2026.05.01

薬剤師・医療ニュース from じほう[2026年5月上旬]

薬剤師採用にAI、「導入・検討」は8社中6社――アインは「面接官」で運用、事務作業での活用も

 主要薬局・ドラッグストアチェーン8社を対象に、じほうがアンケートを通じて薬剤師の採用状況を調べたところ、採用活動へAIを導入するか、導入を検討していると答えた企業は6社あった。アインホールディングス(HD)は既に「AI面接官」を実際の面接で運用。このほか関連するバックオフィス業務の効率化につなげる活用が進むなど、薬局・ドラッグストア業界の採用現場でもAIが浸透してきている実態が浮き彫りとなった。
 採用活動でAIを導入するか、導入を検討していると回答したのはアインHD、日本調剤、スギHD、ツルハHD、クオールHD、マツキヨココカラ&カンパニーの6社。このうちアインHDは、AI面接官を面接で活用。AI面接の受験者からは「(面接)内容のフィードバックを得られることが好評」といった声が上がっており、導入を肯定的に評価している。
 スギHDは、現時点では合否を直接判定する形ではAI面接官の導入は見送っていると説明。ただ、将来の導入を見据えた準備は進めている。狙いとしては、面接官のスキル向上やAIエージェントによる迅速な情報提供など「選考の質と利便性の向上」を挙げた。
 日本調剤は、AI面接官は導入していないものの、バックオフィスでの採用業務の効率化の観点からAI導入を進めていると回答した。AI導入で浮いた時間を活用することで、薬学生らと接する「対人業務に注力できる」のが理由。社員が担っている業務を下支えする形でのAIの活用が有効としている。


― 新卒採用数の絞り込みには至らず


 海外や他業界では、全社的にAI活用を進めることで新卒採用数自体を絞り込む企業も一部で出てきているが、今回回答した8社ではこうした動きは限定的だった。マツキヨココカラは、各店舗でAI活用によって効率化した時間は対人業務に振り分けて患者満足度の向上につなげる方向と説明。「かかりつけ薬局の役割を果たすため、社員数に与える影響は少ない」と判断している。
 日本調剤も、AI導入による効率化は検討しているものの、「それによる人員削減は現在検証中」の段階にあると答えている。

|2026年4月28日・PHARMACY NEWSBREAK

用量引き上げ評価、トラネキサム酸が第1弾――要指導・一般用薬部会、来月15日に結果報告

 厚生労働省は、薬事審議会要指導・一般用医薬品部会を5月15日に開き、トラネキサム酸を有効成分として含有する既承認の一般用薬の用量引き上げについて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による評価結果を報告する。厚労省が今月21日付で通知した、既承認の一般用薬の有効成分を医療用医薬品の分量および用法・用量まで引き上げる薬事手続きの第1弾となる。
 引き上げの対象となる有効成分は、▽一般用薬の経口固形剤として既に承認されている▽その分量および用法・用量が、対応する医療用薬よりも低く設定されている―の双方を満たすもの。
 業界団体からの提出資料などに基づき、PMDAが引き上げの可否を評価する。通知では、PMDAの評価の結果「可」とされた有効成分は、順次部会に報告することとしている。報告された有効成分は、厚労省ホームページでも公表される。


― コルペルミンの再審査結果も報告


 部会では、第1類医薬品の過敏性腸症候群改善薬「コルペルミン」(有効成分名=セイヨウハッカ油)の再審査結果の報告も予定されている。このほか、いずれも要指導薬である、膣カンジダ治療薬「オキナゾールL600」(オキシコナゾール硝酸塩)と、ロキソプロフェンナトリウム水和物を含む風邪薬「コルゲンコーワLX錠」の製造販売後調査なども、議題に上がっている。

|2026年4月30日・PHARMACY NEWSBREAK

第二部会、ジャスケイドなど承認了承――モデルナの新規コロナワクチンも

 厚生労働省は27日に薬事審議会医薬品第二部会を開催し、日本ベーリンガーインゲルハイムの経口ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)優先的阻害薬「ジャスケイド」や、モデルナ・ジャパンの新型コロナウイルスワクチン「エムネクスパイク」などの承認を了承した。2剤はいずれも新有効成分含有医薬品。
 ジャスケイドの効能・効果は「特発性肺線維症(IPF)」と「進行性肺線維症(PPF)」。承認条件として、医薬品リスク管理計画の策定・実施が付けられた。今年3月時点で、米国と中国がIPFとPPFの効能で同剤を承認している。国内でIPFの適応症は、すでに塩野義製薬の「ピレスパ」と、日本ベーリンガーの「オフェブ」が取っている。オフェブはPPFとは名称が異なるが、同じ病態の疾患に対する適応も持っている。
 エムネクスパイクの効能・効果は「SARS-CoV-2による感染症の予防」。既存の「スパイクバックス」はスパイクタンパク質全長体をコードするが、エムネクスパイクは受容体結合部位(RBD)とN-末端部位(NTD)をコードする。基本的には冷凍保存だが、一定期間、冷蔵保存が可能になる。保存に関する詳細は添付文書に記載するという。


