研修医・総合診療医のための
第1章 総論
1 胸痛
2 呼吸困難・労作時息切れ
3 動悸
4 失神
5 浮腫
6 チアノーゼ
第2章 心不全
7 急性心不全
8 慢性心不全
第3章 虚血性心疾患
9 安定狭心症
10 冠攣縮性狭心症
11 急性冠症候群
第4章 不整脈
12 期外収縮
13 発作性上室頻拍
14 心房細動
15 心室頻拍
16 心室細動
17 ブルガダ症候群
18 QT延長症候群
19 洞不全症候群
20 房室ブロック
21 徐脈性心房細動
22 脚ブロック
第5章 弁膜症
23 僧帽弁狭窄症
24 僧帽弁閉鎖不全症
25 大動脈弁狭窄症
26 大動脈弁閉鎖不全症
27 三尖弁閉鎖不全症
第6章 感染性心内膜炎
28 感染性心内膜炎
第7章 心臓腫瘍
29 左房粘液腫
第8章 心筋疾患
30 拡張型心筋症
31 肥大型心筋症
32 心アミロイドーシス
33 心臓サルコイドーシス
34 急性心筋炎
35 薬剤性心筋炎
第9章 心膜疾患
36 急性心膜炎
37 心タンポナーデ
38 心膜液貯留
39 収縮性心膜炎
第10章 先天性心疾患
40 心房中隔欠損症
41 心室中隔欠損症
42 成人期ファロー四徴症
43 Valsalva洞動脈瘤破裂
第11章 大動脈疾患
44 大動脈瘤
45 大動脈解離
46 高安動脈炎
第12章 末梢動脈疾患
47 末梢動脈疾患
48 急性動脈閉塞症
第13章 肺高血圧症
49 肺高血圧症
第14章 静脈疾患
50 下肢静脈瘤
51 深部静脈血栓症
第15章 血圧異常
52 高血圧症・腎血管性高血圧
53 低血圧症
本書は,主に初期研修医をはじめとする若い医師の皆さんを対象に執筆しました。
医療における“ファーストタッチ”とは,患者さんを最初に診察し,初期対応を行うことを指します。循環器疾患においてこの“ファーストタッチ”は,その患者さんの予後を大きく左右する点で極めて重要です。なぜなら,急性冠症候群をはじめとして,緊急対応を要する疾患が数多く存在するからです。
例えば,胸痛を訴える患者さんが救急搬送された場合,いくつかの鑑別診断を念頭に置きながら身体診察を行い,並行して必要な検査を進めます。12誘導心電図でST上昇が認められれば急性心筋梗塞を強く疑い,血液検査や心エコー図を経て確定診断に至り,緊急心臓カテーテル検査を行うことになります。しかし,実際の臨床現場は必ずしも典型例ばかりではありません。多様な症例に対応するには,できるだけ多くの“引き出し”をもっておくことが大切です。
そこで本書では,まず総論(第1章)として主要な症候――胸痛,呼吸困難・息切れ,動悸,失神,浮腫,チアノーゼ――について解説しました。続く各論(第2章)では,循環器領域の主要な46疾患を取り上げています。また,「この患者さんは帰宅可能か,それとも入院が必要か」「ご家族や付き添いの方にどのように説明すべきか」といった,若い医師が悩みやすい場面についても具体例を交えて解説しました。
本書は分担執筆によるものですが,執筆者はいずれも大分大学医学部 循環器内科・臨床検査診断学講座のメンバーです。私自身がすべての原稿に目を通し,必要に応じて修正をお願いすることで,全体の統一感を心がけました。ぜひ本書を臨床現場に携える一冊として身近に置き,日々の診療で困ったときに活用していただければ幸いです。
大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座 教授
髙橋 尚彦
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