薬剤師・医療ニュース from じほう[2026年3月下旬]

【中医協】公知申請4件の保険適用を報告――バイエルのアベロックスなど
中医協は11日の総会で、バイエル薬品の「アベロックス錠400mg」(一般名=モキシフロキサシン塩酸塩)が公知申請により保険適用になったことを報告した。新たに保険適用が認められた適応症は「多剤耐性肺結核」。報告されたのは同剤を含めて4成分。いずれも薬事審議会医薬品第一や第二部会で事前評価を終え、公知申請が認められていた。
アベロックス以外では、高田製薬の「ゲムシタビン点滴静注用200mg『ヤクルト』」「同1g『ヤクルト』」「同200mg『タカタ』」「同1g『タカタ』」は、「局所進行上咽頭がんにおける化学放射線療法の導入療法、再発または遠隔転移を有する上咽頭がん」の保険適用を認めたことを報告した。
またサノフィの「フルダラ静注用50mg」(フルダラビンリン酸エステル)は「同種造血幹細胞移植の前治療(対象疾患の拡大)」に対する使用で、ファイザーの「注射用メソトレキセート5mg」「同50mg」は「造血幹細胞移植時の移植片対宿主病の抑制」で保険適用可能になった。
|2026年3月11日・日刊薬業|
第一部会、新有効成分3件を承認了承――オーファンパシフィックのジョエンジャなど
厚生労働省は5日、薬事審議会医薬品第一部会を開催した。審議品目のうち、オーファンパシフィックの活性化PI3Kδ症候群治療薬「ジョエンジャ」(一般名=レニオリシブリン酸塩)とウルトラジェニックス ジャパンの長鎖脂肪酸代謝異常症(LC-FAOD)治療薬「ドジョルビ」(トリヘプタノイン)、バイエル薬品の造影剤「アムベルビスト」(ガドクアトラン水和物)の3件の新有効成分含有医薬品の製造販売承認を了承した。
ジョエンジャの適応は「活性化PI3Kδ症候群」。PI3Kδのシグナル伝達が過剰に活性化するのを抑える。国内では、同症候群の適応を取得している薬剤はない。ドジョルビはLC-FAODを適応とする。現在、国内では、LC-FAODの適応を取得している薬剤はない。ジョエンジャとドジョルビは、オーファン指定を受けている。
アムベルビストの適応は「磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)における造影(脳・脊髄造影、躯幹部・四肢造影)」。バイエル薬品が2025年6月、世界に先駆けて日本で承認申請した。25年12月時点で、同剤はいずれの国・地域でも承認されていないという。同社によると、同剤は低用量ガドリニウムであることが特徴だ。
― ルセフィの小児用量も了承
新有効成分以外では、大正製薬のSGLT2阻害剤「ルセフィ」(ルセオグリフロジン水和物)の2型糖尿病の適応について、10歳以上の小児用量追加を了承した。
ヴィアトリス製薬のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)「イフェクサー」(ベンラファキシン塩酸塩)は、すでにうつ病・うつ状態の適応を持っているが、「全般不安症」の適応追加を了承した。
― 報告品目は2件
報告品目は2件。セルトリオンの眼科用VEGF阻害剤「アイリーア」のバイオシミラー(BS)は、製造販売承認を「可」とすることを報告した。適応は▽中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性▽網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫▽病的近視における脈絡膜新生血管▽糖尿病黄斑浮腫―の4つを取得する見込み。
バイエル薬品は、「アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mL」「同8mg硝子体内注射用キット114.3mg/mL」を「新効能・新用量医薬品」の区分で申請し、第一部会では、同剤の「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」の追加が報告された。
|2026年3月5日・日刊薬業|
複数医療機関受診の多剤患者、広大病院に窓口――広島県、「ポリファーマシー受診」モデル事業
広島県が、ポリファーマシーが疑われる患者を総合診療科で診察する「ポリファーマシー受診」のモデル事業に取り組んでいる。複数科の医療機関を受診し、ポリファーマシーが疑われる患者の服薬調整に関する処方医向け相談窓口を、広島大病院総合内科・総合診療科に設置。この窓口が処方医同士の橋渡し役(コーディネーター)を果たすことで、処方の最適化を図る。
処方医が服薬調整をする際、他の医療機関からの処方との調整に迷った場合に、同窓口に患者を紹介する。同科では、総合診療医や総合内科医が、患者を対面で診察しつつ、必要に応じて処方元の各医療機関に処方情報などの提供を依頼する。その上で、リスクとなり得る薬の組み合わせ情報などを整理し、各医療機関に伝える。
処方医がポリファーマシーの疑いに気付くきっかけとしては、薬局からの服薬情報提供書や、めまいやふらつきといった患者の自覚症状、内服薬を6種類以上処方された高齢者を対象に広島市が送付している服薬情報通知などを想定している。モデル事業の実施期間は昨年12月19日から今年3月19日までの3カ月間。同窓口への紹介元となる医療機関は、現時点では広島市内に限っている。
― 自身の専門以外は…処方医にも悩み