― 3品目の効能追加も了承


 審議品目として、3品目の効能追加などを了承した。ブリストル マイヤーズ スクイブのTYK2阻害剤「ソーティクツ」には、「既存治療で効果不十分な乾癬性関節炎」を追加する。アストラゼネカの重症喘息治療剤「ファセンラ」には、「好酸球増多症候群」の効能・効果と用法・用量を追加する。
 中外製薬のALK阻害剤「アレセンサ」は、「ALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん」の効能・効果と用法・用量の追加を了承した。
 報告品目は2つ。グラクソ・スミスクラインのRSウイルスワクチン「アレックスビー」は、重症化リスクが高い18歳以上の成人も接種対象者になる予定。国内のRSウイルスワクチンには、ファイザーの「アブリスボ」や、モデルナの「エムレスビア」があるが、アブリスボの対象者は妊婦や60歳以上、エムレスビアも60歳以上であり、重症化リスクの高い18歳以上の成人も対象となるのはアレックスビーが初めてとなる見込みだ。
 サノフィの抗がん剤「マブキャンパス」は、「T細胞性前リンパ球性白血病」の効能追加となる。同剤は25年9月に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が了承されていた。
 このほかに希少疾病用医薬品の指定7件についても了承した。

|2026年4月27日・日刊薬業

ゼップバウンドの効追を了承――医薬品第一部会

 厚生労働省が24日に開催した薬事審議会医薬品第一部会で、日本イーライリリーのGIP/GLP-1受容体作動薬「ゼップバウンド」について、「中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群」の効能追加と用量追加の承認が了承された。ただし「BMIが27kg/平方メートル以上に該当する場合に限る」という制限も付く。同日の承認に関する審議品目はこの1品目で、報告品目はなかった。
 ゼップバウンドは現在、「肥満症」の効能・効果で承認を取得している。添付文書の効能・効果のただし書きでは、適応患者に関する条件として「高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有する」ことを示している。今回の第一部会では、この「2型糖尿病」の部分の記載を「耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)」に変更することについても了承した。

|2026年4月24日・日刊薬業

量から質へ、将来的に後発品再編を促進――地域フォーミュラリ浸透で、学会・今井理事長

 2026年度診療・調剤報酬改定や「医療費適正化に関する施策についての基本的な方針(医療費適正化基本方針)」の一部改正などによって、26年度以降、地域フォーミュラリのさらなる普及・浸透が想定される。日本フォーミュラリ学会の今井博久理事長は日刊薬業の取材に対し、地域フォーミュラリ自体が「まだ黎明期」であることを強調した上で、「将来的には、(地域フォーミュラリが一つの要因となって)後発医薬品業界の再編や生産体制の効率化を進めていくことになるだろう」との見解を示した。
 26年度改定で新設された「地域支援・医薬品供給対応体制加算」では、施設要件として「平時から地域の保険医療機関・保険薬局・医療関係団体と連携し、取り扱う医薬品の品目について情報共有や事前の合意などに取り組むこと」を推奨。実質的に地域フォーミュラリを任意の要件とした。3月末には、医療費適正化基本方針も一部を改正。都道府県において地域フォーミュラリの策定に向けて検討する場が設けられるよう、医療関係者との合意形成促進や会議運営、好事例の展開、理解促進などを進めることが盛り込まれた。
 同学会によると、2月時点で国内約60地区で地域フォーミュラリが展開されている(準備段階を含む)。今井氏は、各種政策によって「大きなうねりが起き、転換期を迎えている」と感じる一方、現在はまだ「地域フォーミュラリについて、広く分かってもらおうとしている段階だ」と説明。まず全国の医師会や薬剤師会、自治体関係者に広く意義や定義を理解してもらうことが重要との考えを示した。
 ただ、浸透には「30年も40年もかけている場合ではない。急がなければいけない」と語り、人口減少社会における医療資源の適正な配分のため、10年程度を目安に一定の浸透を目指していく必要があると訴えた。
 地域フォーミュラリの導入が進むと、品目数や企業数にも影響するとみられる。今井氏によると、銘柄の推奨を行っているケースはまだ多くないが、先行して地域フォーミュラリを導入した山形県酒田市や大阪府八尾市の事例では、銘柄の推奨を行っているという。推奨銘柄の選定に当たっては▽原薬の複数ソース化▽原薬製造所の査察状況▽製剤の製造場所▽物流センター数▽有効期限―など品質や安定供給に関する取り組みを指標としている。
 そうした事例の実績・データが蓄積し、「横展開」などによって地域フォーミュラリが成熟していけば、銘柄推奨の取り組みも「増えていくだろう」と予測。後発品メーカーの企業指標が、地域フォーミュラリ作成に影響を与えるケースも「将来的には増えると思う」と見通した。
 こうした動きに連動する形で、後発品業界の製造や品目の集約、生産効率化の取り組みも進んでいくことになると指摘。「量的拡大から質を追求する時代になってくる。ある意味でバブル体質だったところをスリムな筋肉質にして、少量多品目製造の体制を変えていかなくてはいけなくなる」と語った。


― 供給不安の障壁「逆に前向きに捉えて」


 地域フォーミュラリの浸透に当たっては、長年続く供給不安や海外の政情不安など、障壁になりそうな要素もある。ただ、今井氏は「逆に『フォーミュラリで安定供給できる状況にしていこう』と前向きに捉えてほしい」と呼びかけた。品目数の適正化促進など、「効率的にやっていこうという意識を国全体で持つことが必要」と主張した。

|2026年4月24日・日刊薬業

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