もしあなたが臨床研究を学んだら医療現場はもっとときめく

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もしあなたが臨床研究を学んだら医療現場はもっとときめく

商品コード 51506
編著 福原 俊一/監
福間 真悟、渡部 一宏/著
判型 A5判
発行日 2019年2月
ページ 280頁
定価 ¥3,960(税込)
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内容

いまならビート君の物語が始まるプロローグと第1話を試し読みできます!

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<第1章‐1>の試し読み

 

●臨床研究はじめの一歩を解説。失敗しない研究の始め方や落とし穴がわかる
●新人ビート君が初めての臨床研究に挑むストーリー仕立て
●臨床研究支援オンラインアプリと連動。あなたの研究も具体的な形にできる
●いろんなケーススタディや確認クイズで実践的に学べる
 
 臨床で疑問に思ったことを調べたけど、よくわからない、答えが見つからない…では自分で研究してみませんか? 医療者なら誰でも臨床研究ができます。ただし、正しい知識と方法を身につけることが肝心です。
本書は、医療現場で抱いた漠然とした疑問をリサーチ・クエスチョン(RQ)にして、そのRQを解決するための研究の進め方をマンガを交えてやさしく解説。初学者が押さえておきたいポイントや陥りがちな罠もよくわかります。臨床研究支援オンラインアプリ「QMentor」とも連動しているので、読者自身の疑問や研究テーマも具体的な形にできます。研究をしてみたいと思っている全ての医療者に役立つ1冊です。

 

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目次

プロローグ 疑問は医療現場に落ちている!
 第1章 医療現場の疑問をリサーチ・クエスチョンにする
1 医療現場の疑問を整理する
2 疑問を解決可能な形に構造化する
3 PECOの落とし穴
4 良いリサーチ・クエスチョンとは?
 
第2章 測定のデザインを学ぶ
1 測定のデザイン
2 測定結果の示し方
3 存在・発生・効果の指標①
4 存在・発生・効果の指標②
 
第3章 研究デザインの型と第3の因子
1 研究デザインの型
2 比較の質:第3の因子に気をつけよう

第4章 ここまでのおさらいをしよう
1 医療現場の疑問をリサーチ・クエスチョンにする(第1章の復習)
2 測定のデザイン(第2章の復習)
3 研究デザインの型と第3の因子(第3章の復習)
 
インターミッション 力だめしのケーススタディ
1 CQをRQにする
2 PE(I)COを立てる
3 抄録をブラッシュアップする
 
第5章 いざ、研究デザイン実践編!
1 あなたの疑問を構造化する
2 研究デザインの型を決めてRQをもむ
3 研究計画へのつっこみ(批判的吟味)
4 対象者の数を決める
5 比較の質を高める
6 バイアスの予防
7 解析方法を選ぶ
8 臨床研究に関する倫理的配慮
 
エピローグ 臨床研究の地図:7つのステップを総まとめ

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書評

 小西 竜太先生(前 関東労災病院救急総合診療科 部長)

 
本書を読み終わった後、ある研究者の顔を思い出しました。「私は論文発表する際には、研究に従事したすべてのメンバーの名前を入れています。なぜなら、それが仲間たちと一緒に頑張った証であり、読み返すたびに当時を思い出します」と彼が話したことを。
本書は、臨床研究の初学者が正しい研究計画を立てることを目標とした教科書です。と紹介すると、多くの類書にみられるような、単調で、退屈で、途中で脱落してしまうような本を想像するかもしれません。でもタイトルに「ときめく」と書くような作者ですから、読者を飽きさせない仕掛けを随所に埋め込んでいるのです!
ストーリー仕立て、各章数ページにわたる漫画、多彩なイラストや図、コラムやケーススタディが散りばめられ、読者は一気に最終ページまで到達します。私は漫画を見た瞬間、“安っぽい本”と第一印象をもってしまいましたが、読み進めると内容的な充実度・網羅性だけでなく、巧妙にデザインされた教育プロセスに圧倒されました。公衆衛生大学院で1年かけて学ぶエッセンスが見事に凝縮されているのです。
とはいえ、この種の本を読んでも、実際に行動するまでたどり着かないことはありませんか? ダイエットにせよ、筋トレ本にせよ、なかなか行動に移すのは難しいですよね。本書で特筆するべき点は、QMentor(キュー・メンター)というアプリが連動していて、自分のリサーチ・クエスチョンから構造化された研究計画が作成できるような仕掛けもあるのです!
最前線の医療現場で気づいた疑問や課題を解決する臨床研究は、患者だけではなく皆さんの同僚やスタッフにも新しい価値を与えるはずです。そんな現場全体が“ときめく”ような瞬間を味わいたいですね。そして医師を続けていくなかで、そんな経験が一生の思い出となり、糧となるのでしょう。
 
