トピックス from Jiho[2025年2月上旬]
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OTC医薬品、取り扱い多いほど処方箋集中率「低い」
OTC医薬品の取り扱いが多い薬局では処方箋集中率が低くなる相関関係があることが、東京都薬剤師会が実施したOTC薬取り扱い実態調査で分かった。処方箋調剤以外の業務を行っている薬局のうち、要指導以外のOTC薬は91.3%で取り扱っており、14%は100品目以上をそろえていた。取扱品目数が多い薬局ほど、集中率が下がる「相関関係」が浮かび上がった。
実態調査の結果は、26日の都薬研修会で報告された。調査は2024年4月6日~9月29日に実施し、926薬局から回答を得た。このうち処方箋調剤以外の業務を実施している755薬局(81.5%)に対し、OTC薬の取り扱い状況を詳しく聞いた。
要指導医薬品については「1~4品目」が43%、「5~9品目」が4.2%、「10品目以上」が2.8%で、50%では取り扱いがなかった。要指導以外のOTC薬を取り扱っていた91.3%のうち、品目数は「10品目以内」が26.7%で最も多く、▽「21~50品目」23.8%▽「101品目以上」14.4%▽「51~100品目」13.6%▽「11~20品目」12.7%―と続いた。
OTC薬を扱いにくい理由も複数回答で聞いた。「OTCを陳列するスペースがない」が49.2%で最も多く、▽経営者の指示(31.4%)▽処方箋調剤だけで十分経営が成り立つ(26.5%)▽OTCを扱った経験があるが売り上げが得られない(25.9%)―の順だった。「近隣の医療機関との関係性を崩したくない」との回答も12.4%あった。
都薬は今回の結果を基に、処方箋集中率との関係を分析。縦軸に「品目数」、横軸に「集中率」を対応させて各薬局をプロットしていくと、品目数が多いほど集中率が低くなることを示す右肩下がりの分布となった。都薬の大野郁子理事は、単に取扱品目を増やすだけでなく、販売促進に向けた「何らかのアクション」を行えば、集中率が低くなる可能性があると示唆した。
ー 応需医療機関数「70→260に増加」
同日の研修会では、積極的にOTC薬販売を行う薬局の立場から「たむら薬局」(東京都練馬区)の田村憲胤氏が登壇した。
OTC薬を取り扱うことで患者のかかりつけ化が進み、処方箋を応需する医療機関の数が増えたと説明。事業承継した店舗では、応需医療機関が当初の70施設から260施設まで増えたと明かした。田村氏は「OTCを扱っている場所」だと地域住民に認知してもらうことが重要だとし、SNSなどで発信を続けている取り組みなどを紹介した。
|2025年1月27日・PHARMACY NEWSBREAK|
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「後発品→先発品」の変更調剤、8割超が恩恵実感
厚生労働省が2024年3月に出した、後発医薬品から先発医薬品への変更調剤を可能とする事務連絡について、日本保険薬局協会(NPhA)が会員に対する調査を行ったところ、85.9%の薬局がメリットを感じていると回答した。NPhAの担当者は、薬剤師の職能として変更調剤を可能とする措置を今後も継続してほしいと述べた。
厚労省の事務連絡は、医薬品の供給が不安定な状況を踏まえ、薬局で在庫がない場合は、患者の同意を得た上で、▽後発品の銘柄名処方における先発品への変更調剤▽後発品から規格または剤形違いの後発品への変更調剤(薬剤料がアップする場合も含む)―を可能とした。
NPhAの調査によると、回答のあった4,551薬局のうち、同事務連絡は薬局業務や患者にとって「大いにメリットがある」と答えたのは46.3%、「少しはメリットがある」は39.6%で、多くの薬局が好意的に捉えていた。
仮に、同事務連絡の内容が恒常的に認められた場合には、▽疑義照会に係る負担軽減▽待ち時間の削減▽欠品削減▽医薬品の安定供給▽患者の継続服用▽服用状況に応じた薬剤選択―といったメリットにつながるとの意見が挙げられた。
|2025年1月16日・PHARMACY NEWSBREAK|
4月から「医療DX加算」の要件・点数引き上げ
中医協総会は、福岡資麿厚生労働相から諮問を受けた医療DX推進体制整備加算の4月以降の取り扱いについて答申した。調剤では、加算1は7点から10点、加算2は6点から8点、加算3は4点から6点にそれぞれ引き上げる。4~9月に適用するマイナ保険証利用率の実績要件も引き上げ、加算1は45%、加算2は30%、加算3は15%とする。電子処方箋の導入に関する経過措置は3月末で終了し、未導入の薬局では同加算が算定できなくなる。
