薬剤師・医療ニュース from じほう[2026年4月上旬]

「一包化以外にも拡大」「直送」に否定的意見――調剤の外部委託、厚労省検討会
30日の「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」では、調剤業務の一部外部委託についても議論した。大阪市での国家戦略特区事業の参加者から、同一の処方箋で一包化する薬剤と、しない薬剤があった場合、後者も外部委託の対象にしてほしいと要望があったが、構成員からは否定的な意見が相次いだ。受託薬局から患者宅に処方薬を配送する「直送」についても、特区事業でまだ安全性が検証されていないとして「時期尚早」との意見が目立った。
この日の検討会では、特区事業を進めている「薬局DX推進コンソーシアム」のメンバーが参考人として参加。同一の処方箋で一包化されない薬剤も含めて外部委託できれば、より対人業務に充てられる時間が増えると訴えた。これを受けて厚生労働省は、外部委託可能な業務の範囲として、「同一の処方箋において一包化されない薬剤(散剤、湿布、軟膏など)の取りそろえ」も認めるべきかを論点とした。
橋場元構成員(日本薬剤師会常務理事)は、吸湿性や遮光性などの理由から散剤を一包化した薬剤と別包にし、テープなどでとめ合わせる作業は「一包化業務の範囲」との認識を示した。一方、湿布と軟膏については、必要量を取りそろえる程度の作業しか想定できず、外部委託の目的である「対人業務の充実、薬剤師の時間捻出」にはつながらないと指摘。また、同一処方箋で一包化されない薬剤は、頓服薬や注射薬、点眼剤もあるとし、特に注射薬は厳重な保管管理が求められるため、外部委託を可能にするのは問題だと主張した。
他の構成員からも否定的な意見が相次ぐ中、落合孝文構成員(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)は、同一処方箋に外部委託可能な薬剤とそうでないものが混在することで「配薬漏れなど調剤過誤のリスクが上がる」恐れがある、との参考人の主張に一定の理解を示した。
特区事業で今後実証する予定の「直送」についても議論になった。橋場構成員は、委託薬局が遠隔で処方薬を監査する手法がまだ確立していないとし、「遠隔監査が問題なく実装可能であることを確認できるまでは、直送は認められない」との姿勢を示した。
― 患者の署名「不要」、委託先は「3次医療圏に限定」
特区事業では、患者への説明と書面による同意取得に時間がかかることも課題となっている。構成員からは、「説明は必要だが、署名は不要」との意見が多数上がった。また、委託先の薬局の地理的要件も論点に上がったが、3次医療圏に限定してスタートすべきとの意見がほとんどだった。
外部委託は2027年5月までに解禁される予定。厚労省は、外部委託が可能な「特定調剤業務」の範囲や、実施に当たっての要件などについて今回出た意見を踏まえ、4月の次回会合で事務局案を提示する方針を示した。了承されれば、パブリックコメントを実施した後、政省令として公布する。
|2026年3月30日・PHARMACY NEWSBREAK|
薬剤師国試、私大新卒の「実質合格率」74%――最大で合格率に50ポイント超の差
25日に発表の第111回薬剤師国家試験の結果では、私立薬科大・学部の新卒合格率は平均85.86%だった。ただ、一部の私立大は新卒合格率を高く見せるため、出願者の中から合格の見込みの高い生徒に受験者を絞り込む傾向があるとされる。そのため、じほうが新卒の「受験者数」ではなく「出願者数」を母数とする「実質合格率」を集計したところ、平均は74.48%で、新卒合格率と11.38ポイントの開きがあった。中には50ポイント以上差が見られる大学もあった。
今回の国試では、私立大の新卒出願者数は8014人で、このうち受験したのは6952人。1062人は試験を受けなかった。
大学別に見ると、新卒合格率と実質合格率の差が最も大きかったのは城西国際大で、64人が出願したものの、受験したのは半数以下の27人で、合格者は24人だった。新卒合格率は88.89%と9割に近い一方、実質合格率は37.50%と4割を切り、差は51.39ポイントだった。
九州医療科学大と北海道医療大も差が40ポイントを超えた。九州医療科学大は、出願者数56人に対し受験者は30人で、新卒合格率(100.00%)と実質合格率(53.57%)の差は46.43ポイントだった。北海道医療大は、出願者136人に対し76人が受験し、新卒合格率(98.68%)と実質合格率(55.15%)の差は43.53ポイントだった。このほか、第一薬科大も約38ポイントの差があった。
― 差がゼロの大学も
東京理科大、青森大、日本薬科大、国際医療福祉大、横浜薬科大、姫路獨協大、国際医療福祉大福岡薬学部―の7校は、出願者全員が受験し、新卒合格率と実質合格率に差はなかった。
|2026年3月26日・PHARMACY NEWSBREAK|
かかりつけ同意、電子手帳はスクショ保管可――厚労省疑義解釈、紙媒体以外も認める
厚生労働省は31日に発出した2026年度診療報酬改定の疑義解釈資料(その2)で、同意書の作成からお薬手帳への書き込みに切り替える「かかりつけ薬剤師」の同意取得の運用について、薬局での保管を求めている「お薬手帳のコピー」は、スキャンデータなど紙媒体以外でも認めると示した。電子版お薬手帳の場合は、患者のスマートフォン画面のスクリーンショットを薬局に送信するなどとした。
今回の疑義解釈では「かかりつけ」を巡る質問と回答が複数あった。かかりつけ薬剤師について、お薬手帳のコピーを電子データで保管する場合は、サイバー攻撃への対策などを含め、セキュリティー全般の対応を求めている。
