2026.01.23

サクッと学べる! OTC薬ポケットメモ [第3回]

 この連載では、薬剤師や登録販売者が押さえておきたいOTC医薬品の選び方や販売時の注意点について、ポイントを絞って解説することで、明日からの実務に役立つ知識がサクッと身につきます!
 患者さんからよくあるQ&Aや、より詳しい商品比較については、書籍「商品選びの超決定版 OTC薬ポケットマニュアル」をご参照ください。

 鼻水や鼻詰まりといった鼻炎症状は、アレルギー性鼻炎からいわゆる鼻風邪まで原因がさまざまであり、症状に合わせた適切なOTC医薬品を選ぶことが重要です。OTC医薬品では抗ヒスタミン薬を中心に、交感神経刺激薬を配合した商品や鼻噴霧用ステロイドなどの選択肢があり、成分の特性や剤形、患者背景を踏まえた使い分けが求められます。そこで今回は、鼻炎症状の原因の考え方から、アレルギー性鼻炎、急性鼻炎に適した成分の選び方と、注意点を解説します。



薬剤選びのキホン

 OTC医薬品における鼻炎薬は、抗ヒスタミン薬が中心の成分となります。医療用医薬品と同成分・同量配合の商品も増えており、セルフメディケーションが行いやすいカテゴリーです。
 はじめに、鼻水の症状がアレルギーによるものなのか、それとも急性鼻炎(いわゆる鼻風邪)によるものなのかを確認します。花粉などに対するアレルギーの既往歴があり、水っぽいサラサラした鼻水が1週間以上続き、加えて目の痒みなどの症状がある場合はアレルギー性の可能性が高いと考えられます。一方で、最初は水っぽい鼻水のケースでも次第に粘性のある鼻水に変わり、また熱や咳などがある場合は急性鼻炎の可能性が高いと考えられます。アレルギー性なのか急性鼻炎なのかがはっきりしない場合は、受診を促しましょう。商品を選択する際は、年齢などの基本的事項を確認したうえで、「アレルギー性ですか?」「乗り物の運転はしますか?」と聞くとスムーズに対応しやすいでしょう。


アレルギー性鼻炎の場合

 鼻水や鼻詰まりの軽症例では、『鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版』1)を参考に商品を選ぶと、第二世代抗ヒスタミン薬または鼻噴霧用ステロイドがOTC医薬品では第一候補となります。さらに、剤形(内服薬か点鼻薬)の希望、乗り物の運転の有無、コストなどから商品を選択します。


急性鼻炎(鼻風邪)の場合

 風邪による鼻症状は、ヒスタミンの関与は少なく、コリン作動性神経の関与によって発現するとされています2)。したがって、急性鼻炎には抗コリン作用がある第一世代抗ヒスタミン薬が有効です。抗コリン作用が少ない第二世代(非鎮静性)抗ヒスタミン薬は風邪による鼻症状には効果がないとされ、OTC医薬品の効能・効果としてもアレルギー性鼻炎のみの商品が大半です。


鼻炎薬に含まれる主成分


抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン、クロルフェニラミンなど)

 抗ヒスタミン薬は、神経伝達物質であるヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー反応を抑えます。開発された年代によって第一世代と第二世代に分けられ、第二世代抗ヒスタミン薬は第一世代抗ヒスタミン薬と比較して眠気や口渇といった副作用が少ないです。ただし、第二世代のなかでも鎮静性で分類すると、ケトチフェンなどの鎮静性の成分と、フェキソフェナジンなどの非鎮静性の成分が混在しているため、これらを区別したうえで提案する必要があります。
 眠くなりにくい非鎮静性の第二世代抗ヒスタミン薬としては、フェキソフェナジンやロラタジンなどがあります。フェキソフェナジンやロラタジンを含有したOTC医薬品は、乗り物の運転に関しても注意事項がないため運転が可能であり、日常生活においてインペアード・パフォーマンス(鼻炎薬の成分が脳に入ってしまうことで引き起こされ、集中力・記憶力・判断力などが低下する)の要因となりにくいこともポイントです。


交感神経刺激薬(プソイドエフェドリンなど)

 プソイドエフェドリンは、交感神経刺激作用により強い鼻閉改善効果を示す一方で、高血圧や糖尿病、甲状腺機能障害などの人には禁忌となるため、現病歴の確認が必須です。抗ヒスタミン薬と一緒に配合される商品が多い傾向にあります。第一世代抗ヒスタミン薬+プソイドエフェドリンなどを配合した鼻炎薬は、アレルギー性鼻炎だけでなく、急性鼻炎にも効能・効果があります。

鼻噴霧用ステロイドに含まれる主成分(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルなど)

 鼻噴霧用ステロイドは、鼻粘膜の抗炎症作用や抗アレルギー作用などにより、鼻アレルギーの3症状(くしゃみ、鼻水、鼻詰まり)に等しく効果があります。ステロイドによる副作用を心配する人もいますが、全身的副作用は少ないとされています。
 効果発現は約1~2日で症状改善効果が強く、眠気成分も含まれていません。商品としては花粉による季節性アレルギー専用などがあります。効能・効果に記載はないですが、アレルギーによる目の症状にも効果があるとされています。
 また、総鼻症状、鼻汁、くしゃみ、鼻閉の各鼻症状とQOLの改善において、鼻噴霧用ステロイドが経口抗ヒスタミン薬にまさっていることが確認されています3)


【引用文献】

1)日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会・編:鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版第10版.金原出版, 2024

2)橋口一弘:抗ヒスタミン薬と風邪治療・アレルギー性鼻炎治療.耳鼻咽喉科免疫アレルギー, 38:120, 2020

3)Juel-Berg N, et al:Intranasal corticosteroids compared with oral antihistamines in allergic rhinitis:A systematic review and meta-analysis. Am J Rhinol Allergy, 31:19-28, 2017

OTC薬ポケットマニュアル

定価3,630円(本体3,300円+税10%)

来局者の背景から"選んではいけない商品"を見分けるテクニックが満載!

第1章では、薬効群ごとに、症状や患者背景に応じた薬剤選びのポイント、受診勧奨の目安などをコンパクトに整理。また、250品以上の商品を写真付きで解説し、それぞれの特徴や使い分けのコツをわかりやすく紹介しています。第2章では、妊婦・授乳中に使用できない商品や、乗り物の運転が不可となる商品など、現場で「これだけは押さえておきたい」という情報を一覧形式で掲載。ポケットサイズでサッと確認でき、「選んではいけない商品」の見極めにも役立ちます。知識の引き出しを増やし、症状に合わせたイチ押し商品を選びたい方におすすめです。

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