【新人薬剤師向け】ミスはなぜ起きる?防ぎ方と振り返り方を解説

「新人薬剤師 ミス」と検索してここにたどり着いたあなたは、今まさに不安や焦り、落ち込みの気持ちを抱えているかもしれません。
「やってしまった」「もっと気をつけるべきだった」と頭の中で何度も場面を思い返している方もいるでしょう。
薬剤師の仕事は患者さんの安全に直結するため、ミスをしたと感じたときのショックはとても大きいものです。
しかし、新人の時期にミスやヒヤリとする経験をすること自体は決して珍しいことではありません。
大切なのは、その経験をどう受け止め、次にどうつなげるかです。
今回の記事では新人薬剤師がやりがちなミスの例からミスが起きやすい背景、防ぎ方、振り返り方、そして気持ちの立て直し方までをご紹介します。
読み終えたときに「少し気持ちが落ち着いた」「次に何をすればいいかが見えた」と感じてもらえたら幸いです。
目次
新人薬剤師のミスで落ち込んだとき、最初に知ってほしいこと
ここではまずミス直後の気持ちを整理し「自分を責め続ける状態」から「安全につなげる考え方」へ視点を切り替えるための考え方を整理していきます。
ミスは「起きることがある」前提で備えるのが大切
新人薬剤師のミスは「気が緩んでいたから」「向いていないから」起きるわけではありません。
業務に慣れていない時期は確認点が多く、判断に時間もかかり、どうしても負荷が高くなります。その中でミスやヒヤリ・ハットが起きる可能性は誰にでもあります。
重要なのは「ミスを絶対に起こさない」と気合で構えることではなく、「起きうるもの」として備える姿勢です。
「気づいたら止める、迷ったら確認する、1人で抱え込まず共有する」。こうした行動が、結果的に患者さんの安全を守ります。
「自分だけの問題」にしない—医療安全は仕組みで守る
ミスを経験すると「自分が悪い」「自分の注意力が足りなかった」と考えてしまいがちです。しかし医療安全の基本は個人の能力や集中力だけに頼らないことです。
手順・確認方法・ダブルチェック・声かけのタイミングなど、ミスを防ぐための仕組みが整っていれば、個人の負担は大きく減ります。
ミスを「自分の失敗」で終わらせず「仕組みとしてどこを補えばよいか」と考えることが安全文化の第一歩です。
新人薬剤師がやりがちなミスの例
ここからは新人薬剤師に比較的多いミスの例を紹介します。
もしまだ下記のようなミスをしていなくても、今から気をつけておきましょう。
薬剤の取り間違い(名前・規格・包装が似ている)
薬剤名が似ている・規格違いが複数ある・包装や色味が似ているなど、取り間違いは新人薬剤師に限らず起こりやすいミスです。
特に忙しい時間帯や、慣れない棚配置では注意が必要になります。
「見たことがある薬だから大丈夫」と思った瞬間に確認が甘くなることもあります。
取り間違いは個人の不注意というより、環境要因が重なって起きるケースが多いミスなので、2年目3年目に入っても意識しておくようにしましょう。
分包・一包化の設定ミス(回数・タイミング・指示の読み違い)
分包や一包化は工程が増える分、設定ミスが入り込みやすくなります。
回数設定や服用タイミング、コメントの読み違いなど、どこか一つズレると結果に影響します。
特に新人の時期は「操作自体」に意識が向きがちで、設定内容の意味まで確認する余裕がなくなることがあります。工程ごとに立ち止まって確認するようにしましょう。
用法・用量の確認不足(監査の抜け・思い込み)
「いつもの処方」「よく見る薬」という思い込みから、用法・用量の確認が浅くなることがあります。また監査時に一部のポイントだけを見てしまい、全体を確認しきれないケースも少なくありません。
これは経験が浅いからというより、人が持つ認知のクセによるものです。
だからこそ、確認の順番や見るポイントを決めておくことが大切です。
新人薬剤師のミスが起きやすい背景
ここではミスが起きた背景を再発防止に繋げるため、「なぜ新人の時期はミスが起きやすいのか」を整理していきます。
忙しさ・中断・マルチタスク(割り込み)が重なる
