薬剤師・医療ニュース from じほう[2025年9月上旬]

ボノプラザン、関係学会がスイッチ化「賛成」
厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は8月21日、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のボノプラザン(販売名「タケキャブ錠」)と、消化器機能異常治療剤のメトクロプラミド(「プリンペラン錠」)の2成分のスイッチOTC化を検討した。ボノプラザンに対して関係学会はOTC化に「賛成」し、適正使用のために短期使用が担保される体制整備を求めた。
ボノプラザンをOTC化した際の効能・効果は、胸やけ、胃痛、げっぷ、胃部不快感など。同種同効薬・類薬として、ファモチジン(「ガスター10」)などがスイッチされている。PPIを巡ってはラベプラゾールなど3成分が昨年12月、厚労省の要指導・一般用医薬品部会で要指導医薬品への指定が了承された。
日本消化器病学会と日本臨床内科医会、日本OTC医薬品協会はそろってボノプラザンのOTC化に賛成する見解を示した。日本臨床内科医会は、適正使用の観点から、薬局やネット購入のいずれの場合も、「短期使用が担保される体制の整備、重篤な疾患をマスクする可能性を周知することが必要」と指摘。投与日数は従来のPPIと同様に最長2週間とすることを求めた。
OTC薬協は他のPPI成分と同様、「セルフメディケーションの選択肢拡大に寄与するものと考える」との見解を示した。
湯浅章平構成員(章平クリニック院長)はPPI3成分のOTC化を踏まえ、「本来であればPPI3剤がどういう影響があったかを見た上で、ボノプラザンのOTC化に進むのが手順だと思う」とも述べた。
ー メトクロプラミドも「適正使用対策」がポイント
一方、メトクロプラミドをスイッチした際の効能・効果は吐き気。同種同効薬・類薬として、消化管運動機能を改善するイトプリド塩酸塩(「イラクナ」)などがスイッチされている。関係学会・医会・業界の見解は、日本消化器病学会がOTC化に「反対」、日本臨床内科医会とOTC薬協は「賛成」だった。
日本消化器病学会は、吐き気に関する短期間の使用に限っては有効性が高いとする一方、漫然と使用された場合は「錐体外路症状、すなわちパーキンソン病用症状を来す可能性」もあり、「それが薬の副作用と気付かれずに使用し続けられることも起こりうる」と指摘した。
日本臨床内科医会の立場から、湯浅構成員はOTC化の絶対条件は「短期使用に限るということ」だと強調。「どうやって適正使用の対策を構築できるかが一つポイントになる」と述べた。
|2025年8月21日・PHARMACY NEWSBREAK|
7月部会通過の12品目26規格を承認――厚労省、不眠症薬ボルズィなど
厚生労働省は8月25日付で、7月に医薬品部会を通過した新医薬品12品目26規格を承認した。このうち部会で審議品目として扱ったのは7品目20規格。新有効成分含有医薬品は、大正製薬の「ボルズィ」、参天製薬の「セタネオ」、帝人ファーマの「ヨビパス」の3品目7規格となる。
ボルズィの効能・効果は「不眠症」。競合が激化しているオレキシン受容体拮抗剤で、MSDの「ベルソムラ」、エーザイの「デエビゴ」、ネクセラファーマジャパンの「クービビック」に次ぐ、国内4番手となる。
セタネオは「緑内障・高眼圧症」の効能・効果で承認を取得した。同剤はプロスタグランジンF(FP)受容体およびプロスタグランジンE(EP)3受容体のデュアル作動薬。同剤は主成分でプロドラッグのセペタプロストを0.002%含有している。セペタプロストは点眼後、主に角膜中に速やかに加水分解され、FP受容体とEP3受容体に対して結合、刺激することで、房水流出を促進し、眼圧下降作用を示すと考えられている。
ヨビパスの効能・効果は「副甲状腺機能低下症」。副甲状腺機能低下症は、体内のカルシウムとリン酸のバランスを調整する副甲状腺ホルモン(PTH)の不足によって引き起こされる内分泌疾患。同剤は1日1回皮下投与で、24時間にわたり血中PTH濃度を生理学的範囲で維持できる。同剤はオーファン指定を受けている。
また部会の報告品目として、5品目6規格が一部変更承認された。MSDのHPVワクチン「シルガード9」は、「ヒトパピローマウイルス6、11、16、18、31、33、45、52および58型の感染に起因する肛門がん(扁平上皮がん)およびその前駆病変(肛門上皮内腫瘍〈AIN〉1、2および3)の予防」を追加する。接種対象者を男性にも広げる。
日本イーライリリーのアルツハイマー病治療薬「ケサンラ」は、用量の漸増方法を変えるための一部変更承認が認められた。漸増方法の変更は、アミロイド関連画像異常(ARIA)の発現頻度の低減を狙ったもの。
|2025年8月25日・日刊薬業|
「乱用恐れ」薬、適切販売88%で「改善傾向」
厚生労働省は8月22日、2024年度の医薬品販売制度実態把握調査の結果を発表した。乱用の恐れのある医薬品の販売で適切な販売をした割合は、薬局やドラッグストアでの店頭販売で88.4%となり、前年度より7.5ポイント増と改善傾向が見られた。インターネット販売での順守率は前年度からほぼ横ばいの81.0%だった。
