にっきょくんと学ぶ 「日本薬局方」のこれまで・これから――第11回

どうも! 僕、にっきょくん。
2026年4月、「第十九改正日本薬局方」が厚生労働省から告示され、7月には普及版もじほうから刊行された。
このコーナーでは、明治時代に初版がつくられた日本薬局方の、現在まで続く長い歴史を、若手編集部員のMさんとともにたどっていくよ。さあ、第11回だ。前回からのお題、ICHによる規制の国際調和について、さらに掘り下げよう。
※前回の記事はこちら(第1回の記事はこちら)


まずね、ICHにおいてQ4Bという枠組みが具体的に動き出すのは2000年代のことなんだ。平成15年(2003年)にQ4B専門家作業部会(Q4B EWG : Q4B Expert Working Group)が、製薬業界の要請を受けて設置され、翌平成16年(2004年)からは、PDGが調和した薬局方テキストに対する評価活動をスタートさせるんだよ1)。
Q4B EWGが始動した初期のころの、薬局方テキストの評価と勧告のプロセスを、平成19年(2007年)に採択された時点のICHQ4Bガイドラインで見てみよう2、3)。まず、PDGが薬局方のテキストを調和すると、調和済みのテキストはQ4B EWGに提出される。そうして、Q4B EWGが中心となって、そのテキストが「ICH地域において相互利用できるかどうか」を評価するんだ。


Q4B Annexには、Q4Bの評価結果のほか、相互利用時の条件や施行に当たっての留意事項なども示されているよ。これを各規制当局が施行すれば、その国・地域での医薬品承認申請などの際に、日本薬局方(JP)、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(Ph. Eur.)の対象となるテキストを相互利用できるようになる、というわけだ。
おっと、百聞は一見に如かずだね。実際に「相互利用が可能」と評価された例を見てみよう。例えば、製剤均一性試験法に関するQ4B Annex 6には、こんな記載がされているよ。
第2章 Q4B評価結果
2.1. 試験方法
ICH運営委員会は、Q4B専門家作業部会の評価に基づいて、欧州薬局方収載の2.9.40. Uniformity of Dosage Units、日本薬局方収載の6.02 製剤均一性試験法、及び米国薬局方収載の<905>Uniformity of Dosage Unitsが、ICH地域内において下記の事項を考慮の上で相互利用できるものとして勧告する。
2.1.1. 25mg/25%の閾値に達しない場合に、含量均一性試験法の代替として質量(重量)偏差試験法を採用することについては、三地域内で相互利用できない。
2.1.2. 各地域の局方に◆◆で囲まれ独自に記載された製剤に対する製剤均一性試験の適用については、三地域内で相互利用できない。
2.1.3. 製剤の定量法と含量均一性試験で試験操作が異なるために補正係数が必要となる場合、承認申請資料に補正係数を規定し、その根拠を記載する。
文中の下線はじほう編集部による。
〔厚生労働省医薬食品局審査管理課長:ICHQ4Bガイドラインに基づく事項別付属文書(製剤均一性試験法)について.薬食審査発0417第1号、平成26年4月17日(https://www.pmda.go.jp/files/000156158.pdf)(2026年10月14日閲覧)より〕

ところで、「ICH地域において相互利用が可能」という言葉が出てきましたが、この「ICH地域」って、ICHの創設メンバーである日米欧のことですか?

ただしこのあと、ICHに日米欧以外の規制当局メンバーが続々と加わってくるんだ。そこで、PDGに参加していない日米欧以外の国・地域や、それらの国・地域がもつ薬局方についても配慮する必要が出てくるんだけれど5)、それはまた次に話すことにしよう。
1)N. Igoshi: Quality Topics Q4B: Evaluation and Recommendation of Pharmacopoeial Texts for Use in the ICH Regions. Proceedings of ICH Public Meeting: ICH Japan Symposium 2009, pp65-69, 12 June 2009(https://admin.ich.org/sites/default/files/2019-05/Proceedings_of_ICH_Japan_Symposium_2009_090828_final.pdf)(Accessed 14 October 2026)
2)The International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH): Evaluation and Recommendation of Pharmacopoeial Texts for Use in the ICH Regions: Q4B. Current Step 4 version, 1 November 2007(https://www.pmda.go.jp/files/000156177.pdf)(Accessed 14 October 2026)
3)厚生労働省医薬食品局審査管理課長:薬局方テキストをICH地域において相互利用するための評価及び勧告に関するガイドライン(ICHQ4Bガイドライン)について.薬食審査発第0526001号、平成21年5月26日 (https://www.pmda.go.jp/files/000156021.pdf)(2026年10月14日閲覧)
4)The International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH): Frequently Asked Questions Q4B: Evaluation and Recommendation of Pharmacopoeial Texts for Use in the ICH Regions. 26 April 2012(https://database.ich.org/sites/default/files/Q4B_Frequently%20Asked%20Questions_26.April__11.pdf)(Accessed 14 October 2026)
5)The International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use (ICH). Evaluation and Recommendation of Pharmacopoeial Texts for Use in the ICH Regions: Q4B(R1). Final version, 5 June 2024(https://database.ich.org/sites/default/files/ICH_Q4B%28R1%29_Guideline_2024_0605.pdf)(Accessed 14 October 2026)

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