にっきょくんと学ぶ 「日本薬局方」のこれまで・これから――第3回

こんにちは。僕、にっきょくん。
2026年4月、「第十九改正日本薬局方」が厚生労働省から告示され、7月には普及版もじほうから刊行された。
このコーナーでは、明治時代に初版がつくられた日本薬局方の、現在まで続く長い歴史を、若手編集部員のMさんとともにたどっていくよ。それでは第3回を始めよう。
※前回の記事はこちら(第1回の記事はこちら)


明治19年(1886年)に公布された初版では、各条468品目、製剤総則10項目が掲載されていた1) 。前回も話したとおり、ドイツ文で作られた原案を邦訳したんだけれど、医薬品名については対応する日本語がなかった。だから、すべて漢字の当て字が使われたんだ2)。例えば、アトロピンは亜篤羅必涅、キニーネは規尼涅という具合にね3)。
こうしてできた日本の医薬品基準を、諸外国に対しても示すべく、1888年(明治21年)には、300ページからなるラテン語版も出版されたんだ1)。
ちなみに、同時期の日本では、例えば市制・町村制が発布されて地方自治制度の基礎が築かれたり〔明治21年(1888年)〕、大日本帝国憲法が発布されたり〔明治22年(1889年)〕、議会制政治が導入されたりもしている(同)。明治22年(1889年)は、東海道線が全線開通した年でもあるよ。


さて、日本薬局方はその後、第三改正〔明治39年(1906年)発布〕、第四改正〔大正9年(1920年)発布〕、第五改正〔昭和7年(1932年)発布〕と、改正が重ねられていったんだ。


特に、昭和7年(1932年)の第五改正のあと、次の全面的な改正(第六改正)は19年後の昭和26年(1951年)まで待つことになるんだけれど、この間になんと16回もの改正が行われているんだよ4)。これは、第二次世界大戦の影響が大きい。薬局方の規格を緩めて量産を図り、一方で代替品を収載するという措置をとることで、急速に高まる医薬品需要に間に合わせようとしたんだ2)。
ちなみに、ラテン語版が出版されたのは、第一改正、第二改正までで、第三改正以降は、英語翻訳版に切り替わって現在に至っている。ただし、やはり第二次世界大戦の影響で、第五改正のみは英文版の作成が中断されてしまった。そうして第六改正で再開されたんだ1)。
ということで、次回は戦後、第六改正以降の日本薬局方を見ていくことにしよう。
1)伹野恭一、他:日本薬局方(JP)130周年記念シンポジウムとJP18に向けた今後の課題.薬史学雑誌、52(2):160-168、2017
2)江本龍雄、他:薬局方の一世紀.ファルマシア、22(11):1225-1230、1986
3)日本薬局方.内務省令第10号、1886年6月25日、国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/2938123)
4)第十九改正日本薬局方.pp9-38(日本薬局方沿革略記)、厚生労働省告示第193号、2026年4月10日
・医薬品医療機器総合機構:日本薬局方の歴史(https://www.pmda.go.jp/files/000249603.pdf)(2026年8月10日閲覧)

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