2026.06.02

薬剤師・医療ニュース from じほう[2026年6月上旬]

OTC類似薬に「特別の料金」導入へ――医療保険関連法が成立、来年3月施行予定

 OTC類似薬の一部保険外療養制度の創設を盛り込んだ健康保険法改正案を含む医療保険制度改革関連法案が29日、参院本会議で与野党の賛成多数で可決され、成立した。近く公布される。同制度は「公布後1年以内」の施行を予定しており、具体的には2027年3月を想定。新たに患者負担となる「特別の料金」はOTC類似薬の「薬剤費の4分の1」、対象となる医薬品の範囲は「77成分(約1100品目)」とする方向で、いずれも今後、告示で定める方針だ。
 参院本会議での採決では、立憲民主や公明、共産などが反対に回ったが、自民、日本維新の会、国民民主、参政党などの賛成多数で可決された。
 同法案には、OTC類似薬への保険給付の見直しのほか、後期高齢者医療の窓口負担割合・保険料への金融所得の反映、標準的な出産費用の無償化などが含まれている。

|2026年5月29日・PHARMACY NEWSBREAK

在薬総加算2の100点、施設患者でも算定可に――改定直前に大幅緩和、在宅薬局への打撃軽減

 2026年度調剤報酬改定で個人在宅への評価を手厚くする在宅薬学総合体制加算2について、厚生労働省は29日、末期がんなど重症度の高い患者に対しては、施設在宅でも個人在宅向けの同加算2のイ(100点)を算定できるよう見直す方針を示した。同加算2の施設基準を満たせない同加算1の届け出薬局でも、一定要件を満たせば100点を算定できるようにする。6月1日からの改定施行を目前に、対象患者や施設基準の大幅な緩和に踏み切る。
 29日に発出した事務連絡「令和8年度診療報酬改定関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について」で、留意事項通知を訂正した。
 在薬総加算2の施設基準は、同加算1の施設基準に加え、直近1年間で「240回以上かつ2割以上」もしくは「480回以上かつ1割以上」の個人在宅(在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料など含む)の実績を満たすことが求められる。今回の訂正で、この施設基準を満たせず、同加算2を届け出ない薬局でも「480回以上」の個人在宅などの実績を満たせば、個人在宅の評価として新設された同加算2のイ(100点)を算定できるようにした。
 算定対象は、▽末期の悪性腫瘍▽スモン▽指定難病―などに罹患したり、▽在宅自己連続携行式腹膜灌流(CAPD)▽在宅血液透析▽在宅酸素療法―などをしたりしている患者ら。要介護3以上や介護が必要な認知症患者らも対象になる。医科の在宅時医学総合管理料などの対象患者にならった格好だ。
 算定する場合は、調剤報酬明細書の摘要欄に、在薬総加算2を届け出ているか、個人在宅など「480回以上」の実績があることを記載する必要がある。また、算定患者の状態も記載が求められている。


― 在薬総加算・調剤管理料の見直しで「逆風」


 26年度改定では、現在、施設在宅で在薬総加算2(施設50点)を算定している薬局が新たな同加算2の施設基準を満たせなかった場合、加算1(30点)を算定せざるを得なくなる。
 加えて、長期処方(28日分以上、60点)とそれ以外(27日分以下、10点)の2区分に再編する調剤管理料の見直しも、2週間処方が多い在宅薬局にとっては大きな打撃になる。在宅医療に積極的に取り組む薬局にとっては「逆風」となるが、今回の訂正により、影響は一定程度緩和されることになる。

|2026年5月29日・PHARMACY NEWSBREAK

ユベラNのスイッチ化、関係医学会が反対――効能・効果「高齢者のしびれ」に懸念

 厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は22日、ビタミンE製剤のトコフェロールニコチン酸エステル(製品名「ユベラN」)など計3成分のスイッチOTC化について議論した。高血圧症や脂質異常症などが適応疾患のユベラNについて、関係医学会・医会からは、スイッチ化された際の効能・効果「高齢者のしびれ」に対する薬効・安全性などの評価が「臨床試験において検討されていない可能性がある」などの懸念が示された。
 ユベラNは、ビタミンEであるトコフェロールとニコチン酸を結合させた誘導体。スイッチ化した際の効能・効果は「高齢者のしびれ」とされた。スイッチOTC化の妥当性について、日本老年医学会と日本臨床内科医会はOTC化に反対の見解を示した。
 このうち日本老年医学会は、適正使用の観点から、ユベラNが高血圧症や脂質異常症、閉塞性動脈硬化症による末梢循環障害を適応疾患としており「そもそも高齢者へのしびれに対する薬効・安全性などの評価が臨床試験において検討されていない可能性がある」とした。
 また、日本臨床内科医会は、ユベラNが血小板機能や血流動態に影響を及ぼすことから「抗凝固薬併用時には出血傾向の増強など臨床的配慮が必要であり、医師による管理下での使用が望ましい」と主張。また、今回想定されている「高齢者のしびれ」は「極めて非特異的症状」であり、閉塞性動脈硬化症や冠動脈疾患など重篤疾患の初発症状の可能性があると指摘した。