 
狭間 研至先生(ファルメディコ株式会社 代表取締役社長)
 
私が医師になったとき、先輩から「臨床・教育・研究」にバランスよく取り組めと教えられた。採血一つできずに右往左往している状態で、誰かに何かを教えるという教育はもとより、自分で何かを考え解決していく研究というテーマは、私にとって非常に縁遠いものだった。しかし、毎日の業務での症例報告や論文発表、大学院での研究を通じて、研究マインドを何とか身につけたが、このことが私の人生に大きな影響を与えたことは間違いない。
特に、2008年から薬剤師にはバイタルサインが必要と唱え、薬剤師の業務は薬をお渡しするまでではなく、飲んだ後までをフォローし医師にフィードバックすることが重要という概念にたどりついたのは、医師・薬局経営者としての毎日の生活のなかで感じる疑問を見逃さずに、大学院時代に学んだアカデミックマインドを活用できたおかげである。本書は、大学院で学ぶようなこういった考え方のコツやポイントを、現場経験もあり大学でも教鞭を執られている医師と薬剤師が、いま風に漫画を交えながら、知らず知らずのうちに学べるようにまとめられたものだ。今後、エビデンスの創出も求められるようになる薬剤師にとっては必携の一冊と言えよう。
そして特筆すべきは、そのキーワードに「ときめき」をあげているところである。片付けを「ときめき」と結びつけたかの女史は、いまや米国に拠点を移し、さらに多くの方のライフスタイルのみならず人生にまで大きな影響を与え始めている。「ときめき」とは、それほどの大きなパワーを秘めているし私も実感している。
毎日の業務や薬局薬剤師としてのあり方に限界を感じている方には、ぜひ手にとってご一読いただきたい。その小さなアクションが、あなた自身の心に小さな火をともす。そして、その火が、きっと、将来のあなたを形づくる大きなパワーの源になるはずだ。
 
 
奥田 真弘先生(大阪大学医学部附属病院 教授・薬剤部長)
 
薬剤師は臨床研究を実践することで、臨床で直面した問題を自ら解決する姿勢が求められる。
日常臨床において、薬剤師は無数の漠然とした疑問、すなわちクリニカル・クエスチョンに遭遇している。臨床研究を実践するには、クリニカル・クエスチョンを実現可能なリサーチ・クエスチョンに変換する必要があるが、しばしば必要な要素が抜けていたり、測定が困難であったりして、結論が得られなかったり、そもそも研究自体が実施できなかったりする。デザインなき臨床研究は、地図を持たずに旅に出るようなものなのである。
本書はお二人の著者と監修者である福原俊一先生が、臨床研究をテーマとして『月刊薬事』に連載執筆された記事をもとに書籍化されたものである。漫画とレクチャーを交えたスキット方式で進められ、新人薬剤師が日常臨床を通じて臨床研究リテラシーを高めるストーリー展開が、親しみのもてる内容となっている。
前半ではPECOやFIRM2NESSチェック、データ測定の考え方など臨床研究デザインの基本的要素が解説され、One More LectureやOne More Questionなどが挿入されることで説明が補足されている。
後半は実践的な内容となっており、具体的な研究計画の作成方法が事例に基づいて解説されている。本書は、通し読み、章単位での拾い読み、索引からの拾い読みなど、どの角度から読み始めても理解が進み、これから臨床研究を始めようとする初心者やこれまで臨床研究デザインについて学ぶ機会がなかった医療スタッフなど、幅広い層の読者が学べる内容になっている。
「ときめき」のある人生は充実して楽しい。本書を足がかりに臨床研究を始めた読者が、日常臨床を「ときめき」で満たしていただきたいと切に願うものである。
 
