2024.11.01

トピックス from Jiho[2024年11月上旬]

from Jiho[2024年11月上旬]

コスタイベ®、悪質情報に苦慮

 Meiji Seika ファルマの小林大吉郎社長(写真)は、10月から定期接種になった新型コロナウイルスワクチン「コスタイベ®筋注用」に対し、一部の人から安全性や有効性を懸念する声が上がっていることに言及した。小林社長は「出荷や注文が当初計画より遅れており、相当なインパクトがある。ここ23カ月は当初のストーリーを描けず、苦難が続く」と見通した。今後は接種後のリアルワールドデータを集積し、情報発信を強化する考え。記者説明会で現状を報告した。

 コスタイベ®は既存のmRNAワクチンに比べて、少ない有効成分量で中和抗体価が長く持続することが特徴の一つ。年1回の定期接種に向いたプロファイルを持っている。

 コスタイベ®の接種を巡っては、一部の批判的な声がSNSを中心に流布している。小林社長は非科学的な情報を発信しているとして、1団体3氏に対する法的措置に踏み切る可能性があることを明らかにした。「新規のワクチンに不安を持つことは健全だが、看過できないレベル。サイエンスコミュニケーションが非常に難しい局面を迎えている」と述べた。

 小林社長は、医師から患者に対して情報提供することが最適と考えている。そのためにも、まずは医師に対して客観的かつ科学的なデータを伝えるのが重要だと指摘。講演会やウェブセミナーだけでなく、「ネットを通じた医師に対する直接のコミュニケーションについても、これまでの主力製品では経験のない規模で行う」と明言した。今後、ワクチンとの因果関係が否定できない未知の副作用が確認された場合にも「公表を躊躇しない」と強調した。

|2024年10月8日・日刊薬業

日病薬調査、病院薬剤部門の2割で「賃上げ予定なし」

 日本病院薬剤師会は会見で、病院薬剤部門の2024年度調査の速報値を示した。回答した3,441施設のうち約7割に当たる2,405施設が、2024年度に診療報酬改定に関連した賃上げを予定しているものの、19.2%(661施設)では賃上げの予定がないと答えた。武田泰生会長は、賃上げ予定がない施設が約2割あったことに「まさかこういう結果が出るとは思わなかった」と不満を漏らした。眞野成康副会長も「(賃上げ予定がない施設が)多い」との認識を示し「ベースアップ評価料ではとても賄えないところが足踏みしているのかもしれない」と述べた。

|2024年10月2日・PHARMACY NEWSBREAK

選定療養開始後、後発品4.4ポイント上昇

 電子お薬手帳を運営するharmo(東京都港区)は1010日までに、10月からスタートした長期収載品の選定療養について、経口剤の後発医薬品割合の変化を電子お薬手帳のユーザーデータから分析し公表した。制度開始後6日間の後発品割合は85.9%で、開始前1週間から4.4ポイント上昇。施行後に後発品割合が最も上がった薬剤(成分名)は糖尿病用薬のレパグリニドで、15.4ポイント上昇し割合は95.9%となった。

 調査は同社の「harmoおくすり手帳」のユーザーで93日~106日の間、選定療養の対象医薬品リストに記載の成分名と一致する医薬品の調剤情報が登録された59,503人を対象に実施。解析の容易さから対象医薬品は経口剤に絞った。後発品割合は数量ベースで算出している。

 101日の制度開始から106日までのユーザーの後発品割合は85.9%。9月の後発品を週次で見ると、①939日=81.3%、②91016日=81.5%、③91723日=81.9――と推移し、開始直前の92430日は81.5%だった。導入前後で4.4ポイント上昇したことから、同社は、今回の分析は経口剤に限ることに留意が必要としつつ「制度導入後、後発品への置き換えが着実に進んでいることが確認された」と分析している。