薬局などでの店頭販売に対する覆面調査は24年11月~25年2月に実施。乱用の恐れのある医薬品を購入しようとした際の対応については、調査した1519件(薬局202件、店舗販売業1317件)のうち88.4%で適切に販売していた(薬局87.1%、店舗販売業88.6%)。
一方で、第1類医薬品の販売時における「文書による情報提供」や「情報提供された内容を理解したかどうかなどの確認」の項目では「順守率が低い結果となった」と厚労省は評価。前者の順守率は調査した795件のうち84.5%(薬局84.2%、店舗販売業86.3%)、後者は64.8%(薬局63.0%、店舗販売業75.2%)だった。
ネット販売の調査では、多くの項目で順守率が9割を超えていた。しかし、「第2類医薬品などに関する相談に対応した者の資格が薬剤師または登録販売者であった」のを調査員が確認できたのは68.2%と、例年に続き低い結果となった。
ー 「質問されずに医薬品購入」5.7%に改善
また、店頭販売において、調査員が店舗従業員に相談を持ちかけずに第1類薬を除く一般用医薬品を購入しようとした際の対応も、前年度に続いて調査した。「薬剤師・登録販売者がレジ対応をした」の割合は80.5%で、前年度から21.4ポイント増と改善。「質問などされずに医薬品を購入できた」割合も、前年度22.5%から今年度は5.7%と改善傾向が見られた。
|2025年8月22日・PHARMACY NEWSBREAK|
糖尿病薬テプリズマブ、国内試験を開始
サノフィは8月21日、1型糖尿病の進行抑制薬テプリズマブ(一般名)について、国内で臨床第2相「KIBOU-T1D」試験を開始したと発表した。同剤は、T細胞の表面に発現するCD3に結合する抗体医薬品。結合によって、自己反応性T細胞の活性を抑制し、膵β細胞の破壊を遅らせることで、ステージ3の1型糖尿病の発症を遅延させる可能性があるという。
同試験は、日本人の小児と成人(8~34歳)を対象にしたランダム化非盲検比較試験。テプリズマブを14日間投与する群と、介入しない観察群を比較し、ステージ2からステージ3への進行遅延や、膵β細胞保護作用に関する有効性と安全性を評価する。現在は、最初の被験者の組み入れを完了した段階。同社は日刊薬業に対し、10人程度の組み入れを目標にしていると説明した。
同剤は既に米国で、ステージ2の1型糖尿病を有する8歳以上の人に対して「ステージ3の1型糖尿病の発症遅延」の適応で承認されている。
|2025年8月21日・ 日刊薬業 |
医薬品のドローン配送、「麻薬可能にして」――離島の薬局が要望、在宅ニーズ増加踏まえ
長崎県の五島列島の中通島・新上五島町にあり、専門医療機関連携薬局と地域連携薬局の認定を受けている「あおかた調剤薬局」は、ドローンによる医薬品配送サービスを利用している。鈴木智香子代表取締役は、町内に医薬品卸の営業所がないことから活用への期待を示す一方、一度に運べる量が限られることや、麻薬が運べないことなどから、現場の感覚では「ないよりはましな程度」だと説明。高齢化率が4割を超える島の在宅医療ニーズに対応するため「一日も早く、麻薬が運べるようになってほしい」と国に運用の見直しを訴えた。
五島列島の五島市と新上五島町では、豊田通商の子会社「そらいいな」が2022年から医療用医薬品のドローン配送事業を開始。五島市のある福江島に拠点がある地場卸3社から医薬品の配送を代行する形で、ほかの島の医療機関や薬局にドローンを飛ばしている。取材時には、薬局の注文から1時間半後に配送が完了した。薬局への配送は無料だが、その分納入価は高めだと鈴木氏は話す。
ー 劇薬可も麻薬は「当面NG」、1回の配送量も課題
ドローンの医薬品配送を巡っては、厚生労働省が23年3月にガイドライン(GL)を発出。劇薬の配送は認めたものの、流通上厳格な管理が必要な麻薬・向精神薬、毒薬などは、災害時を除いて「当面の間」避けるよう求めた。「そらいいな」も劇薬の配送は始めたが、麻薬は配送不可だ。
しかし鈴木氏は、卸の営業所がない離島でドローンを使ってでもすぐに必要な薬は「麻薬」だと強調。終末期患者は麻薬の投与量が日々変化するため、在庫を多く抱えていてもカバーできないケースがあると指摘。配送を早急に解禁してほしいと訴えた。
1回の配送量も課題だ。「そらいいな」が使う飛行機型のドローンは、医薬品が入ったパラシュート付きの箱を上空から地上に落とすため、箱の中に緩衝剤を敷き詰める必要がある。注文量に応じて複数のドローンが運んでくるが、鈴木氏は「たくさんのドローンを飛ばしても、わずかしか運べないのが現状」と肩を落とす。ドローンへの期待は大きい一方、従来の物流に取って代わるものではないことを踏まえて、離島の医薬品流通体制を考える必要があると強調した。
|2025年8月21日・ PHARMACY NEWSBREAK |
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