調剤中に電話が鳴る、患者さんに声をかけられる、別の作業を頼まれるなど業務の中断は日常的に起こります。そして作業を再開するとき、どこまで終わっていたか分からなくなり、確認が抜けることがあります。
これは能力の問題ではありません。初めから「中断が起きる前提」で作業を行い、「ここを確認しておけば大丈夫」と再開時の確認ポイントを決めておくことが重要になります。
初めての処方・慣れていない工程で負荷が上がる
新人の時期は初めて目にする処方や作業が次々と出てきます。確認すべき点が多く、頭の中の負荷が高まるほど見落としは起きやすくなります。
「慣れていないから時間がかかる」のは自然なことです。
焦ってスピードを上げようとすると、かえってミスにつながることもあります。
ルールや手順が曖昧/確認のしかたが属人化している
人によって確認方法が違う、手順が暗黙の了解になっているなど、属人化した環境ではミスが起きやすくなります。そのため、新人ほど「これで合っているのかな?」と迷いながら作業することになります。
新人のミスをできるだけ防ぐためには個人の努力だけでなく、チームや職場全体で確認方法を統一・共有しておくことが安全につながります。
新人薬剤師のミスを防ぐために現場でできる工夫
ここからは明日から実際に試せるミスを防ぐための工夫をまとめていきます。「まずはこれならできそう」と思えるものを実践してみてください。
確認は「ポイント化」して固定する(どこを見るかを決める)
新人の時期は確認すべき項目が多いわりに、まだ確認の優先順位が分からない時でもあります。その結果、忙しいときほど確認が飛び飛びになり「見たつもりだったけど、見ていなかった」という状態が起きやすくなります。
ここで効果的なのが、確認を手順化してしまうことです。
処方内容、規格、数量、用法など、「毎回この順番で見る」と決めておくと、確認が安定します。
大切なのはこれを「毎回、同じ順序で」やることです。チェックポイントを固定することで、状況が変わっても同じ動作を繰り返せるようになります。
もし「監査の見方を体系的に整理したい」と感じたら、実務書で確認項目の全体像を一度整理するのも有効です。
取り間違いを防ぐ工夫(似た薬・規格違いの扱い)
薬剤の取り間違いは「新人だから起きる」というより、似ているものが存在する限り起こり得るミスです。だからこそ、注意を目に見える形にする工夫を行いましょう。
現場でよく行われる工夫には、たとえば次のような方向性があります。
- 「似ている薬」を自分の中でリスト化して、棚を開ける前に一呼吸置く
- 規格違いは特に「口に出して」確認する(例:10mg/20mgなど)
- 似た名称・似た包装の薬は取り出した直後にもう一度ラベルを確認
- 新人のうちは「似た薬だけは必ず先輩に確認」してもらう運用にする(職場ルールと相談)
取り違いが起きやすい時間帯や状況(ピーク時、電話対応後など)を自分で把握できると、予防策がより現実的になります。
どの方法が有効かは職場によって異なるため、先輩や上司と相談しながら取り入れていきましょう。
分包・一包化は「設定→出力→最終確認」の3段で見る
分包や一包化は工程が増える分、途中のどこかでズレる可能性があります。特に新人のうちは操作に集中してしまい「設定した内容が最終的にどう反映されるか」の確認が薄くなりがちです。
そういう時は設定時、出力後、最終確認というように、工程ごとに見るポイントを分けてミスを防ぎましょう。
具体的な手順は、必ず所属施設のルールを優先してください。
もし分包ミスが怖いと感じるなら、最初は自分用チェックリストを作り、毎回同じ項目で確認するだけでもミスを減らしやすくなります。
迷ったら早めに相談できる「型」を作る
新人の時期に起きやすいのが「相談すべきか迷っている間に作業が進んでしまう」状態です。相談は遠慮ではなく、安全を守るための行動です。
ただ、いざ相談しようとしても、頭が整理されていないと説明が長くなり、聞く側も状況をつかみにくくなります。そこで相談の型を持っておくと相談のハードルがぐっと下がります。
おすすめは相談の前にこの3点だけを短く整理することです。
- 状況:どの処方・どの工程で迷っているか
