薬剤師・医療ニュース from じほう[2026年3月上旬]

地薬体加算、都内最大1割超が継続困難に――「後発率85%」必須化で、面薬局にしわ寄せも
算定の可否が薬局経営に大きな影響を与える、2026年度調剤報酬改定で新設の「地域支援・医薬品供給対応体制加算」(地薬体加算、最大67点)。現行の地域支援体制加算を再編する同加算の必須要件に、厚生労働省は後発医薬品の調剤率「85%以上」を設定した。これにより、1年間の経過措置はあるものの、東京都内では地域支援加算を算定している1割超の薬局で地薬体加算を算定できなくなる恐れがある。自助努力で後発品率を上げるのが難しいという面対応の薬局からは不満も漏れる。
地薬体加算は、後発品調剤体制加算を引き継ぐ形で設けられる1(27点)と、現行の地域支援加算に相当する2~5(37~67点)で構成。2~5を算定する場合も、後発率85%以上や安定供給に関する要件を満たす必要があり、現行の地域支援加算よりも算定要件は厳しくなる。
関東信越厚生局が発表している届け出受理名簿(今年1月1日付)によると、都内の全7103店のうち地域支援加算を届け出ているのは3119店。このうち後発加算の届け出状況は、▽届け出なし=198店(6.3%)▽加算1(後発率80%以上85%未満)=249店(8.0%)▽加算2(同85%以上90%未満)=732店(23.5%)▽加算3(同90%以上)=1940店(62.2%)―だった。「届け出なし」と加算1の薬局計447店(14.3%)は現時点で、地薬体加算の後発率85%以上の要件を満たせていない。
地薬体加算には、3月末時点で後発加算1~3を届け出ている場合には、27年5月末まで後発率85%以上と見なす経過措置が設けられるが、後発加算1の薬局もその間に85%以上に達しないと地薬体加算を算定できなくなる。
― 幅広い在庫が災い?「先発品希望者の受け皿に」
今回の改定で厚労省は「面分業推進」を打ち出している。ただ、後発率が地薬体加算の必須要件になったことで、面薬局の経営が苦しくなる一面もある。
東京メトロ茗荷谷駅前にある紫山堂薬局本店(東京都文京区)は集中率10%の面薬局だ。現在は地域支援加算2(47点)を算定しているが、後発率は75%程度のため後発加算は算定できず、経過措置の対象外。地薬体加算の算定は厳しい状況だ。白鳥紀美子社長は、「薬剤師2~3人分の減収。人件費のことを考えると、土日の開局など、今まで通りの対応はできなくなる」と肩を落とす。
後発率が高まらない背景には、「面ならでは」の理由があるという。同店では、月に500を超える医療機関からの処方箋に備え、後発・先発を問わず幅広い品目を在庫している。そのため先発医薬品の在庫を切らした他社店舗からの患者紹介もあるという。その結果、地域の「先発品希望者の受け皿」にならざるを得ず、実際、同店では全処方箋の4分の3を占める一般名処方のうち、約2割の患者が先発品を希望している。
― 先発品好む患者が多い「地域性」も影響
地域性も影響を与える。文京区の後発率は84.6%(昨年3月時点)で23区のうち、港区、目黒区、中央区に続いて4番目に低い。都内全体(88.1%)と比べても差がある。
白鳥氏は「選定療養の『特別の料金』を払ってでも先発品を希望する患者は他区よりも多い」と指摘。その上で、後発率の算出方法について、「処方医の『変更不可』を含め、薬剤師の努力ではどうしようもないケースは後発率の分母から除くべきではないか」と疑問を呈している。
|2026年3月2日・PHARMACY NEWSBREAK|
3月5日に第一部会――新有効成分は3件
厚生労働省は3月5日、薬事審議会医薬品第一部会を開催する。審議議題は8件で、このうち、新有効成分含有医薬品は、オーファンパシフィックの活性化PI3Kδ症候群治療薬「ジョエンジャ」(一般名=レニオリシブリン酸塩)、ウルトラジェニックス ジャパンの長鎖脂肪酸代謝異常症(LC-FAOD)治療薬「ドジョルビ」(トリヘプタノイン)、バイエル薬品の造影剤「アムベルビスト」(ガドクアトラン水和物)の3件となる。この3件は製造販売承認の可否を審議する。
ジョエンジャの対象疾患は「活性化PI3Kδ症候群」。PI3Kδのシグナル伝達が過剰に活性化するのを抑える。国内では、同症候群の適応を取得している薬剤はない。
ドジョルビはLC-FAODを対象疾患とする。LC-FAODは、ヒトの重要なエネルギー源である長鎖脂肪酸をミトコンドリア内で適切に代謝できなくなることが原因となる。特に、脂肪酸を主要なエネルギー源としている心臓や筋肉、肝臓などへのエネルギー供給が不十分となり、深刻な影響を与える。ウルトラジェニックスは、同剤について「患者の迅速かつ効率的なエネルギー源となる、高度に精製された合成中鎖脂肪酸」と説明している。
同社は2025年8月に条件付き承認制度に基づき、国内で同剤の承認申請を行った。その後、25年12月の第一部会で条件付き承認制度の適用が報告された。
ジョエンジャとドジョルビは、オーファン指定を受けている。
アムベルビストの対象疾患は「磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)における造影(脳・脊髄造影、躯幹部・四肢造影)」。バイエル薬品が25年6月、世界に先駆けて日本で承認申請した。同社によると、同剤は低用量ガドリニウムであることが特徴だ。
― ルセフィの小児用量についても審議
新有効成分以外では、大正製薬のSGLT2阻害剤「ルセフィ」(ルセオグリフロジン水和物)の2型糖尿病の適応について、10歳以上の小児用量追加を審議する。
