2026.09.16

薬剤師・医療ニュース from じほう[2026年9月下旬]

アトピーのステロイド外用剤、通年使用は対象外――OTC類似薬の追加負担、医療保険部会で大筋了承

 厚生労働省は11日の社会保障審議会医療保険部会で、OTC類似薬の一部保険外療養制度について、アトピー性皮膚炎の再炎症予防のため、年間を通してステロイド外用剤を定期的に使用する「プロアクティブ療法」の場合は、追加負担の対象外とする案を提示した。委員から大きな異論はなく、月内にも行う最終取りまとめに反映される見通しだ。
 追加負担の対象となるOTC類似薬は77成分(1042品目)で、ステロイド外用剤も含まれる。一方、患者団体などからは、アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインではプロアクティブ療法が推奨されているため、追加負担の対象から外すよう要望が上がっていた。
 こうした意見を踏まえて厚労省は、「プロアクティブ療法として通年にわたり定期的にステロイド外用剤を使用する場合」を追加負担の対象外とする案を提示。ステロイド外用薬のランク(強さ)を変更した場合も、プロアクティブ療法の一環であれば対象外とする方向を示した。プロアクティブ療法を中止した場合や、症状が出現した場合にのみ使用する「リアクティブ療法」の場合は、追加負担の対象となる。


― 長期使用歴、“網羅的”確認は求めず

 この日の部会では、追加負担の対象外とする「長期使用が医療上必要な場合」の基準と確認方法も議題となった。
 「長期使用」の基準としては、「年間処方日数がおおむね50週を超える場合」を目安としつつ、「少なくとも6カ月程度の使用実績」が確認でき、医師がその後も通年使用が必要と判断する場合は追加負担の対象とする方向で議論が進んできた。一方、医療関係者からは、現場の確認業務の煩雑化を懸念する声が上がっている。
 これを受けて厚労省は、医師に過去の処方歴を「網羅的に確認することを求めるものではない」とする方針を提示。お薬手帳やオンライン資格確認などで「診療時に患者から把握可能な情報を活用して、過去の診療経過や処方歴を確認することで足りる」運用にする。
 城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、厚労省が示した長期使用の基準と確認方法は「画一的なものではなく、現場に即したものになっている」と受け入れる考えを示した。渡邊大記委員(日本薬剤師会副会長)も賛同しつつ、現場の負担軽減に向けたさらなる取り組みを求めた。

|2026年9月11日・PHARMACY NEWSBREAK

経口PCSK9阻害剤、国内で承認申請――MSDのエンリシチド

 MSDは14日、プロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤エンリシチド(一般名)について、高コレステロール血症および家族性高コレステロール血症の治療薬として承認申請を行ったと発表した。同剤は1日1回経口投与の錠剤。MSDは同剤の予定適応症について、「今後、当局との協議を経て決定される」としている。
 低比重リポタンパク質(LDL)受容体は、動脈硬化を促進するLDLに結合し、細胞内に取り込むタンパク質。LDL受容体が多く働くほど、血中LDL-C値は下がりやすくなる。エンリシチドは、MSDが開発中の大環状ペプチドの経口PCSK9阻害剤。同剤はLDL受容体の分解を促進するタンパク質のPCSK9に結合し、PCSK9とLDL受容体の相互作用を阻害することで、LDLコレステロール(LDL-C)の取り込みを促進し、血中コレステロールを低下させる。現在、日本で使用されているPCSK9阻害剤には強力なLDL-C低下作用があるが、いずれも注射剤。
 エンリシチドは2026年7月、家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)を含む高コレステロール血症の成人患者におけるLDL-Cを低下させる、食事療法および運動療法の補助療法として、米FDA(食品医薬品局)の承認を取得している。米メルクは同剤を、今後の成長を支える主力品の一つとして位置付けている。

