【じほうインタビュー】臨床での壁を越える力に 薬剤師の進化を支えるナレッジベースの活用

大好評いただいた書籍『薬剤師のためのナレッジベース』。その改訂版が本年5月に発刊されました。
発刊にあたり、監修者の石井伊都子先生と編集者の内田雅士先生に、書籍に対する想いはもちろんのこと、新人薬剤師が抱える課題とこれからの時代に求められる薬剤師像などについて、その想いを伺いました。本インタビューの全文は『月刊薬事』と『調剤と情報』の9月号に掲載されていますが、こちらではその一部をご紹介いたします。
新人薬剤師が現場で直面する「壁」とは?
石井氏 入職したての新人薬剤師は、圧倒的に薬がわからないという状況にあります。それもそのはずで、病院には2,000種類以上の薬があるのです。また、国家試験を終えたばかりのときは、一般名は頭に入っていても、現場で使われる商品名となると途端にわからなくなりますし、薬剤の特徴についても抜け落ちてしまいがちです。毎年、新人が最初にそこで奮闘している光景をみてきました。
石井伊都子氏
内田氏 新人薬剤師には、まず処方箋を見てその内容を監査してもらうのですが、どうしても時間がかかってしまいます。また、どこが重要なのかがよくわからないという声もよく聞きます。それから、病気の標準治療についての理解も大きな課題となっています。今は治療が個別化されていることも珍しくありません。そのため、どこからが標準治療で、どこからが患者さん個別の治療なのか、その線引きが難しい点が新人薬剤師にとって困惑する要因となっているのでしょう。
内田雅士氏
石井氏 薬剤師業務を難しくしている根本的な理由は、医師が診断している過程を目の前でみられないことです。診断の結果として出てきた処方箋が、突然、薬剤部にポンと飛んでくる。さらに、処方箋に複数の薬が処方されていれば、「これってどの病気に使うのだろう?」というところから推測しなくてはならないんです。この手探り状態から始めなければいけないというのが、薬剤師の仕事を身につけるうえでの一番の難しさであり、新人が最初に出くわす大きな壁なのだと思います。
膨大な薬の情報とどう向き合えばよいのでしょうか?
石井氏 最近の薬学教育には「知識の概念化」という考え方があります。これは、いろいろな経験を自分の中で消化し、再構築していくイメージですね。最初は経験がなくてわからないことも多いと思いますが、調べながらでも前に進んで、まずは経験を蓄積していく。ただし、知識をただの記憶として留めるのではなく、作用機序やメカニズムといった基礎知識と結びつけて自分の中で咀嚼することがとても大切です。そのうえで、自分の頭の使い方にあった方法で整理していくのです。やり方は人それぞれですが、ここは地道にコツコツ続けるしかないところだと思います。
この本を、読者にどのように活用してほしいですか?
内田氏 本書はさまざまな疾患の治療のエッセンスを整理したものです。まずはこの本を実務で使っていただいて、日々の疑問を手軽に解決するツールとして活用してください。そして、この本をきっかけにして、より深くて広い薬物治療の勉強や理解へとつなげていってほしいと願っています。
「月刊薬事」および「調剤と情報」の9月号では、より詳細なインタビュー内容のほかに、「薬剤師に求められる役割がどう変わってきているか」などについても詳しく紹介しています。ぜひご購読ください!
◆「月刊薬事」9月号は コチラ
◆「調剤と情報」9月号は コチラ

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