今回の改正では基礎控除と給与所得控除の最低保障額がそれぞれ4万円引き上げられました。基礎控除の本則額は58万円から62万円に、給与所得控除の最低保障額は65万円から69万円に見直されています。同じ給与収入でも課税所得が小さくなるため、所得税負担の軽減につながります。下表のように納税者1人あたり約3~6万円程度の減税となります。

基礎控除については物価変動に応じて調整する仕組みも導入され、今後も実質的な税負担が過度に増えにくい制度となったといえるでしょう。

 


「178万円の壁」は所得税だけの話


編集担当O
ニュースでは「103万円の壁が178万円になった」と大きく報じられていました。

 

Key
「178万円」というのは所得税が課税され始めるラインの見直しです。
一方で、
・住民税の非課税基準
・社会保険の加入要件
は別制度です。

アルバイトだけでなく、非常勤勤務やダブルワークをするケースもあるかと思います。
そのため、所得税がかからなくても社会保険料の負担が発生し、結果として手取りが減ることもあります。

収入だけで判断せず、「税金」と「社会保険」は別々に考えることが重要です。

 


新卒薬剤師にもメリット


編集担当O
就職したばかりの新人薬剤師にも関係しますか。

 

Key
もちろんです。
会社員には給与所得控除がありますが、その最低保障額も引き上げられました。
近年は初任給を引き上げる医療機関や薬局も増えていますが、税制改正による控除の拡充によって所得税負担も軽減されるため、可処分所得の改善が期待できます。

「給料が増えた」だけではなく、「税金の計算方法が変わった」ことも手取り増加の要因になっています。

 


住宅取得を考える薬剤師には住宅ローン控除も追い風


編集担当O
住宅ローン控除も見直されたそうですね。

 

Key
はい。令和8年度税制改正では、子育て世帯や若年夫婦世帯への支援を目的として、住宅ローン控除の優遇措置が拡充・延長されています。2025年入居分までだった適用期限が2030年入居分まで5年間延長され,一定の既存住宅に係る借入限度額が引き上げられました。

 

 


編集担当O
薬剤師は比較的安定した収入を背景に30代前後で住宅取得を検討する方も少なくないと思います。

 

Key
住宅ローン控除は借入額だけでなく、省エネ性能など住宅の要件によって適用内容が異なるため、住宅購入を考える際は税制も含めて資金計画を立てることが重要ですね。

 


ひとり親控除の見直しも


編集担当O
子育て支援ではどのような改正がありますか。

 

Key
ひとり親控除についても対象となる所得要件が見直され、物価高の影響を踏まえた制度改善が行われています。所得税の控除額が35万円から38万円に,個人住民税の控除額が30万円から33万円に,それぞれ引き上げられます。

シングルペアレントとして働く場合、控除制度を正しく利用することで所得税・住民税の負担軽減につながるため、年末調整や確定申告の際には、自分が対象となる控除を確認することが大切です。

 


NISAは「投資」ではなく「税制」


編集担当O
NISAが拡充されたようですが、税制改正は税金だけではないのですね。

 

Key
そうです。資産形成制度も税制の一部です。 NISAは運用益が非課税となる制度であり、長期・積立・分散投資との相性が非常に良い制度です。
今回の税制改正で,次世代の資産形成支援として,18歳以上であったNISAのつみたて投資枠の口座開設可能年齢が0~17歳に拡充されました。年間投資枠や非課税保有限度額は通常のNISAと異なるものの、0歳から開始できるのは大きなメリットです。また、18歳到達時には自動的にNISAのつみたて投資枠に移行されます。 なお、この0~17歳向けのつみたて投資枠は、2027年(令和9年)1月からの開始が予定されています。口座開設を検討する際は、制度の開始時期にも留意しておくとよいでしょう。

薬剤師は比較的収入が安定している職業だからこそ、「収入を得る」だけではなく、「税制を活用して資産を育てる」という視点も重要になると思います。

 


編集担当O
こうして見てみると,税制改正はライフプランにも影響してくるのがわかります。
最後に読者へメッセージをお願いします。

 

Key
税制改正は「税金が少し変わる」だけではありません。
給与、住宅購入、子育て、資産形成など、ライフプラン全体に関わる制度改正と考えていただければと思います。

まずは給与明細で所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料などを確認してみてください。
制度を知ることで、自分の手取りがなぜ変わったのかが理解できます。

 


編集担当O
薬剤師として長く働くからこそ、「稼ぐ力」だけでなく、「税制を理解し、お金を守る力」も身につけておきたいですね。

「薬マネ」では、所得控除の仕組みや年収の壁、給与明細の見方、資産形成制度などについてわかりやすく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
  • SECTION 021 サラリーマンも節税で税金を減らそう
  • SECTION 023 所得税と住民税のキホン2 税額算出までの全体イメージ
  • SECTION 027 節税1 所得控除・税額控除と節税の仕組み
  • SECTION 029 節税3 人的控除 配偶者控除と配偶者特別控除は年収の壁に関係する
  • SECTION 124 NISAを知ろう
  • SECTION 125 NISAの長期積み立てシミュレーション
  • SECTION 145 薬剤師がアルバイト・派遣で働くなら「年収の壁」を知ろう

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Key

メディカルタックスを立ち上げ、サイト運営・記事執筆を中心に行っている。1986年生まれ。大阪薬科大学(現 大阪医科薬科大学)大学院卒。薬剤師、FP2級、基本情報技術者、簿記2級。現在は製薬企業に勤めながら、副業で個人事業主として株式会社PASSMEDのサイト運営・SEO対策・記事執筆・監修、メディカルライター業に取り組んでいる。著書に『知らないと絶対損する 薬剤師のためのお金(マネー)の強化書』(じほう)、『薬剤師になったら最初に読みたい 大学で教えてくれなかったお金の本』(じほう)、共著『新薬情報オフライン』(金芳堂)。

@key_Pharma_FP

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