- 気になっている点:何が不安・どこが引っかかるか
- 自分の仮説:自分はこうだと思うが確認したい
「聞いていいのかな」と迷うより「確認させてください」と声をかけることが成長への近道です。
ミスをしてしまったときの対応と振り返り方
もしミスやヒヤリ・ハットが起きた(または起きかけた)とき、次に大切なのは「安全につなげる行動」を取ることです。
どう動けば学びと安全につながるかを整理していきましょう。
まずは「止める・確認する・共有する」(一人で抱えない)
ミスに気づいた瞬間、頭が真っ白になることがあります。
でも、そのときに一番大切なのは、スピードではなく順序です。基本は「止める→確認する→共有する」これが安全につながります。
ミスや違和感に気づいたら、まず作業を止め、状況(交付前か、交付後か、他の工程に影響があるか)を確認します。その上で、先輩や責任者に共有しましょう。
※具体的な対応は必ず職場のルールに従ってください。
共有することは、叱られるためではなく、患者さんとチームを守るための行動です。
報告は「事実→経緯→影響→次の対策」で伝える
報告の場では感情よりも事実を整理して伝えることが大切です。そこで役に立つのが、「事実→経緯→影響→次の対策」という順番です。
- 事実:何が起きたのか(例:規格を取り違えた可能性がある)
- 経緯:どの工程で、どんな状況だったか(例:電話対応後に再開した)
- 影響:交付前か、影響範囲はどこか(例:交付前に気づいた)
- 次の対策:再発防止として何を変えたいか(例:再開時にチェック項目を声出し確認する)
この順番で話せると先輩側も「次にどう守るか」に意識を向けやすくなります。報告は自分を守るためではなく、安全を守るための情報共有です。
ヒヤリ・ハットを次に活かすミニ記録の作り方
ヒヤリ・ハットは記録して初めて次に活かせます。
「いつ・どこで・何が・なぜ・次はどうする」を1〜2文で簡単に残すだけでも、十分な振り返りになります。
このようなミニ記録を続けていくと、自分がミスしやすい状況が見えてきますし、対策も具体的になります。
新人薬剤師が自分を責めすぎないための考え方
ミスを経験した後は「またやるかもしれない」と怖くなったり、自分を必要以上に責めてしまったりすることがあります。ここでは自己否定で萎縮しないための考え方をご紹介します。
落ち込むのは真剣な証拠 - でも一人で抱え込まない
落ち込むのは、患者さんや仕事に真剣に向き合っている証拠です。
ただし、気持ちを一人で抱え込み続けると視野が狭くなり、次の勤務にも影響が出ることがあります。先輩に「ここが怖いです」と一言伝えるだけでも、具体的な守り方を一緒に考えてもらえる場合があります。同期がいるなら、同じように悩んだ経験を共有できるかもしれません。
話すことは弱さではなく、安全につながる行動です。
次の勤務で「一つだけ改善」を決める
一度に完璧を目指すと、かえって苦しくなります。そんなときは、目標を小さくして「ここだけは意識しよう」という改善を一つ決めるだけでも前に進んでいる実感が持てます。
例えば「電話の後は必ず規格を指差し確認する」「分包は出力後に必ず一回立ち止まる」など具体的な行動に落とし込みます。
小さな積み重ねが、自信を取り戻すきっかけになります。
まとめ
新人薬剤師のミスは「起きうる前提」で考え、仕組みと振り返りによって減らしていくことができます。ヒヤリ・ハットの経験は、次の安全につなげるための大切な材料です。
医療安全や調剤・監査のポイントを体系的に整理したいと感じたらじほうの書籍一覧ページで実務に役立つ書籍を探してみるのも一つの方法です。
また、新人薬剤師の学習方法については『新人薬剤師は何を勉強するべき?1〜3年目で身につけたい知識と習慣』もぜひ参考にしてみてください。
参考サイト
- 「【新人薬剤師向け】ミスが怖い・ミスが多いと怒られるときの対処法」 .セルワーク薬剤師求人
- 「調剤ミスを起こさない対策を事例から解説!見逃しを防ぐコツは?」 .おすすめの調剤監査システム7選
- 「1年目の新人薬剤師がつらい8つの理由 ─ 現役ドラッグストアリーダーが語る処方箋」 .フクヤク!