 
鈴木 雅雄先生(福島県立医科大学会津医療センター漢方医学講座 准教授)
 
これからはり師・きゅう師になる方も、すでにはり師・きゅう師の先生も、いま読むべきはこの書籍だと思います。
鍼灸の臨床現場は患者さんの多種多様な訴えを網羅的に扱っているため、さまざまな臨床上の疑問で日々悩んでいる先生も多くいると思います。「治療Aと治療Bはどちらを優先的に行ったほうがよいのか?」、「在宅往診では家族関係をどうしたらよいのか?」など。
これらの疑問は基礎研究では解決できず、唯一の解決方法が臨床研究になります。でも、「臨床研究はどうやったらいいの?」と不安を抱えている先生も多くいると思います。また、昨今では多職種で医療を展開していくチーム医療が主流になっていますが、臨床研究もチームで行う研究です。
本書は薬剤師(研究の素人)のビート君が、医療現場のさまざまな問題を臨床研究を駆使して解決していく成長型医療研究物語です。漫画と文章の組み合わせなので読みやすく、わかりやすいです。
一方、現在医療は目まぐるしく変化をしており、現代医学では解決できない問題が山積しています。はり師・きゅう師の先生方の治療院では、現代医学では解決できない患者さんをたくさん抱えており、日々奮闘していることと思います。鍼灸は、現代医学では解決できない問題を解決してくれる手段の一つだと私は考えていますが、多くの国民には知られていないのが現状です。国民に広く知ってもらうには、臨床研究をコツコツと行い、研究成果を医学論文にして公表する必要があります。臨床研究は先生方が行っている鍼灸臨床を公にする手段でもあります。公にされた結果が多くの国民を救うと信じてやみません。
はり師・きゅう師の先生方もビート君と一緒に臨床研究の旅に出ましょう。私は一足先にビート君と旅に出ています。書籍のなかに登場するふうたろう先生の名言です。
「良き臨床家は良き研究者である」

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序文

5歳の女の子が大人に難しい質問をして、答えられないと「ボーっと生きてんじゃないよ」と叱られるテレビ番組を見ていたら、「なぜ歳をとると、時間が早く過ぎるのか?」という難しい問題が出ました。時間心理学の専門家が、「それはときめくことがなくなるから」と解説するのを聞いて、膝を叩きました。
 
さて、皆さんは、今ときめいていますか? 「同じ仕事を繰り返すばかりの毎日……」、「朝早くから夕方まで記録を書くことに追われるだけの毎日……」なんて思うことはありませんか? 卒業したてのあのきらきらとした目の輝き、患者さんのために社会のために何かしたいと思ってときめいていたあの頃。あの頃の「ときめき」はまだ失われずにいますか?
 
私も大学でどんな勉強ができるのだろうと目を輝かせて入学しましたが、2~3年後には既に目が淀んでいました(笑)。卒業して医療現場で働いてから、患者診療に生きがいを感じ、再び目を輝かせました。しかしそれも長続きせず、卒後10年でまたもや壁にぶつかってしまいました。そんな頃、私の目を再び輝かせてくれたのが臨床研究との出会いでした。以来、30年以上同じことをやっていますが毎日ときめいています。
 
なぜだろうと考えてみました。
1.臨床研究は、医療現場の疑問や悩みと直結している
2.臨床研究は1人ではなく、仲間と支え合い、切磋琢磨し合いながら行う
3.研究成果を論文に可視化すると、世界の医療者に届き反応がある(かもしれない)
4.研究成果は、論文になるだけでなく医療や政策を変えられる(かもしれない)
 
