2026.07.02

薬剤師・医療ニュース from じほう[2026年7月上旬]

岡崎で地域フォーミュラリ、一挙12薬効群――調印式で運用開始を宣言へ、市長も出席

 愛知県の岡崎地域(岡崎市・幸田町)で地域フォーミュラリの運用が始まる。岡崎薬剤師会が呼びかけ、地域の三師会と基幹病院が委員会を組織して協議。導入時は、生活習慣病治療薬を軸にしながらも、より多くの診療科の医師に関心を持ってもらうため、12の薬効群を対象とする。行政との連携も意識し、7月2日に市長を招いた調印式を開催し、運用開始を宣言する。
 同地域での地域フォーミュラリ導入は、岡崎薬の高村俊史会長の提案で、2023年から検討を開始した。対象とする薬効群は、当時、地域の基幹病院である岡崎市民病院が院内フォーミュラリの策定に着手していたことから、その中からアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)やジヒドロピリジン系Ca拮抗薬など12の薬効群を選んだ。2024年に薬剤師会員に対し12薬効群の使用量調査を実施し、その結果も踏まえて原案を作成。三師会からの意見募集を経て、最終的に推奨薬を確定させた。
 全国各地の地域フォーミュラリ導入事例では、開始時には対象薬効群を絞り、運用状況を踏まえながら徐々に拡大するケースが見られる。こうした中、12薬効群で開始した理由について、岡崎市医師会副会長で、地域フォーミュラリ委員会委員長の小出信澄氏は、「内科だけではなく、耳鼻科や皮膚科、小児科など、いろいろな診療科の先生方に地域フォーミュラリの取り組みを知っていただくという意味で、ある程度幅広くスタートするのは必要なことだ」と説明。徐々に薬効群を拡大する場合は、「また一から説明をしなくてはいけなくなる可能性もある」とし、「1科1薬効群でも、そういった経験をしておくのは必要だ」と述べた。
 こうした考え方から、医師会では12薬効群の地域フォーミュラリを1冊にまとめて製本し、全会員に配布する計画だ。
 調印式には、三師会と医療機関の代表が出席する。高村氏は「各団体の長が顔を合わせてスタートを確認し、一体感を生み出したかった」と企画の意図を説明した。岡崎市民病院長の働きかけにより、岡崎市長の出席も決まったという。高村氏は、調印式が地域住民への情報発信のきっかけにもなるとみている。


― 薬剤師会の「熱意」が推進力に

 小出氏は、岡崎地域で地域フォーミュラリの導入が実現した背景には、薬剤師会の「熱意」があったと振り返る。医師会内では当初、フォーミュラリを認知している人は少なく、導入に強く難色を示す人もいたという。しかし、3回の説明会を開催し、繰り返し説明することで理解が広がり、導入に向けて意見がまとまってきた。同地域は巨大地震への備えとして防災意識が高く、地域フォーミュラリが防災に役立つ可能性があることも理解を後押しした。
 小出氏は「新しいプロジェクトを進めていく上で、熱意があるかは大きい」と強調。「やはり薬のことなので、薬剤師の先生の動きやアプローチがあれば、話は進みやすい」と述べた。

|2026年7月2日・PHARMACY NEWSBREAK

配薬カートNGで服薬カレンダーはOK――高齢者施設への利益提供、何が分かれ目?

