2025.12.17

薬剤師・医療ニュース from じほう[2025年12月下旬]

26年度改定基本方針案、医療部会でも了承――物価高騰・賃上げ対応に重点

 厚生労働省の社会保障審議会医療部会は8日、2026年度診療報酬改定の基本方針案を部会長一任で了承した。物価高騰や賃上げなど、医療機関を取り巻く環境変化への対応を重点課題としている。並行して基本方針を議論していた医療保険部会でも大筋了承されており、近く決定する。
 改定の基本的視点は、①物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取り巻く環境の変化への対応②40年ごろを見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進③安心・安全で質の高い医療の推進④効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上―の4つで、①を重点課題とした。
 薬局に関する具体的な方向性としては、▽医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価▽地域の医薬品供給拠点としての薬局に求められる機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化▽電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取り組みによる医薬品の適正使用等の推進―などが盛り込まれた。


― 重症患者の訪問などで「薬局の評価」追記


 前回の部会で示された骨子案からの変更点としては、質の高い在宅医療・訪問看護の確保の中で、地域で重症患者の訪問診療や在宅での看取りなどを積極的に担う「薬局の評価」が追記された。

|2025年12月8日・PHARMACY NEWSBREAK

エンシュアの適応外使用、給付適正化へ――中医協総会、食品類似医薬品が対象

 中医協総会は12日、エンシュア・リキッドなど食品に類似した医薬品の薬剤給付を適正化する方向でまとまった。必ずしも治療上の必要性を伴わない一部の不適切使用などを踏まえた対応で、それぞれの品目の効能・効果に基づいた使用を徹底する。代替できる食品があるにもかかわらず、保険診療で使用する目的が「不明瞭」なケースが適正化の対象になる見通しだ。
 厚生労働省は、これまでもビタミン剤や湿布薬などで薬剤給付を適正化してきた。今回対象に挙げられたのは、▽エンシュア・リキッド▽ツインラインNF配合経腸用液▽ラコールNF配合経腸用液▽エネーボ配合経腸用液―など。いずれも効能・効果は「一般に手術後患者の栄養保持。特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給」とされている。効能・効果がほぼ同様のエンシュア・Hも、代替可能な食品が市販されている品目として挙げられた。
 厚労省は「通常の食事による栄養補給が可能な患者における追加的な栄養補給については同程度の栄養を有する食品で代替可能」と指摘。一方、疾病治療のため、医師が栄養保持を目的に「特に必要」と認めて使用されているケースもあると紹介し、食品類似医薬品の薬剤給付の適正化について意見を求めた。


― 診療側は「保険外し」に反対、支払い側は運用ルールの工夫求める


  江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、単純な「保険外し」には反対を表明。「実際には少し食欲がない場合や、食事と併用した使用は、既に審査支払機関の審査で厳しくチェックされている」と審査の現状を説明した。小阪真二委員(全国自治体病院協議会副会長)は、在宅で治療している高齢者の自己負担が増えることに懸念を示した。
 支払い側の松本真人委員(健保連理事)は、医薬品と同等以上の成分を含む食品があることから「保険給付の適正化は十分現実的」と主張。具体的な方策として、効能・効果に沿った使用を「原則」とするよう求めた。治療上の必要性を理由にして、例外的に医師が使用する場合も「単なる低栄養というだけで保険診療の中で使用することのないよう、運用ルール上の工夫をお願いしたい」などと述べた。
 厚労省は総会後の記者向け説明会で、「(論点で示した)適正化の方向性自体に異論はなかった」との認識を示した。「効能・効果を基本に使用方法を明確化して、不明瞭な使用の適正化を図る」とし、今後、具体的な対応を検討するという。

|2025年12月12日・PHARMACY NEWSBREAK

患者向けガイド必須版、来年4月以降作成――厚労省安対課、スケジュール示す

 厚生労働省医薬局医薬安全対策課は16日の医薬品等行政評価・監視委員会で、添付文書を基に製薬企業が作成する患者向け医薬品ガイドに関するスケジュールを明かした。年内にも「必須版」の作成に関する手引を通知し、一部の承認品目について製薬企業が2026年4月以降順次作成していく。必須版が一定程度作成された段階で患者ニーズの調査を実施し、その結果も踏まえガイドの改善や「詳細版」について必要な検討をしていく。
 患者向け医薬品ガイドは、患者や家族が医療用医薬品を正しく理解し、重大な副作用を早期に発見するためなどに役立つよう、06年から作成されている。ただ認知度は低く、活用されていない実態が報告されている。そのため医薬品医療機器総合機構(PMDA)は24年12月から検討会を開催し、ガイドの位置付けや内容、提供方法について改善策を検討をしていた。
 検討会の取りまとめでは、ガイドの様式はA4判1~2枚程度の必須版と詳しい内容を記した詳細版の2部構成を想定。患者にとって読みやすい必須版の作成を優先する方針を示していた。

|2025年12月16日・日刊薬業

膵がん1次治療の適応追加を申請――日本セルヴィエのオニバイド

 日本セルヴィエは16日、抗悪性腫瘍剤「オニバイド」(一般名=イリノテカン塩酸塩水和物)について、「他の抗悪性腫瘍剤との併用による、未治療の治癒切除不能な膵がん」に対する効能・効果の追加を申請したと発表した。
 申請は、遠隔転移を有する膵がんに対して治療歴のない患者を対象にした海外臨床第3相(P3)試験(NAPOLI-3試験)の結果に基づく。同試験は、オニバイドとオキサリプラチン、フルオロウラシル、レボホリナートの併用投与である「NALIRIFOX療法」と、ゲムシタビン、ナブパクリタキセルの併用療法(GnP療法)を直接比較した無作為化、非盲検の海外P3。試験の結果、NALIRIFOX療法はGnP療法に比べ、全生存期間において統計学的に有意な改善を示した。
 オニバイドは、有効成分であるイリノテカンをポリエチレングリコールで修飾したリポソームに封入した製剤。日本では2020年3月、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵がん」を効能・効果として承認を取得した。

|2025年12月16日・日刊薬業

高齢者のRSVワクチン接種「推奨」――3学会が見解

 日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の3学会は11日までに、高齢者に対するRSウイルス(RSV)ワクチンの接種を「推奨する」との見解を公表した。
 RSV感染症は、高齢者と基礎疾患を持つ成人においてインフルエンザと同程度の重症化リスクがあることが報告されている。3学会の見解では、成人のRSV感染症にはインフルや新型コロナのような抗ウイルス薬が存在しないと指摘。現在承認されているRSVワクチンについて「いずれも高い有効性と良好な忍容性を示している」とし、予防接種の利益がリスクを上回っていると強調した。
 このほか、国内では死亡者数などの全国的なデータが不十分だとして、疫学情報の蓄積を進める必要性も訴えた。
 3学会は2026年4月から妊婦に対する母子免疫ワクチンが定期接種化されることも踏まえ、ワクチン接種の必要性について考える材料としてもらうために見解を作成した。

|2025年12月11日・MEDIFAXweb

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