診療科を超え、共通言語でつなぐ薬剤師の役割に期待――第1回日本炎症免疫薬学会学術集会

日本炎症免疫薬学会は2026年3月14日、設立から初となる学術集会を横浜市にて開催。病院・薬局・大学などから、薬剤師や医師・看護師・学生(薬学生)が約150名参集し、テーマに掲げられた「薬剤師が炎症免疫疾患の患者のエンゲージメントを高める道創り~基本から応用まで~」のもと、関節リウマチ(RA)や炎症性腸疾患(IBD)、免疫関連有害事象(irAE)など、薬物治療の現状や課題について活発な議論が交わされた。
学会設立の背景
同学会は炎症免疫疾患における薬物治療の意思決定支援と、患者のエンゲージメント向上を目的に、2024年に設立された。同学会理事長を務める平田一耕氏(亀田クリニック薬剤室・亀田総合病院薬剤部)は、学会設立の背景として、担当していた患者から「自分は病気がよくなったから(同院のような取り組みを)全国に広げてほしい。そうすれば病気に向き合って幸せになる人が増える」、「がん患者さんへのフォローは手厚い気がする。私たちの病気も、普段の生活で大変なことが多い。もっと私たちに向き合ってほしい」といった声があったことを紹介した。そして、炎症性免疫疾患の薬物療法における薬剤師の取り組みへの診療報酬上の評価は十分とはいえないとも指摘。個々の医療機関の取り組みでは限界があるとして、学会設立の必要性を感じたと説明した。
今後の具体的な取り組みとして、基本的な薬効が同じで、複数の領域で使用される薬剤について、共通のリスクや、併用薬との相互作用など、明らかになっていない情報を整理し、オーバーラップを検証していくことを挙げた。平田氏は、各疾患に対して専門性の高い医師と、領域横断的な視点をもつ薬剤師が連携することで医療の質の向上が期待できるとし、さらには、看護師や管理栄養士などを含む患者に応じた専門の多職種チームを形成すること、そして各職種の強みとアウトカムについて検証していくことの必要性にも触れた。また今後、学術委員会を通じて研究の土壌をつくること、日本薬系学会連合への加入に向けた準備を進めて組織を強化することなども挙げた。
閉会の挨拶で平田氏は、「一方通行ではなくて、学会・参加者などがお互いに関わっていける形で進めていきたい」との考えを述べ、次回への参加も呼びかけた。
認定・専門薬剤師制度も整備へ
同学会では今後、薬局薬剤師も対象とした認定・専門薬剤師制度を整備する予定だ。平田氏は「専門性をもつ薬剤師がいることを、薬局として示せる仕組みを整え、患者が『この薬局には専門の薬剤師がいるから安心だ』と感じて相談できる環境につなげたい」と説明した。
2026年度診療報酬改定で新設されたバイオ後続品調剤体制加算(50点)にも触れ、「現時点では十分な評価とはいえないかもしれないが、成果をデータとして示すことが重要だ」と強調。将来的な評価の拡大につながる取り組みを進めていきたいとの展望を示した。