医薬品開発における
生体試料中薬物濃度分析法バリデーションガイドライン解説
―LCガイドライン―
商品コード |
46922 |
編著 |
バイオアナリシスフォーラム/編 |
判型 |
B5判 |
発行日 |
2015年2月 |
ページ |
212頁 |
定価 |
¥13,200(税込) |
在庫 |
|
内容
・平成25年(2013年)7月に発出された、日本のガイドラインを詳細に解説
・LC-MS/MS法を用いた低分子医薬品の分析を中心に
・臨床試験(DDI試験やBE試験を含む)やTK試験の生体試料中薬物濃度分析
第Ⅰ章ではガイドラインの経緯と趣旨を概説し,本書の中心となる第Ⅱ章では複数の研究者で慎重に議論を行ったうえで、ガイドラインの逐条解説を試みた。第 Ⅲ章は著者個人の意見も許容しつつ、諸外国のガイドラインとの差異、分析法開発、incurred sample reanalysis(ISR)の実施に関わる留意点、といった参考情報を提供している。特にISRに関しては本ガイドラインで新しく言及された要件であ り、関心が高い読者も多いのではないかと思われる。ここではISRの実施経験を有する研究者が海外の動向も踏まえつつ、ISRの試料の選択、計画書・報告 書の記載例などを提案している。第Ⅳ章ではガイドライン本文などを収載し,最終章第Ⅴ章では学術団体や学会シンポジウムなどのリストを提供している。本書 が本分野の発展の一助となれば幸いである。
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目次
第Ⅰ章 ガイドラインの概要
1 ガイドライン制定の経緯
2 BMVガイドラインの趣旨
第Ⅱ章 ガイドライン逐条解説
1.はじめに
2.適用
3.標準物質(標準品)
4.分析法バリデーション
5.実試料分析
6.注意事項
7.報告書の作成と記録等の保存
附録 段階的アプローチの利用
その他の検討項目および留意点
第Ⅲ章 参考情報
1 諸外国のガイドラインとの差異
2 分析法開発
3 ISRの実施にかかわる留意点
4 今後の展望
第Ⅳ章 資料
「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン」について(平成25年7月11日 薬食審査発0711第1号)
「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン質疑応答集(Q&A)」について(平成25年7月11日 事務連絡)
「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン」等の英文版の送付について(平成25年9月13日 事務連絡)
「医薬品開発における生体試料中薬物定量濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン(案)」に関する意見の募集に対して寄せられた御意見について
第Ⅴ章 有用な情報源
1 学術団体
2 学会シンポジウム
3 国内外の規制当局から発出された規制下バイオアナリシスに関連する文書
4 規制下バイオアナリシスに有用な国内外の書誌情報
おわりに
索引
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序文
医薬品の体内動態に関する十分な理解なしでは,有効性と安全性に優れた医薬品の開発はありえない。新医薬品が薬事承認を得るにはトキシコキネティクス(TK)あるいはヒト薬物動態(PK)の正確な解析が不可欠であり,安全にヒト臨床試験を実施するために
は,非臨床安全性試験においてTKが事前に正確に評価されていることが必須である。
生体試料(動物あるいはヒト)中の薬物濃度分析には,最終製品の出荷試験に用いられる分析方法の妥当性を評価する方法論では解決できない本質的な問題が存在する。医薬品の分析法バリデーションとして,ICH Q2 ガイドラインがよく知られているが,このガイドラインは,一貫性のある製造工程の下で生産された原薬・製剤の品質分析を対象としており,バリデーションで評価した同一条件での測定が実試験においても可能であることが前提になっている。一方,生体試料中薬物濃度分析では,生体が有する本質的な不均一性から,実試験における試験条件をすべて想定し,あらかじめバリデートしておくことは不可能である。特に近年,生体試料中薬物濃度分析に汎用される質量分析では,マトリックスの定量値に与える影響が大きいため,マトリックスを構成する生体試料の不均一性に起因する測定の変動を評価し,保証る必要性が強く認識され,生体試料中薬物濃度分析に適用可能な新たな品質保証の方法論が求められていた。
欧米を中心として生体試料中薬物濃度分析法すなわちバイオアナリシスの分析法バリデーション(BMV)に関するガイドラインが検討され,2001 年に米国食品医薬品局(FDA)はGuidance for Industry:Bioanalytical Method Validationを発出(2013 年9月の改訂案が公表),2011年7月に欧州医薬品庁(EMA)はGuideline on BioanalyticalMethod Validationを発出した。日本は対応が遅れていたものの,2011 年に産・官・学からなるバイオアナリシスフォーラム(JBF)が設立され,欧米の動向に注目しつつ,日本の実情に根差した,生体試料中薬物濃度分析の品質保証の方策に関して検討を重ねた。関係者の献身的な努力があり,検討結果を短期間にガイドライン素案としてまとめることができた。平成25 年7 月11 日薬食審査発0711 第1 号「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン」は本素案をもとに作成されたガイドラインである。
本書は,素案作成に関与した研究者のほか,JBFの関係者が上記ガイドラインの作成の背景,留意点などを含めて詳細に解説したものである。内容の確認にあたっては,執筆者以外にも多くの方のご協力を得た。本書を活用することにより,このガイドラインのImplementationが促進され,生体試料中薬物濃度分析の品質が向上することを強く期待している。
2015年2月
バイオアナリシスフォーラム 代表 奥田 晴宏
(国立医薬品食品衛生研究所 副所長)
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