|2026年9月14日・日刊薬業

【中医協】OTC類似薬、処方箋に専用欄――長期品選定療養との二重負担は回避

 厚生労働省は9日の中医協総会で、OTC類似薬の薬剤費の一部を患者が追加負担する「一部保険外療養」の導入に向け、処方箋様式の見直し案を示した。また長期収載品の選定療養の対象であり、かつOTC類似薬の一部保険外療養に該当する場合には、長期収載品の選定療養を免除することも示した。
 一部保険外療養は、薬剤費の4分の1を「別途の負担」として患者が負担する仕組み。残りの4分の3には保険適用する。2027年3月に施行予定の同制度では、処方箋に「一部保険外療養」の欄を新設する。対象の医薬品を処方する際、別途負担が発生する場合には「○」を、対象外なら「―」を医師が記載し、薬局で判別できるようにする。
 一部保険外療養は、77成分・1042品目の医薬品が対象になる。鎮痛・抗炎症・解熱剤「ロキソニン」のように長期収載品の選定療養でも対象になっており、かつ新設するOTC類似薬の一部保険外療養でも対象になる場合には、長期収載品の選定療養を免除し、患者負担増の重複を避ける。
 別途負担額については、各薬剤の価格の4分の1に投薬全量を乗じて算出する具体的な計算方法を示した。紙カルテを使う医療機関向けに、対象薬や別途負担の対象外となる患者・療養を簡易に確認できるチェックシートを厚労省が作成する。全国共通のQ&Aや、具体例、処方箋・レセプトの記載方法、患者説明用資料も順次公表する。


― 早期に国が周知を

 渡邊大記委員(日本薬剤師会副会長)は、患者が別途負担を支払うのは薬局の窓口だとして、患者への説明に伴う負担などに配慮するよう要請。24年10月に長期収載品の選定療養を導入した際には、「半年以上前から患者に説明していた」とし、国による制度の周知・広報を早く行うよう求めた。厚労省は「薬局で混乱を起こさないことが重要」とし、十分な準備期間を設ける考えを示した。
 総会では、一部保険外療養の創設に伴う療養担当規則などの見直しについて、厚生労働相が中医協に諮問した。処方箋様式の改正や、薬剤費の4分の1を「別途の負担」とすることなど、制度の根幹に関わる省令と告示が諮問の対象になる。この議論を踏まえ、中医協は9月中に答申する予定。負担対象となる療養や患者の具体的な範囲は諮問の対象外とし、社会保障審議会の医療保険部会や中医協の議論を踏まえて決定した後、通知などで示す。

|2026年9月9日・日刊薬業

医薬品コードの公的DB、28年度めどに公開へ――電子処方箋の普及・利活用向け

 厚生労働省ヘルスケアAX・DX推進本部が9日に決定した「医療情報化推進方針」。薬局関連では、マイナ保険証や電子処方箋の普及・利活用に向けた施策が盛り込まれた。このうち、電子処方箋に関して、医療機関・薬局のシステム担当者らの負担軽減のため、医薬品コードの整備を進め、2028年度をめどに医療用医薬品の流通分野のキーコード(GS1コード)とYJコードを含む公的なデータベースを公開するとした。
 電子処方箋を巡っては、安全な医療を提供できるよう「医療現場における電子処方箋システムの重複投薬等チェックを用いた処方・調剤の実施の運用を基本」とする。併せて、電子処方箋システムを導入した医療機関・薬局における利活用状況や効果などの調査・分析も行う。
 このうち、電子処方箋システムを安全に運用できる仕組み・環境の構築に向けては、システムベンダーや医療機関・薬局のシステム担当者の負担軽減のため、医薬品コードの整備を進め、新薬などへのコードの早期付番を行うことを掲げた。その上で、28年度をめどに公的なデータベースを公開し、維持管理する。
 一方、マイナ保険証の円滑な利用に向けては、オンライン資格確認を導入した医療機関・薬局のほぼ全てでスマートフォンでのマイナ保険証の利用が可能になることを目指す。その上で、コストや事務効率を踏まえ、医療機関・薬局、患者の双方にとってより負担の少ないマイナ保険証・オン資の利用環境の実現に向けて取り組むとした。