 厚生労働省が、薬局から高齢者施設へのいわゆるキックバックを「経済上の利益の提供による患者誘引」と見なすと明確化した。配薬カート・調剤棚の提供や貸与が含まれる一方で、服薬カレンダーは、薬局薬剤師が必要と判断した場合は該当しないことも示され、同じ物品の提供・貸与でも判断が分かれた。厚労省は「患者個別に用意されているか」を重視したとみられる。
 厚労省は6月23日、高齢者施設を念頭に、事業者らに「経済上の利益」を提供し、患者を誘引することを禁止する薬担規則を明確化する事務連絡を発出。配薬カートや調剤棚など、高齢者施設に「備え付ける什器」は利益提供に当たると明示した。一方、服薬カレンダーや服薬ボックスなどは薬局薬剤師が「服薬管理指導業務の一環」と判断すれば利益提供には該当しないとした。
 厚労省は、配薬カートなどは、主に施設内で職員の業務効率化などを目的に「施設の備品」の一つとして扱われていると判断。同じ施設内でも、服薬カレンダーなどは、ある患者で必要がなくなった場合は別の患者に使うなど、薬局薬剤師が「患者個別」に必要性を判断しており、服薬管理指導業務の一環と見なせると線引きした。
 配薬カートのほか、施設職員による配薬を支援するシステムや入居者の見守りシステムなどの利用料を薬局が負担するのも「利益提供」に当たる。いずれも6月23日以降、新規の提供・貸与、利用料の継続的な負担は薬担規則に抵触する恐れがある。一方、6月23日時点でレンタル料や利用料を負担している場合は、経過措置として設けられた来年5月31日までに止める必要がある。

|2026年7月1日・PHARMACY NEWSBREAK

新薬66品目承認、ウゴービはMASHの効追――厚労省、AZのエトカマも

 厚生労働省は19日、5月下旬に薬事審議会医薬品第一部会と第二部会を通過した合計66品目を一斉に承認した。ノボ ノルディスク ファーマのGLP-1受容体作動薬「ウゴービ皮下注」の効能追加やアストラゼネカ(AZ)の選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)「エトカマ錠」などが含まれる。
 このうち審議品目は46品目。ウゴービは国内初のMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)治療薬として「肝硬変を伴わないMASH、ただし中等度または高度の線維化を有する場合に限る」の効能を追加で取得した。今年1月時点で、米国ではMASHの治療薬として迅速承認されている。
 エトカマの効能・効果は「内分泌療法中にESR1遺伝子変異が確認され疾患進行が認められないホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」。経口のSERDでは、日本イーライリリーの「イムルリオ」に続く、国内2番手となる。
 バイオジェン・ジャパンの「ブメリティカプセル」の効能・効果は「再発寛解型多発性硬化症の再発予防および身体的障害の進行抑制」。同一成分で、同社が発売済みの「テクフィデラ」を改良した製剤となる。参天製薬の緑内障・高眼圧症治療剤「ロープレッサ点眼液」は「緑内障、高眼圧症で、他の緑内障治療薬が効果不十分または使用できない場合」を効能・効果とする1日1回の点眼液。サノフィのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤「ウェイリズ錠」の効能・効果は「持続性および慢性免疫性血小板減少症」。世界初の共有結合型BTK阻害剤として、欧米で承認を取得済み。
 MSDの長期間作用型抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤「エヌフロンシア筋注シリンジ」の効能・効果は、「生後初回のRSウイルス感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児および乳児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制」と「生後初回のRSウイルス感染流行期で上記(1つ目の適応症)以外全ての新生児および乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防」。抗RSウイルス抗体では3番手となる。欧米などでは、すでに承認されている。
 ノバルティス ファーマのBTK阻害剤「ラプシド錠」は、「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を効能・効果とする。同適応症では、すでに皮下投与の生物学的製剤が治療選択肢として複数承認されているが、ラプシドは経口投与可能な新たな治療選択肢となる。
 スウェディッシュ・オーファン・バイオビトラム・ジャパン(Sobiジャパン)のIL-1受容体拮抗薬「キネレット皮下注」の効能・効果は、「全身型若年性特発性関節炎」と「成人発症スチル病」。欧州など30を超える国・地域で承認されている。サンファーマの「イソトレックスカプセル」の効能・効果は「大量化学療法後の神経芽腫」。今年2月時点で、この適応で承認されている国・地域はない。
 報告品目では、合計20品目が承認された。このうちAZの抗PD-L1抗体「イミフィンジ点滴静注」は、免疫療法薬として国内初となる「胃がんにおける術前・術後補助療法」の適応を追加で取得した。