ヴィアトリス製薬のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)「イフェクサー」(ベンラファキシン塩酸塩)は、すでにうつ病・うつ状態の適応を持っているが、「全般不安症」の適応追加を審議する。
― 報告品目は2件
報告品目は2件。バイエル薬品は、眼科用VEGF阻害剤「アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mL」「同8mg硝子体内注射用キット114.3mg/mL」を「新効能・新用量医薬品」の区分で申請している。第一部会では、同剤の「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」の追加が報告される。
|2026年2月26日・日刊薬業|
重篤副作用マニュアルを改定――厚労省・安対課
厚生労働省医薬局医薬安全対策課は26日、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」を改定し、ホームページに掲載した。日本製薬団体連合会の安全性委員会宛てに事務連絡も出している。改定したのは、▽アナフィラキシー▽血管性浮腫(非ステロイド性抗炎症薬によらないもの)▽非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs、解熱鎮痛薬)による蕁麻疹・血管性浮腫▽緑内障▽角膜混濁▽間質性肺炎(肺臓炎、胞隔炎、肺線維症)―に関するマニュアル。
これを受け、医薬品医療機器総合機構(PMDA)も同日付で、電子添付文書にひも付けられている旧マニュアルを改定版に差し替えることを事務連絡した。日薬連の傘下企業に対し、差し替えの連絡を受けてから3営業日以内に、差し替え後のひも付けが適切かどうかを確認するよう指示した。
|2026年2月26日・日刊薬業|
山口で医師会主導の問合せ簡素化プロトコル――参加施設の8割「疑義照会減り診療に専念」
山口市医師会と同市薬剤師会は、銘柄・剤形変更や一包化・粉砕可否など典型的な調剤上の問い合わせを簡素化するプロトコルを2024年から運用している。山口市医が作成した案を基に、中国四国厚生局の監修を得て確定。参加する医師会員施設の8割が「疑義照会が減り診療に専念できた」と高く評価した。地域の医師会と薬剤師会間のこうしたプロトコル導入は全国初とみられる。
両者はスポーツ親睦会を定期的に企画するなど交流が盛んで意見交換も積極的に行っている。その中で22年に市薬の岡幸夫会長が、市医の成重隆博会長(当時・現参与)に、調剤時の医療機関への問い合わせで患者の待ち時間が増えていると悩みを相談。成重氏は、ルールを定めて手続きを簡素化できれば患者にメリットがあり、医療機関と薬局の負担軽減にもつながると判断し、吉兼隆大理事に検討を指示した。
これを受け、吉兼氏が調査したところ、医療機関と薬局間のプロトコルは存在した一方、地域の医師会と薬剤師会によるものはなかった。そこで参加は任意とし、プロトコルについては、まずは市医と医師会員の施設、市薬と薬剤師会員の薬局がそれぞれ「個別合意」し、さらに市医と市薬が「包括合意」をするモデルとした。これまでに市医会員施設95施設のうち37施設(38.9%)、市薬会員薬局55薬局のうち34薬局(61.8%)が合意している。
プロトコル案を作成し、厚生局との調整も担った吉兼氏は、適切な運用を目指すためには、厚生局の監修を受けることが重要だと指摘。「公的責任のある医師会と薬剤師会の取り組みだからこそ、厚生局も二つ返事で協力してくれた」と振り返った。
― 麻薬や抗がん剤、注射薬は対象外
プロトコルは、銘柄や剤形、処方規格の変更のほか、一包化可否、残薬調整など14項目を定めている。一方、医療用麻薬、抗がん剤、注射薬は対象から除いた。各項目について、疑義照会は不要とし、変更した場合は、薬局が指定書式の「修正報告書」を調剤後速やかに医療機関にファクスする仕組みとした。医療機関は、受け取ったファクスを基に、変更内容をカルテに反映する。
プロトコル運用開始後の25年4月に実施した調査では、活用する市医会員施設の8割が、診療に専念できたなどのメリットを実感していた。一方、未活用施設からは「疑義は都度照会すべき」との意見も4割あった。
また、ある薬局では、皮膚科への疑義照会件数が月平均21~50件から6~10件に減少した一方、トレーシングレポートが6~10件から21~50件に増加したとの報告もあった。プロトコルにより典型的な問い合わせが減る一方、従来行っていた情報提供をトレーシングレポートで実施するケースが増えたためとみられる。
成重氏は、プロトコルに「デメリットはない」と強調した上で、現在4割程度にとどまる医療機関の参加率について「100%になってほしい」と期待を示した。地域の2つの基幹病院については、一方は院内処方、もう一方は同意が得られず不参加となっており、この動向も注視しているという。
一方、薬局の参加状況について吉兼氏は、チェーン薬局は本部の方針で参加していないと説明。「患者さんにとって経営母体は関係ない。地域にある薬局として参加を検討してほしい」と要望した。
|2026年2月27日・PHARMACY NEWSBREAK|
エンハーツに効能追加申請、第一三共――術前療法後のHER2陽性乳がん治療で
第一三共は27日、抗HER2抗体薬物複合体「エンハーツ」(一般名=トラスツズマブ デルクステカン)の効能追加申請を国内で行ったと発表した。予定している効能・効果は、抗HER2療法による術前療法後に浸潤性残存病変を有するHER2陽性乳がん。この申請は国際共同臨床第3相試験「DESTINY-Breast05」などの結果に基づくもの。
|2026年2月27日・日刊薬業|