― トレレポ、電カルシステムで情報共有へ

 厚労省は26年度の冬をめどに、電子カルテ情報共有サービスの全国運用を開始する。医療機関と薬局間で共有されるトレーシングレポートなどについても、同サービスの基盤などを活用した仕組みで情報共有することを念頭に「30年をめどに仕組みを実装することを目指し検討を進める」ことを盛り込んだ。

|2026年9月9日・PHARMACY NEWSBREAK

退院時薬剤情報管理指導料の算定7割に――倉敷中央病院、退院指示「前日出し」ルール化

 倉敷中央病院(1172床)は、入院期間の短い急性期病院でありながら、退院時薬剤情報管理指導料の算定割合が7割と高い水準で推移している。病棟ごとに退院時介入率などを可視化したほか、看護師や会計を担う事務職員ら他職種と共に要望し、医師が退院指示を前日までに出すことを病院全体の方針としたことが実を結んだ。病棟薬剤業務実施加算1(300点)の要件クリアにもつながり、薬剤部は病院経営にも貢献している。
 2026年度診療報酬改定で見直された病棟薬剤業務実施加算の上位区分「1」は、従来(120点)を大きく上回る300点となった。一方、直近3カ月での薬剤総合評価調整加算の算定回数が10回以上、かつ退院患者に対する退院時薬剤情報管理指導料の算定割合が4割以上という要件は、急性期の大病院にとってハードルが高いとの声も上がっている。
 同院薬剤本部の亀井健人副本部長は、今回見直された病棟薬加算1について、同院にとってはこれまで通りの業務展開で問題なくクリアできる水準だったと説明。「ここまで当院で行ってきた仕組みづくりで成果が出たことが、今回の改定にうまくはまった」と振り返る。
 同院薬剤本部では18年ごろから、持参薬鑑別、処方提案数、退院時介入率など、いわゆる「病棟薬剤師業務」の個人実績を全て数値化する取り組みを行っている。病棟ごとの実績も可視化することで、改善を促してきた。一方、退院時薬剤情報管理指導料の算定割合については、平均すると50%台程度で、個人の努力のみでは限界が見られ、病棟によって伸び悩みも見られた。
 そこで着目したのが、医師からの退院指示のタイミングだ。医師からの退院指示が直前に出されると、退院時処方の調剤で精いっぱいとなり、薬剤師が訪室する時間が取れないためだ。しかし、薬剤師だけで医師に退院指示の前倒しを依頼することはハードルが高い。このため看護師らと共に医師に対して退院指示のタイミングを早めるよう要望。また、経営陣に対して、前日までに退院指示を出すことを基本にすれば、「午前退院、午後入院」がスムーズに回り、病床利用率の向上につながると進言した。
 経営陣は理解を示し、同院の医師全員に対し、「前日までの退院指示出し」の必要性を周知した。この結果、直前の退院指示は減少し、退院時薬剤情報管理指導料の算定割合は21年ごろから継続して7割近くを維持している。
 病棟薬剤室の西江美智子室長は、「おおよその退院予定を把握した上で一日の業務が組み立てられるようになり、効率的なスケジュール管理ができるようになった」と話す。
 亀井氏は同院独自の仕組みで実績を上げられた背景について、「患者さんの在院日数にかかわらず、入院時の持参薬鑑別、そして退院処方の説明といった『入り口』と『出口』を押さえることが病棟薬剤業務の要であることを共通認識にできていた」と強調。単純に数値達成を目標にすれば「ノルマ」と化してしまうとし、「数値の裏にある『自分たちが達成すべきこと』を設定することが大事」だと述べた。

|2026年9月9日・PHARMACY NEWSBREAK

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