また、「かかりつけ」の記入について、「電子版お薬手帳上で、かかりつけ薬剤師の氏名などを容易に確認することが可能であれば、必ずしも『かかりつけ』の文字を記入できるようにするようなシステム改修は要さない」とした。
― 同意書があってもお薬手帳への記入「原則」
従来の同意書を作成していたとしても、お薬手帳への記入が「原則」となる。離職や患者の希望でかかりつけ薬剤師を変更する場合は、お薬手帳に上書きし、変更の旨と日付を薬剤服用歴に明記する。
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算に関する業務を行い、再度同一薬局で処方箋を応需した際、その患者のかかりつけ薬剤師が不在だった場合でも、同加算は「算定可能」。ただし、薬歴にかかりつけ薬剤師の氏名のほか、フォローアップ内容を記載する必要がある。
かかりつけ薬剤師訪問加算も、業務後にその患者の処方箋を応需した際に算定できる。フォローアップ加算と同様に、その患者のかかりつけ薬剤師が不在でも算定できる。
|2026年3月31日・PHARMACY NEWSBREAK|
残薬調整加算、プロトコルで事後報告も算定可――厚労省疑義解釈、有害事象防止加算は不可
厚生労働省が31日に発出した2026年度診療報酬改定の疑義解釈資料(その2)では、新設の調剤時残薬調整加算について、地域で策定された問い合わせの簡素化プロトコルに沿って減数調剤し、事後報告した場合でも算定できると明確化した。
7日分以上相当の調剤日数の変更の場合は算定可能。6日分以下でも、必要性を調剤報酬明細書に記載すれば算定できるが、プロトコルに策定されていることを理由にすることは「不可」とした。
また、新たに処方箋に設けられる「調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関に情報提供」の欄にチェックがあり減数調剤した場合も、調剤時残薬調整加算を算定できる。この際、処方元の医療機関に文書で情報提供した場合、服薬情報等提供料1も算定できる。
一方で、簡素化プロトコルに従って薬剤調整をした後に事後報告した場合、薬学的有害事象等防止加算は算定できない。理由は、「疑義照会に係る対応を評価するものであるため」としている。
|2026年3月31日・PHARMACY NEWSBREAK|
眼瞼下垂剤アップニーク、適応外使用を懸念――日本眼科学会
参天製薬の後天性眼瞼下垂治療剤「アップニークミニ点眼液0.1%」(一般名=オキシメタゾリン塩酸塩)の発売を前に、日本眼科学会が適正使用を求めている。本来の効能・効果ではなく、美容目的に使用される恐れがあるためだ。学会は、予期せぬ副作用が起きるのを懸念している。日本眼科学会の西田幸二理事長が日刊薬業の取材に応じた。
眼瞼下垂は、まぶたが下がってきて見にくくなる病態。アップニークは、上眼瞼にあるミュラー筋のαアドレナリン受容体に作用し、ミュラー筋を収縮させることで上眼瞼を挙上させる。コンタクトレンズなどの長期装用などが原因で起きる「後天性眼瞼下垂」を適応に持つ。用法・用量は成人に対し、1回1滴、1日1回点眼する。参天は2025年12月に製造販売承認を取得済み。ただし、薬価基準は未収載。同社は今春に保険適用外の医薬品として発売する予定だ。
― 美容目的で乱用の恐れ
これまで眼瞼下垂の治療は手術に限られていた。そのため西田理事長はアップニークに対し、「非侵襲的で可逆的な治療」と期待を寄せる。副作用も非常に少ないという。
だが、先行発売された海外では、本来の適応ではなく、美容目的で使われる様子がSNSなどに投稿されている。日本国内でも発売前から、美容クリニックの医師が期待を寄せている様子がインターネット上で散見される。西田理事長は、アップニークが美容目的などで乱用され、予期せぬ副作用につながるのを懸念している。例として、カラーコンタクトレンズを装用したまま点眼するなど、不適切な使用や保存管理により、目の感染症につながるリスクを挙げた。
日本眼科学会も1月13日付で、「後天性眼瞼下垂に対するoxymetazoline(0.1%)点眼療法に関する治療指針」をウェブサイトに掲載。同剤の実施医基準として、「日本眼科学会専門医または日本専門医機構眼科専門医の資格を有する」「同剤の使用にて点状角膜炎、結膜充血、ドライアイ、霧視、眼痛、頭痛を生ずる報告があるため、同剤の安全性・有効性を十分理解し、薬理学的、解剖学的知識を有し、副作用発生時の対処、対応が可能であること」を記載している。さらに留意事項では、「適応外の患者、および美容目的に使用しないこと」などと記した。西田理事長は、本来の適応症の患者を診断できる医師の診断の下で処方すべきだと指摘する。
― 自由診療は最適使用GLのグレーゾーン
厚生労働省はまだ規制を講じていない。投与する医療機関や医師を規制する手段としては「最適使用推進ガイドライン(GL)」があるが、これは本来、薬剤がむやみに使われて保険医療費が増えるのを抑える手段として作られたルールだ。アップニークは保険適用外のため、保険医療費を圧迫しない。また保険適用外の医薬品が同GLの対象になるかどうかは、現時点では「グレーゾーン」だ。
適応外使用で副作用が起きたり、美容目的の使用量が増えて本来必要な患者に医薬品が届かなくなったりすれば、厚労省も安全対策や安定供給面で規制対応を迫られる。だが、まだ発売前のため、問題は起きていない。そのため厚労省も静観している状況だ。
製造販売承認を持つ参天は、眼科医療機関に情報提供する予定。適応外使用が起きた場合には、納品先に対して適正使用を求めていく方針だ。また医療関係者向けサイト「Santen Medical Channel」に専用コンテンツも公開する予定。ただし発売前のため、詳細は明らかにしていない。
|2026年3月26日・日刊薬業|