【連載】シンプルに始める 薬剤師の生成AI仕事術[Case5]

今回が最終回です。この連載では、薬剤師の日常業務で生成AIを活用する際に“どのようなプロンプト(質問、命令)を生成AIに入力すれば、どのような回答が得られるか”を、具体的な事例に沿って解説します。欲しい結果を得るためのプロンプト作成のコツが身につきます!
Case5 投与量計算を検算したい
今回は、注射薬の投与量の計算結果を検算します。
入力プロンプト
#役割 : あなたは、数学が得意な優秀な薬剤師です。
#患者 : ICUにいる体重 45 kg の女性
#医師の投与指示:アドレナリン注を原液投与で0.15ガンマ投与する
#出力 : 24 時間投与に必要なアドレナリン注の液量(mL)と精密シリンジポンプに設定する投与速度 (mL/h)
ワンポイントアドバイス
👉 回答の質を向上させるために、生成 AI に役割を与えましょう
👉 原液投与であることを明示し、液量計算の確実性を向上しましょう(希釈する場合は、その具体的な内容も伝えましょう)
👉 計算条件となる指示は、可能な限り具体的に入力しましょう
👉 答えとして欲しい情報を具体的に明示しましょう
各生成AIのオススメ度
出力結果:ChatGPT(4o;有料版)
以下に、アドレナリンの「0.15 ガンマ(γ)を原液で 24 時間投与」する場合の計算を、薬剤師の視点で正確かつわかりやすく示します。
◆前提条件の整理
・患者体重:45kg
・投与量指示:0.15γ(= 0.15 μg/kg/min)
・投与期間:24 時間
・使用製剤:アドレナリン注 原液(1mg/mL=1000μg/mL)
・投与方法:原液を精密シリンジポンプで持続投与
◆ Step 1 : 必要なアドレナリン量 (μg/min)
0.15 μg/kg/min × 45 kg = 6.75 μg/min
◆ Step 2 : 1 時間あたりの必要量 (μg/h)
6.75 μg/min × 60 min = 405 μg/h
◆ Step 3 : 原液 (1000 μg/mL)での投与速度 (mL/h)
405 μg/h ÷ 1000 μg/mL = 0.405 mL/h
◆ Step 4 : 24 時間で必要な液量 (mL)
0.405 mL/h × 24 h = 9.72 mL
☑最終出力
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 必要な原液量 (24 時間分) | 9. 72 mL |
| 投与速度 (シリンジポンプ設定) | 0.405 mL/h |
■注意点 (臨床の視点)
・ このような低流量で原液を投与する場合は、専用の精密シリンジポンプを使用し、カテコールアミン専用ルートを確保します。
・ アドレナリンは安定性の問題からも注意が必要で、光遮蔽および使用期間内での交換を推奨します。
必要であれば, 他のガンマ数や希釈調整方法もご案内できます。
本書で対象としている生成AIは言語モデルであり,文章を生成することを主目的としており、計算は得意ではありません。計算能力も最近向上していますが、誤答する可能性があることを十分考慮してください。
本Caseでは、5種の生成AIいずれもで正しい回答が出力されました。しかし、 これは結果論であり、本Caseのタイトルも「検算」としているとおり、まずは自身で計算し、その支援として生成AIを活用するのに留めるのがよいでしょう。いきなり生成AIに計算させ、ファクトチェックもせずにその回答を鵜呑みに信じて行動した場合は、大きな事故につながる恐れがあります。
この連載は、今回が最終回です。連載で紹介しきれなかったCaseについては、ぜひ書籍「薬剤師のための生成AI仕事術」でお読みください。
1996年北海道大学卒。医薬品情報専門薬剤師、上級医療情報技師、診療情報管理士、日本メディカルAI学会公認資格、ディープラーニング実装師A級などの資格をもち、情報(AI)に強みをもつ


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