 施行直前(92430日)と、施行後(1016日)の成分ごとの後発品割合を比較し、上昇割合が大きかったものも一覧で示した。最も変化が大きかったレパグリニドに次いで、筋緊張改善薬のエペリゾン(14.5ポイント増)、抗うつ薬のデュロキセチン(12.5ポイント増)、高脂血症治療薬のベザフィブラート(11.3ポイント増)――の順となった。

|2024年10月10日・PHARMACY NEWSBREAK

抗がん剤の院外処方で門前薬局倒産、高額医薬品が圧迫

 鹿児島市の「みなみの薬局」など2店舗を経営する「みなみの株式会社」が今夏倒産した。3年前に処方元の病院が抗がん剤の院外処方を始め、高額な医薬品の在庫が経営を圧迫。銀行からの借り入れも上限に達する中、毎月の手元資金の大きな増減に耐えられなかった。元代表取締役の原﨑大作氏は「資金力の弱い個店や中小規模の薬局ではどこでも起こり得る」と話す。

 みなみの薬局は鹿児島共済会南風病院の門前薬局として2018年に開局。当初は在宅訪問にも力を入れ、1カ月の売上高は19年1月の約770万円(技術料約160万円、薬剤料約610万円)から1年後の20年1月には約1070万円(技術料約190万円、薬剤料約880万円)へと順調に推移していた。

 しかし、20年12月ごろから抗がん剤の院外処方が始まり状況は一変。売上高は約1590万円(20年12月)へと跳ね上がった。ただ、上昇幅の大部分は薬剤料が押し上げたものだった(技術料約230万円、薬剤料約1370万円)。

ー 運転資金はすぐに枯渇

 「抗がん剤の在庫を置き始めたことで手元にあった運転資金のうち1500万円が一気になくなった」(元総務企画部長の永田真也氏)という。高額医薬品用の金庫は3回も買い替えて大きくした。抗がん剤などの院外処方が増えるにつれ、粗利率が減少した上、増える患者数と作業量のため人件費なども上がり、利益が圧迫された。運転資金は減る一方で、卸への支払時期と審査支払機関からの入金時期のずれにより、現金が足りなくなることも。銀行からの借入可能額も上限に達し、このタイムラグを乗り切る資金力が同社にはなかった。

 「みなみの株式会社」のもう1店舗は25年春にメインの診療所が移転予定。同社単独で経営を立て直すことはほぼ不可能な状況だった。今年8月、破産手続きを始めた。

|2024年10月22日・PHARMACY NEWSBREAK

アマゾンジャパン、調剤工場「自社展開、考えてない」

 「Amazonファーマシー」を展開するアマゾンジャパンの筒井剛・消費財事業本部長 ディレクターは、今後の事業展開について「自社で調剤工場をつくって展開するという選択肢は今の時点で考えていない」と述べた。千葉市の幕張メッセで開催された「メディカルジャパン東京」展の特別講演に登壇し、言及した。

 筒井氏は事業の特徴として、アマゾンジャパンが薬局事業を展開するのではなく「あくまでもアマゾンジャパンの持つ顧客基盤と薬局の持つ専門性、この2つを組み合わせた形で薬局店舗とパートナーを組み、サービスを展開することを軸にしている」と説明。セミナー後半の質疑応答で「調剤工場を考えているか」と問われ、「アメリカと日本の状況は大きく違う」と否定。「既存のパートナー薬局や薬剤師と手を組んで、お客さまが安心して利用できるサービスの展開を第一に考えている」と強調した。

 20247月に開始したAmazonファーマシーは、顧客がAmazonショッピングアプリを使って、登録されている薬局の薬剤師によるオンライン服薬指導を受け、処方薬を薬局店舗や自宅への配送で受け取れるサービス。利用には医療機関で発行された電子処方箋が必要となる。ただ、現時点での電子処方箋の普及状況は「限定的」なため、筒井氏は利用拡大に向けて医療機関と連携した電子処方箋活用のモデルケース検証に取り組む考えを示した。

|2024年10月9日・PHARMACY NEWSBREAK

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