お知らせ
2025年9月9日 付録アプリのダウンロードは こちら
序章
本書を利用するにあたって
①本書(提供するエクセルスクリプト)でできること
②本書の目的
③アプリのインストール方法と簡単な利用方法
第1章
アプリを利用するための薬物動態学の基礎
①薬物動態学って
②このアプリを使ううえで必要な薬物動態学の基礎
③計算方法について
第2章
添付文書の薬物動態パラメータを使う
①生物学的半減期が短い医薬品の血中濃度推移
NSAIDsの場合
②生物学的半減期が長い医薬品の血中濃度推移
(1)ドネペジルの場合
(2)アリピプラゾールの場合
(3)アジスロマイシンの場合
③睡眠薬の血中濃度推移
④非線形成がある医薬品の血中濃度推移
(1)パロキセチンの場合
(2)イトラコナゾールの場合
⑤剤形による血中濃度推移の違い
バルプロ酸ナトリウムの場合
第3章
腎機能が低下したときの投与量の設計
①全身クリアランス値の変化が利用できる場合
プレガバリンの場合
②腎クリアランス値の変化が利用できる場合
シタグリプチンの場合
③腎機能低下患者の投与方法が細かく指定されていない場合
ピルシカイニドの場合
④重度の腎機能低下患者では投与を避けた方がよい場合
ミチグリニドの場合
第4章
肝機能が低下したときの投与量の設計
①肝機能低下時の薬物動態パラメータが利用できる場合
アムロジピンの場合
②肝機能低下に伴う薬物動態パラメータの変化が利用できる場合
ガレノキサシンの場合
③肝硬変患者の薬物動態パラメータが利用できる場合
レボセチリジンの場合
④薬物動態パラメータの変化量の情報が利用できる場合
シタグリプチンの場合
第5章
高齢者への投与に特に注意する必要がある場合
①高齢者の薬物動態パラメータが利用できる場合
クロバザムの場合
②高齢者の薬物動態パラメータの変化量が利用できる場合
ゾルピデムの場合
③反復投与時の情報が記載されている場合
コハク酸ソリフェナシンの場合
第6章
相互作用によって血中濃度が変化する場合
①相互作用に伴う薬物動態パラメータの記載がある場合
アゼルニジピンとイトラコナゾールの場合
②相互作用に伴う薬物動態パラメータの変化量の記載がある場合
(1)メトホルミンとドルテグラビルの場合
(2)スボレキサントとジルチアゼムの場合
第7章
患者さんへの服薬説明のための使い方
①最近,寝つきが悪くなったラメルテオン錠服用中の患者さん
②最近,昼間眠いことが多くなってきた,
プレガバリン錠を服用している患者さん
③ゾルピデム錠の持ち越し効果がみられるようになった患者さん
索引
はじめに
これまでに『添付文書がちゃんと読める』シリーズで統計学と薬物動態学を執筆してきました。このシリーズは薬剤師や薬学生に好意的に受け取っていただけたようで,関わってきた一人としてほっとしています。本書は,このシリーズの“薬物動態学”の続編というべき内容で薬物動態の情報をより積極的に利用するにはどうしたらよいかを考えて書き上げました。
薬物動態学の「知識」は薬剤師にとって強い武器だと思うのですが,なんとか「スキル」として応用できないかと考えて,薬物動態パラメータから血中濃度推移をシミュレーションする簡単なアプリをエクセルで作成しました。このアプリを使うと,数値の羅列だった薬物動態パラメータが血中濃度推移として示すことが可能になります。さらに,患者の腎機能や肝機能が低下した時やその他の患者背景の変化によって血中濃度推移がどのように変化するかを示すことができるようになります。その結果から,患者背景に応じて用法・用量をどのように変えれば薬をより安全に使用できるかの指標を与えてくれると思います。
アプリの使い方はとても簡単ですが,使用前にエクセルの「ソルバー」機能をインストールする必要があります。インストール方法は本書に記載されています。あとは,添付文書の薬物動態パラメータを入力するだけで簡単に血中濃度推移を表示できます。
このアプリを利用する際の注意点としては,薬物動態パラメータから血中濃度推移の計算にいくつかの仮定を置いています。また,薬物動態パラメータの値は患者背景によって大きく変化します。そのために,得られた結果だけから用法・用量を直接決定するのではなく,医師やほかの医療従事者との情報共有,患者さんへの薬の効果の説明,患者さんが訴える症状の原因を薬物動態の変化から考察する際などに応用していただけたらと思います。
このアプリはじほうのホームページからダウンロードできるようになりますが,アプリの見た目があまり良くないのはご容赦ください。また,得られた結果はあくまでいくつかの仮定に基づいて計算上得られたものであり,その結果の確実性・正確性について保証するのもではありません。得られた結果を臨床応用する際には細心の注意を払っていただくようお願いいたします。また,添付文書情報からこんなことができないか? というご提案があればお聞かせください。できる限り対応したいと思います。
最後に,本書の執筆にあたり,じほうの鹿野さんには大変お世話になりました。特に,執筆を進める際にたびたびアプリを修正する必要が生じてしまい,その都度,図表や内容を書き換える必要が生じてしまいました。鹿野さんには辛抱強くご対応いただきました。ここに謝意を表したいと思います。
2025年9月
山村 重雄
(連絡先:syamamura0803@gmail.com)
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