患者と薬物のデータから考察する
Contents - 目次-
[CASE 1] 突然血圧コントロールできなくなった患者
<コラム> トクホの作用機序
[CASE 2] 痒みを訴える患者
<コラム> フルーツジュースの相互作用ってどの程度?
[CASE 3] アモキシシリンが重複している処方箋を持参した患者
<コラム> 抗菌薬の長期投与は,あり? なし?
[CASE 4] 喉の痛みを訴えて抗菌薬が処方された患者
[CASE 5] 体重が増加してきた糖尿病患者
<コラム> 肝代謝で消失する薬物でも腎機能障害患者に注意が必要な場合がある!?
[CASE 6] 下痢の症状を訴える糖尿病患者
[CASE 7] 夜間頻尿を訴える排尿障害患者
<コラム>T¹⁄₂から読み取れること
<コラム> 定常状態に到達する薬物と到達しない薬物
[CASE 8] 帯状疱疹の処方箋を持参した患者
<コラム> 推算糸球体ろ過量とクレアチニンクリアランス
[CASE 9] 花粉症に悩む授乳婦の患者
<コラム> 妊婦や授乳婦の医薬品使用に関する情報源
[CASE 10] 不眠症状に改善の兆しが見える患者
[CASE 11] インフルエンザを発症した乳児の患者
<コラム> 小児・乳幼児への薬の飲ませ方
[CASE 12] 逆流性食道炎を起こした患者
<コラム>OTC 医薬品との重複投与に注意
[CASE 13] 初めて痛風発作を起こした高尿酸血症患者
[CASE 14] 貧血により鉄剤が処方された患者
<コラム> キレート形成を生じる相互作用
[CASE 15] 中耳炎の小児の患者
[CASE 16] めまいと頭痛を訴える患者
<コラム> 適切な水分摂取量とは
[CASE 17] 食欲不振がみられる患者
<コラム> アダマンタン骨格を有する医薬品
はじめに
本書は,若手薬剤師,国家試験や実務実習に向かっていく薬学生が学んだ知識を活かしながら,より深め,ブラッシュアップの一助になる書籍を目指して執筆しました。
化学,薬理,薬剤などの講義を受けて勉強するときを思い出してみましょう。化学の講義を受けて,教科書を読んで,ノートを取り理解した知識は「化学のひきだし」にしまってあるのではないでしょうか。同様に,薬理の知識は「薬理のひきだし」,薬剤の知識は「薬剤のひきだし」にしまい,試験の際には,各科目の「ひきだし」から知識を引っ張り出して答えを導きだすと思います。
試験のときはこのような思考でよいのですが,実際の臨床では「化学の患者」「薬理の患者」というわけにはいきません。さまざまな科目の知識が横断的に求められ,どの科目の「ひきだし」から,どの知識を引っ張りだす必要があるのかという分析力が求められます。そして,この分析力を発揮するためにまず必要なことは,患者との会話や処方箋・検査データなどから「違和感」を感じることです。この「違和感」が疑義照会や処方提案,患者指導の内容の調整などにつながっていきます。
いざ文字にすると難しそうにも見えますが,これは薬剤師が日頃の業務のなかで,自然と行っている流れでもあります。つまり「これってこうしたほうが患者利益につながるのでは?」と,自然に感じる疑問が「違和感」の正体です。
「違和感」を感じるためには,知識や経験が必要で,これは自己研鑽で高めることができるものです。ただし,闇雲に知識を増やせばよいということではありません。問題を解決するために必要な知識がどの「ひきだし」に入っているのか,わからないと意味がないのです。「違和感」と整理された「ひきだし」を見比べたとき,初めて「こうしたほうがよいのでは?」という「仮説」にたどり着きます。
本書は,この「仮説」をテーマにしました。処方箋や患者との会話から,薬剤師が感じた「違和感」を「仮説」として明確にし,その「仮説」に対して考察・検証していく内容となっているので,読み進めていただくと,知識を増やすだけでなく,知識を整理する一助にしていただけるのではないかと思います。実際によくみかける疾患や処方箋をテーマにしているので,本書がすぐに使う「ひきだし」の一部となれば幸いです。
最後に,本書は『調剤と情報』に連載された「構造式から読み解く くすりのプロファイル」(2023 年9 月号~ 2024 年2 月号)が,きっかけとなり出版に至りました。『調剤と情報』編集部および株式会社じほうの関係者の皆様には,多大なご支援ご協力を賜りましたことを心よりお礼申し上げます。
2025 年5月
PharmAssist Lab 黒木 央
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