― OTC薬協は賛成「適正使用は十分可能」


 一方、日本OTC医薬品協会は、ユベラNは約60年の使用経験があり、ビタミンEとニコチン酸は「それぞれ単独または配合薬として既にOTCに使用されており、食品としても使用可能な成分」だと強調。添付文書やチェックシート、情報提供資料の活用で「適正使用は十分可能と考えられる」としてOTC化に賛成した。
 ただ、今回要望された効能・効果の「高齢者のしびれ」は、表現が広く曖昧だとして、「原因に応じた適切な薬剤が選択されるよう、効能表現を工夫すべき」とも指摘した。
 各関係団体からの見解を受け、構成員からは反対と賛成、双方の意見が複数上がった。富永孝治構成員(日本薬剤師会常務理事)は、「治療歴や服用歴の連続性の中で使用される薬剤で、初手で薬剤師が判断する薬ではないのではないかと思っている」と述べた。
 ユベラNについては、この日挙がった課題点などを取りまとめ、パブリックコメントや2回目の議論は実施しないことを決めた。

|2026年5月22日・PHARMACY NEWSBREAK

国内初のMASH治療薬、承認了承――第一部会、ノボのウゴービ皮下注

 厚生労働省は29日の薬事審議会医薬品第一部会で、国内初のMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)治療薬として、ノボ ノルディスク ファーマのGLP-1受容体作動薬「ウゴービ皮下注」の効能追加を了承した。効能・効果には「肝硬変を伴わないMASH、ただし中等度または高度の線維化を有する場合に限る」というしばりが付く。最適使用推進ガイドラインで、原則BMI23以上の患者という制限を設けることも決めた。海外では今年1月時点で、米国がMASHの治療薬として迅速承認している。


― 新有効成分3品目の承認了承


 今回の新有効成分含有医薬品は3品目。バイオジェン・ジャパンの「ブメリティカプセル」と、参天製薬の緑内障・高眼圧症治療剤「ロープレッサ点眼液」、サノフィの「ウェイリズ錠」で、いずれも承認を了承した。ブメリティの効能・効果は「再発寛解型多発性硬化症の再発予防および身体的障害の進行抑制」。同剤は多発性硬化症の治療薬として、3月時点で欧米を含む40以上の国と地域で承認されている。
 ロープレッサの効能・効果は「緑内障、高眼圧症で、他の緑内障治療薬が効果不十分または使用できない場合」。2月時点で、欧州など42の国と地域で承認されている。ウェイリズの効能・効果は「持続性および慢性免疫性血小板減少症」。
 中外製薬の血管新生阻害剤「アバスチン点滴静注用」は、「神経線維腫症2型」の効能追加。昨年7月時点で、この効能を承認している国・地域はないが、欧米では診療ガイドラインで使用が推奨されている。武田薬品工業の免疫グロブリン製剤「グロベニン-I」と「献血グロベニン-I」は、「自己免疫性脳炎」の効能追加を了承された。オルガノンの「マルシロン配合錠」は、「月経困難症」に対する新医療用配合剤。海外では経口避妊薬「マーシロン」として販売中。
 ノボの長時間作用型ヒト成長ホルモンアナログ製剤「ソグルーヤ皮下注」は、「骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症」と「骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長」を効能追加する。レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパンの「ジャクスタピッドカプセル」の効能・効果は、「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」。現在、18歳以上に対する用量を設定しているが、2歳以上でも使用できるようにする。2mgの小児剤形も追加する。サノフィの「サデルガカプセル」の効能・効果は、「ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫および骨症状)の改善」。既承認の100mgのほか、25mgを剤形追加する。また2規格に小児用量を追加する。
 これ以外の審議事項で、アッヴィのBCMA/CD3二重特異性抗体「エテンタミグ」を先駆的医薬品に指定することを了承した。予定している効能・効果は「再発または難治性の全身性ALアミロイドーシス」。さらに希少疾病用医薬品として8件の指定を了承した。
 報告事項では、武田薬品の注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療薬「ビバンセカプセル」の承認条件の解除を報告した。乱用の恐れから、他のADHD治療薬が効果不十分な場合だけ使用する制限が付いていた。
 また承認事項に関する報告が4件、医薬品の再審査結果の報告が6件あり、いずれも了承された。

|2026年5月29日・日刊薬業

予防接種法の改正案を了承――自民部会、ベイフォータス定期化を念頭に

 自民党の厚生労働部会(鬼木誠部会長)は26日、政府の「予防接種法の一部を改正する法律案」を法案審議し、了承した。改正の目的は、ワクチンと同程度に疾病予防の有効性が確認できた医薬品を同法に基づく予防接種で使えるようにすること。サノフィのRSウイルス感染症予防薬「ベイフォータス」(一般名=ニルセビマブ)の定期接種化が念頭にある。与党審査が順調に進めば、厚労省は6月前半にも法案を国会に提出する構え。
 現行法では、予防接種について「疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを、人体に注射し、または接種すること」と記している。このため現在は、ワクチン以外の医薬品を同法上の予防接種に用いることはできない。
 厚労省は4月からRSウイルスの定期接種を開始。現在は2024年に承認したファイザーのRSウイルス母子免疫ワクチン「アブリスボ」を定期接種に使っている。他方、同年に承認されたベイフォータスは、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制や予防を効能・効果としているものの、抗体製剤であるため、定期接種に使えない。
 この状況を踏まえ、厚労省の予防接種基本方針部会は4月に「ワクチンに準じた公衆衛生学的な性質を持った抗体製剤に限り、予防接種法上の予防接種の対象に含めることができるようにすることが妥当」という提言をまとめた。
 厚労省の資料によると、改正後は、審議会で既に薬事承認を得ているRSウイルス感染症に対する抗体製剤の定期接種化を議論できるようになる。審議会で定期化が認められた場合、政省令の必要な改正を行うことで、抗体製剤を予防接種に使えるようになる。

|2026年5月26日・日刊薬業

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