点数の引き上げは、電子処方箋などの調剤情報を登録する薬局の手間を評価。併せて、マイナ保険証利用率の実績要件について、2024年12月から現行保険証の発行を終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みへ移行したことや、これまでの利用率の実績を踏まえて引き上げた。利用率の計算式の分母はレセプト件数に統一する。2025年10月以降の実績要件は同年7月をめどに改めて検討する。
ー 紙の処方箋も「原則全て速やかに結果登録」規定
施設基準も見直し、電子処方箋の調剤だけでなく、紙の処方箋で調剤した場合を含めて、「原則として全て」の調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録することを新たに規定する。
また、薬局で処方意図と異なる医薬品が表示されるシステムトラブルがあったことを受け、医薬品マスタの設定などが適切に行われているか、厚生労働省のチェックリストでの点検が完了している医療機関・薬局を「電子処方箋導入済み」とする。同加算を届け出ていたものの、3月までに電子処方箋未導入の薬局は「辞退届」が必要になる。
ー 医科・歯科は経過措置を事実上継続
電子処方箋の導入に関する3月末までの経過措置については、導入が進んでいる薬局では終了する一方、遅れている医科・歯科では事実上継続する。医科・歯科では導入済み施設を対象とした加算1~3のほか、未導入の施設を対象とした加算4~6も設ける。同じマイナ保険証利用率でも、4~6は1~3に比べてそれぞれ2点低くする。
1月12日現在、電子処方箋の運用を開始した施設は全国で4万7681施設(22.5%)。内訳は▽病院311施設(3.9%)▽診療所8172施設(9.9%)▽歯科診療所1010施設(1.7%)▽薬局3万8188施設(63.2%)―となっている。「医療DXの推進に関する工程表」では電子処方箋を25年3月までに普及させることを掲げており、薬局では年度内に約8割弱の導入を見込むが、医療機関は1割にも満たない。
医療DX推進体制整備加算(調剤)
4-9月。10月以降のマイナ利用率は7月を目途に検討
|2025年1月29日・PHARMACY NEWSBREAK|
2023年度指導・監査実施状況、薬局の返還額9990万円
厚生労働省は、2023年度の保険医療機関などへの指導・監査の実施状況を公表した。診療報酬の不正請求などで、医療機関などから返還を求めた額は総額で46億2338万円(前年度比26億5077万円増)で、このうち薬局は9990万円だった。薬局の保険指定取り消し相当処分は1件あった。
指定取り消し相当となったのは、三重県伊賀市にあった「おだいじに薬局」(2023年6月16日付、返還額は精査中)。同薬局は同年2月25日付で廃止となり、取り消し処分が不可能であることから、取り消し「相当」となった。
同薬局は調剤基本料2で届け出るべきところ、処方箋の受け付け回数を操作し、基本料1に適合していると虚偽の届け出を行い不正に請求。地域支援体制加算についても基本料1を算定する区分で不正請求していた。監査で使用した、2020年3月分から2022年3月分までのレセプトでの不正請求金額は約452万円に上った。
2023年度の保険薬局への指導・監査実施件数は、▽個別指導427件(前年度比増減なし)▽新規個別指導2350件(239件減)▽集団的個別指導3372件(1132件減)▽適時調査5件(増減なし)▽監査2件(1件減)▽取り消し(取り消し相当含む)1件(1件減)―だった。
薬剤師では▽個別指導661人(231人減)▽新規個別指導3772人(594人減)▽監査12人(3人減)▽取り消し0人(1人減)―となった。
厚労省は全体の総括として、2023年度の医科・歯科・薬局の指定取り消し処分(指定取り消し相当を含む)は21件あり、その不正内容は架空請求、付増請求、振替請求、二重請求など多岐にわたっていると指摘。21件のうち18件は、保険者・医療機関従事者・被保険者らからの情報提供で発覚していると説明している。
|2025年1月28日・PHARMACY NEWSBREAK|
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