他にも、臨床研究が医療者を魅了する何かがあるのかもしれません。
 
あの頃のときめきを思い出し、初心に戻って新しいことにチャレンジする「時」は、そう、「いま」しかないのです。その意味を込めて、本書のタイトルを『もしあなたが臨床研究を学んだら医療現場はもっとときめく』としました。皆さんも、本書を読んで臨床研究を学んでみませんか? そして仲間と一緒に研究を始めてみませんか? 毎日がときめき、時間がゆったりと過ぎることを保証します。
 
京都大学 教授
福原 俊一
 
 
この本を手にしたきっかけは何でしょうか?
上司に臨床研究をするように言われた? それとも学会発表の直前ですか?
たとえ、そうであったとしても、この本を通して、臨床研究は皆様が日々、医療現場で困っていることを解決する一つの方法であることを感じていただき、楽しく、ときめいて臨床研究を行っていただければと思います。
 
この本では、臨床研究のとっつきにくい、わかりにくい部分をできるだけ簡易にお伝えすることを心がけました。そのため、専門的な言葉の数を過剰に増やさないように、同じ言葉を繰り返し、いろいろな形で説明しています。おさらいやケースで学ぶ部分を多くしたのも、そのためです。専門用語は、言葉の一般的な意味だけでなく、それが、どのような場面で重要か、どのように利用されるのかを、ケースで考えることが大切だと考えています。
 
私がお勧めできるこの本の使い方です。
1.第1章から順番に読んで、漫画のストーリーと一緒に臨床研究全体の流れを把握する
2.自分が気になるタイトルの章をつまみ食いで読む
3.わからない言葉を索引で引き、その紹介箇所を読む
4.実践編やケースの解説を読んで、自分が臨床研究を行う際の参考にする
 
皆様の臨床研究や日々の診療が、いままでよりもっと楽しく、ときめいたものになることを祈っています。
 
京都大学 准教授
福間 真悟
 
 
この度、2013年から2年間にわたって「月刊薬事」に連載執筆させていただいた『時めき臨床研究』が書籍化されるにあたり、著者の一人としてこの上ない喜びであります。
『時めき臨床研究』の連載の目的は、臨床研究を実施し論文を書き、認定薬剤師や専門薬剤師を目指したい薬剤師に臨床研究リテラシーを提供することだけでなく、毎日の日常薬剤業務に疲弊している薬剤師に、臨床研究を通して元気になってほしいとのマインドを伝えたいとの思いから、福原俊一先生、福間真悟先生とともに連載をはじめました。
本編は、メインキャラクターである新人薬剤師ビート君が、日常臨床を通じて臨床研究リテラシーをSTEP BY STEPで進めていくことをモットーとし、スキット形式で親しみやすい内容としました。多くの薬剤師の仲間から、『時めき臨床研究』の連載に対して、実践的でわかりやすいと好評の言葉をいただき大変励みになりました。
 
また、私は福原俊一先生、福間真悟先生とともに実施している多職種対象とした臨床研究デザインワークショップを通じ、薬剤師同様にさまざまなメディカルスタッフが臨床研究に対する悩みをもっていることがわかりました。そこで本編を書籍化するにあたり、当初想定していた対象読者を薬剤師・薬学生だけでなく、医師、看護師、及びあらゆるメディカルスタッフに広げ、構成内容を若干変更しました。また、この連載の特徴であるスキット形式で進めることについては漫画化しよりわかりやすく編集しました。さらに本のタイトルを『もしあなたが臨床研究を学んだら医療現場はもっとときめく』と斬新なネーミングにしました。
本書を多くの医療者に手に取っていただき、臨床研究リテラシーを学ぶ際の一助となれば幸甚です。
 
新人薬剤師ビート君って、もしかしたら誰かさんに似ている??
 
昭和薬科大学 教授
渡部 一宏

 

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