|2026年6月19日・日刊薬業

診療報酬、経営状況に応じて「加減算」――骨太原案、27年度予算編成で反映へ

 政府は30日の経済財政諮問会議で、2027年度予算編成の前提となる「骨太の方針2026」の原案を示した。全世代型社会保障の構築の項目で診療報酬に触れ、経済・物価の動向が大きく変動し、医療機関・薬局の経営状況に支障が生じた場合は「27年度予算編成過程で診療報酬上の加減算を含むさらなる必要な調整を行う」と明記した。
 26年度改定では、26年度(プラス2.41%)と、27年度(プラス3.77%)で異なる本体の改定率を設定した。今回の骨太原案の記載は、昨年12月の財務相、厚生労働相の大臣折衝事項の表現をそのまま踏襲している。加減算の可能性がある対象は、▽賃上げ分▽物価対応分▽食費・光熱水費分―の3つで、調剤報酬では、調剤ベースアップ評価料(4点、27年6月以降は8点)と調剤物価対応料(1点、同2点)が該当する。
 薬局・薬剤師関係では、▽長期処方やリフィル処方箋の活用▽地域フォーミュラリの全国展開▽休薬・減薬などの効果的・効率的な治療の促進▽電子カルテ・電子処方箋の普及―なども並ぶ。セルフメディケーション推進の観点から、「さらなる医薬品・検査薬のスイッチOTC化に向けた実効的な方策の検討」も盛り込んでいる。


― OTC類似薬、対象拡大に向けた検討も

 このほか、OTC類似薬の保険給付の見直しの施行に加え、「その状況などを踏まえた27年度以降の対象範囲の拡大に向けた検討」も明記している。
 高市早苗首相が掲げる「攻めの予防医療」を巡っては、「健康増進、疾病予防、早期発見および早期介入に関係機関が連携して取り組む」とした。相談支援の入り口として薬局も関わる「プレコンセプションケア推進5か年計画」の工程表の策定と実行も盛り込んでいる。

|2026年6月30日・PHARMACY NEWSBREAK

OTC遠隔販売、受渡店舗の陳列や広告に制限――厚労省、同一都道府県に限定

 厚生労働省は30日、改正医薬品医療機器等法の施行により2027年5月に解禁される「OTC医薬品の遠隔販売」に関する省令を公布した。薬剤師や登録販売者が常駐する店舗(管理店舗)の遠隔管理の下、医薬品の受け渡しを可能にするため、専門家不在で医薬品を置ける「登録受渡業」と、実際に医薬品を受け渡す「登録受渡店舗」を規定。登録受渡店舗で販売しているように誤認させるような陳列や広告は認めない。登録受渡店舗の数に制限はないが、エリアは同一都道府県内に限定する。
 管理店舗には「受渡管理者」の設置が必要。第1類医薬品の遠隔販売を行う場合は、原則として薬剤師を受渡管理者とする。薬剤師を充てられない場合は、一定の実務経験のある登録販売者でも可とするが、「受渡管理者を補佐する者」として薬剤師を置かなければならない。
 登録受渡店舗には、管理店舗と契約を結び「登録受渡店舗責任者」の配置と、手順書に基づいた業務実施を求める。受け渡しする医薬品を客が直接手を触れられない形で陳列し、この店舗で販売が行われているかのように誤認させないことが必要。販売していると誤認させるような広告も認めない。複数の薬局・店舗から受渡委託を受ける場合は、薬局・店舗ごとに医薬品を区分して陳列することが求められる。
 登録受渡店舗の面積はおおむね6.6平方メートル以上とする。受け渡しを機械のみの操作で行う場合には、常時、機械の動作不良に対処できる体制を求める。

|2026年6月30日・PHARMACY NEWSBREAK

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