体外診断用医薬品取扱い指針×MTJ|体外診断用医薬品を取り巻く環境と今後

2025年4月、(株)じほうは約9年ぶりに「体外診断用医薬品取扱い指針」の最新第7版(編集:一般社団法人 日本臨床検査薬協会)を刊行いたします。本書は体外診断用医薬品の承認申請、QMS、品質管理基準(GMP)や市販後安全管理(GVP)などについて、日本臨床検査薬協会がその手続きや留意点等をわかりやすく解説した、業界関係者必携の指針です。
そこで今回、(株)じほうが発行する臨床検査専門紙「THE MEDICAL&TEST JOURNAL」の担当デスクH氏に体外診断用医薬品を取り巻く環境と今後についてお話を伺いました。

編集担当M
ここ数年の体外診断用医薬品業界の大きなトピックスについて教えてください。

MTJデスクH
まず挙げられるのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する検査薬の普及と拡大です。ご存知の通りCOVID-19は2020年年頭から世界的に感染が拡大し、各国に大きな影響をもたらしました。日本国内では、核酸増幅検査や抗原定性検査キットなどの体外診断用医薬品が開発・承認されました。こうした検査薬の普及が感染拡大の防止に大きな役割を果たしたことは間違いありません。検査についての国民の理解も一定程度進みました。
また、がん遺伝子パネル検査やコンパニオン診断薬が臨床で使われるようになったことも大きなトピックスでしょう。いずれも治療選択に直結する検査ですから、迅速で正しい検査結果がより求められるようになっています。
治療を進めていく上で臨床検査が果たす役割の大きさは言うまでもありません。各種体外診断用医薬品がその信頼を支え検査の品質を担保しています。
また、がん遺伝子パネル検査やコンパニオン診断薬が臨床で使われるようになったことも大きなトピックスでしょう。いずれも治療選択に直結する検査ですから、迅速で正しい検査結果がより求められるようになっています。
治療を進めていく上で臨床検査が果たす役割の大きさは言うまでもありません。各種体外診断用医薬品がその信頼を支え検査の品質を担保しています。

編集担当M
デスクとして日々取材をされている中で、体外診断用医薬品業界の取り組みで印象深かったことはありますでしょうか。

MTJデスクH
昨今の取り組みで印象深いのは、体外診断用医薬品の法律上のカテゴリーを変更するよう業界をあげて要望していることです。現在は医薬品の1つに位置付けられていますが、直接人体に使用されないなど、治療薬とは明らかに異なる特性があります。こうした特性に応じた適切な規制にすることが要望の趣旨です。次期制度改正では見送りになりましたが、実質的に一部の見直しが行われる予定になっています。
特性に合わせた法規制の整備という取り組みには2つの側面があるように思います。ひとつは、検査各社の努力でイノベーションが生まれ、その成果が臨床の場などで適切に評価される仕組みにつながっていくことです。うまく進めば業界全体の発展につながるでしょう。
もう一つの側面は、検査薬各社が守るべき義務も同時に生じることです。安定供給や性能の継続的な確保などが今まで以上に求められるでしょう。その意味で検査業界は現在、新たなフェーズに入る前夜にあると認識しています。
特性に合わせた法規制の整備という取り組みには2つの側面があるように思います。ひとつは、検査各社の努力でイノベーションが生まれ、その成果が臨床の場などで適切に評価される仕組みにつながっていくことです。うまく進めば業界全体の発展につながるでしょう。
もう一つの側面は、検査薬各社が守るべき義務も同時に生じることです。安定供給や性能の継続的な確保などが今まで以上に求められるでしょう。その意味で検査業界は現在、新たなフェーズに入る前夜にあると認識しています。

編集担当M
厚生労働省が今年(2025年)の通常国会に医薬品医療機器等法の改正案を提出しましたが、体外診断用医薬品にとっても大きな改正事項があると聞いています。

MTJデスクH
はい。少し前述しましたが、今回の改正案には、体外診断用医薬品にとって重要な改正事項が含まれています。特に大きな改正点としては、体外診断用医薬品の特性を踏まえた性能評価等の見直しがあります。これは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、検査キットの需要・供給が急速に増大する中で、市販後にその性能を担保し続けるためにウイルス等の変異に応じた対応が必要になったことが理由です。
具体的には、新型コロナウイルスのように特に変異の多いウイルス等を検出する体外診断用医薬品では、市販後の性能担保に必要となる措置が可能となるよう製造販売業者による情報収集・評価・報告といった規定を設け、また市販後の性能が担保されない場合には承認を取り消すなど、医薬品の再評価と同様の制度が導入される方向になっています。
ほかに、承認申請にあたって行われる性能試験の基準が新たに策定されること、市販後の安全対策では現状の副作用報告制度から医療機器と同じ不具合報告制度に変更することも予定されています。
具体的には、新型コロナウイルスのように特に変異の多いウイルス等を検出する体外診断用医薬品では、市販後の性能担保に必要となる措置が可能となるよう製造販売業者による情報収集・評価・報告といった規定を設け、また市販後の性能が担保されない場合には承認を取り消すなど、医薬品の再評価と同様の制度が導入される方向になっています。
ほかに、承認申請にあたって行われる性能試験の基準が新たに策定されること、市販後の安全対策では現状の副作用報告制度から医療機器と同じ不具合報告制度に変更することも予定されています。

編集担当M
最後に、デスクの立場から、今後体外診断用医薬品業界に期待することなどがありましたらお聞かせください。

MTJデスクH
日々取材するなかで、新たな医療技術の開発が医療の在り方や医療へのアクセスを大きく変えると感じています。体外診断用医薬品についても、例えば全血でできる検査が増えれば在宅医療や在宅自己管理の範囲をもっと広げることができるという指摘があります。
臨床検査は診療にかかせない機能です。体外診断用医薬品の技術進歩がこれからの医療をさらに進化させ、国民の健康や医療の質が向上されていくことを期待しています。
臨床検査は診療にかかせない機能です。体外診断用医薬品の技術進歩がこれからの医療をさらに進化させ、国民の健康や医療の質が向上されていくことを期待しています。

編集担当M
貴重なお話ありがとうございました。

体外診断用医薬品取扱い指針 第7版
定価22,000円(本体20,000円+税10%)
体外診断用医薬品の申請・市販後業務など薬事担当者必携の1冊
体外診断用医薬品の承認申請、QMS、GMPやGVPなどについて、日本臨床検査薬協会がその手続きや留意点等をわかりやすく解説した指針。9年ぶりの改訂となる第7版では、体外診断用医薬品取扱いの概要や各種業許可に係る解説のほか、新型コロナウイルス抗原定性試薬等一般用検査薬の承認(認証)上の取扱い、コンパニオン診断薬に関する取扱いや輸出入に関する手続き等、最新の医薬品医療機器法に対応しています。

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