県は2024年度、厚生労働省の「高齢者医薬品適正使用推進事業における地域調査」に採択されたことを受け、県や市レベルの医師会や薬剤師会などでつくる会議体を発足させた。同会議の中で、薬局・薬剤師がポリファーマシー対策に取り組んでいるものの、実際に処方する医師の協力も欠かせないとの声が上がったという。一方、医師からは「自身の専門以外の処方薬を調整するのは難しい」との意見もあり、総合診療医らに相談できるモデル事業を立ち上げた。
事業立ち上げに当たっては、厚労省がまとめた「地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」を参考にした。地域の旗振り役となる地域ポリファーマシーコーディネーターには、相談窓口を兼ねる広島大病院総合内科・総合診療科の医師を選んだ。
― 医師の理解促すきっかけにも
県はこれまでも県医師会、県薬剤師会などとつくる県地域保健対策協議会(地対協)などを通じて、ポリファーマシー対策に取り組んできた。一方、薬剤師が処方医に情報提供しても、ポリファーマシーの解消には医師の処方変更が不可欠となる。そのため、県薬務課は今回のモデル事業で、医師の理解を深め、取り組みを促す狙いもある。
― 医師だけでなく患者へのアプローチも
地対協の「医薬品の適正使用検討特別委員会」は2月、広島市で患者や患者家族向けの公開セミナーを初めて開いた。地域ポリファーマシーコーディネーターの宮森大輔氏(広島大病院総合内科・総合診療科講師)らが講演し、「安全に薬を整理するためのステップ」を説明。「薬を減らすのが怖いと感じるのは自然なこと」としつつ、体調の変化を薬剤師や医師に伝える重要性を訴えた。
|2026年3月12日・PHRMACY NEWSBREAK|
選定療養対象の長期収載品リストを更新――26年度は776品目、前年度から大幅減
4月1日の薬価改定を前に、厚生労働省は5日、選定療養の対象になる長期収載品のリストを更新した。品目数は776品目で、前年度の1006品目から大幅に減少した。保険局医療課によると、不採算品再算定の適用で後発医薬品の薬価が長期収載品を上回り、対象から外れたことなどが影響したという。
新たにリストに加わった長期収載品は38品目。参天製薬の緑内障・高眼圧症治療剤「タプロス点眼液」や、ヒスタミンH1受容体拮抗剤「アレジオンLX点眼液0.1%」、大塚製薬のV2受容体拮抗剤「サムスカ顆粒1%」、住友ファーマの抗てんかん剤「エクセグラン散20%」などが含まれている。
逆に、リストから外れた長期収載品は268品目ある。ヴィアトリス製薬のカルシウム拮抗剤「ノルバスク」や、久光製薬の経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」、日本ベーリンガーインゲルハイムの睡眠導入剤「レンドルミン」などが対象。
|2026年3月6日・日刊薬業|
「調剤の概念」発表、処方意図評価を明記――日本薬学会「全薬剤師の行動目標に」
日本薬学会の石井伊都子会頭は11日の会見で、「調剤の概念」を発表した。薬剤師が医薬品情報に加えて患者情報も用いて「処方意図を評価」し、患者に個別最適化された薬物療法を提供する一連の行為と定める。石井氏は、医療人や国民が薬剤師に何を望んでいるかをアカデミアの視点から表現したものだとし、薬局・病院を問わず、全ての薬剤師の行動目標になるとしている。
日本薬学会は、日薬の依頼を受けて「調剤の概念化WG」を立ち上げた。近年、薬剤師に求められる調剤業務の幅が広がっているため、それを言語化して、薬剤師の行動目標を示すだけではなく、社会に対する説明責任を果たすことを目的とした。メンバーは6人で、日本薬学会からは石井氏と北原隆志医療薬科学部会長、日薬からは橋場元常務理事と山田武志常務理事、日本病院薬剤師会からは和泉啓司郎専務理事と濱浦睦雄理事が参加した。
検討の結果、「調剤の概念とは、薬剤師が、医薬品情報と患者情報を用いて薬学的観点から処方の意図を評価し、必要に応じ照会・提案した上で、処方に基づいて患者に対して個別最適化された薬物療法を提供する一連の行為である。このプロセスは、継続的に行われるものである」と決定した。詳細は、3月末に開かれる日本薬学会年会の会頭講演で解説する。
― 診療報酬ありきではなく「サイエンスベースで」
石井氏はじほうの取材に対し、日本薬学会にとって、日薬や日病薬と合同で協議し、議論の成果をまとめたケースは初めてであるとし、「とても良い刺激になった」と述べた。また、調剤を診療報酬ベースで捉え「報酬が付くことしかやらない」といった風潮は好ましくなく「やはりサイエンスベースで考えてもらいたいと個人的に強く思っていた」と強調。こうしたことが、今回の依頼を引き受けた理由だとした。
また、表現のポイントとして、患者情報を踏まえるよう明記したことや、薬学的観点から処方の「意図」を評価するとしたことを挙げた。さらに、処方箋を受け取った時点だけではなく、フォローアップも含めるため「一連の行為」と記載。加えて、最後に、在宅などにおいてDo処方であっても、毎回しっかりと確認することが重要であることを伝えるため「このプロセスは、継続的に行われるもの」という表現も加えたと説明した。すでに、厚生労働省や日本医師会の了承も得ているという。
石井氏は「全ての医療人、一般国民のコンセンサスを得るという意味で、アカデミアが策定する意義は非常に大きかった」と述べた。
|2026年3月11日・PHARMACY NEWSBREAK|