【レポート】周術期の薬物療法を地域連携で担う――周術期の安全な薬剤管理を考える会(倉敷)がオリジナルツールを作成・活用

地域の周術期を支えるカード、早見表、虎の巻
団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに、地域包括ケアシステムの整備が進められてきた。“地域を一つの病院として”、“病院の内外でシームレスな連携を”は、いまや耳馴染みのあるフレーズとなったが、一方で、その実現は決して簡単ではない。在院日数短縮と医療DXが並行して進むなか、地域の薬局と医療機関との間で患者情報を確実に共有する体制構築は待ったなしの時代を迎えている。
特に情報共有が求められるのが、患者の入退院のタイミング。「薬局でしばらく顔を見なくなったと思ったら、いつの間にか入院していた」、「入院患者が飲んでいる薬を把握できなかったため、手術が延期になった」――周術期の患者では、そんなケースが珍しくない。
そこで、周術期の患者の休薬・再開について地域で共通認識をもつべく、岡山県倉敷地区の有志で組織されたのが「周術期の安全な薬剤管理を考える会」だ。2020年に薬局・病院の薬剤師13名でスタートし、これまでに勉強会を7回開催。周術期の医薬品適正使用に加え、地域の薬薬連携の土壌づくりに大きく貢献してきた。
特筆すべき活動が、薬剤師業務で使えるオリジナルツールの作成。「お薬お知らせカード」、「手術や侵襲的な処置前に休薬を考慮すべき医薬品と休薬期間の目安」(早見表)、「周術期に休薬を考慮する薬剤一覧」(虎の巻)の3つで、周術期の患者に対応する同地域の薬剤師をサポートしている。
「手術や侵襲的な処置前に休薬を考慮すべき医薬品と休薬期間の目安」(早見表)
ツールは誰でもダウンロード可能
「お薬お知らせカード」は、患者が携帯して医療機関や薬局に提示する。手術の際に休薬する可能性のある薬を使用していることを、受診時や来局時に医師や薬剤師が把握できる。
「早見表」は、主だった薬剤について、手術時の休薬期間の目安を一覧表にまとめたもの。色遣いやピクトグラムなどで、必要な情報がひと目で理解しやすいよう工夫されている。目の前の患者に休薬を指示したいが、では、いつから中止すればよいのか――そんな判断が求められる場面で役立つ。
「早見表」よりもさらに詳しい情報を得たいときは「虎の巻」を参照する。添付文書やガイドラインの記載などの根拠や、術後の再開時期の目安なども掲載。「周術期に休薬を考慮する薬剤」として①出血のリスクがある薬剤、②血栓形成のリスクがある薬剤、③乳酸アシドーシス・ケトアシドーシスのリスクがある薬剤、「消化器内視鏡時に休薬を考慮する薬剤」として④出血のリスクがある薬剤の4パートで構成されている。
「周術期に休薬を考慮する薬剤一覧」(虎の巻)
3つのツールはいずれも岡山県薬剤師会倉敷支部のウェブサイト(https://www.opa.or.jp/sibu/kurashiki/index.php)で、県薬会員でなくてもダウンロードできるのが嬉しい。「手術前は患者さんにとって不安が大きく、情報の行き違いがトラブルにつながることもあります。施設内での対応は整ってきましたが、薬局との連携はまだ限られています。だからこそ、地域で顔の見える関係を築いて、スムーズで安全な周術期を一緒に支えていけたら」と語るのは、会の運営に設立当初から携わる赤木晋介氏(就実大学薬学部)。医療の高度化が進むなか、患者の安心・安全を第一とするなら、連携の歩みを止めるという選択肢はない。
周術期の安全な薬剤管理を考える会(倉敷)のメンバー

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