にっきょくんと学ぶ 「日本薬局方」のこれまで・これから――第8回

やあ! 僕、にっきょくん。
2026年4月、「第十九改正日本薬局方」が厚生労働省から告示され、7月には普及版もじほうから刊行された。
このコーナーでは、明治時代に初版がつくられた日本薬局方の、現在まで続く長い歴史を、若手編集部員のMさんとともにたどっていくよ。さあ、第8回を始めよう。キーワードは「国際調和」だ。
※前回の記事はこちら(第1回の記事はこちら)


そうして、この平成の初めの年である1989年には、薬局方に関係するとても大きな動きがあった。日本薬局方(JP)、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(Ph. Eur.)の三薬局方による国際会議、Pharmacopoeial Discussion Group(PDG)の設立だ。
PDGの目的は、薬局方の国際調和。つまり、薬局方ごとに異なる試験方法や適否の判定基準を共通化することだよ1)。


そこで、PDGが三薬局方の調和を推進することで、製薬企業の負担軽減を図ろうとしたわけさ1)。調和活動の対象となるのは、一般試験法と医薬品添加物各条だ3)。


まず、PDG設立当初の1990年代は、三薬局方を完全に調和させること(full harmonization)が目指されていたんだ。完全調和、つまり、三薬局方のいずれを参照しても、同じ試験手順で、同じ適否判定に到達できる状態だね3、4)。ところが、いざ調和活動を始めてみると、これが難しいのなんの…。PDG発足後の最初の約10年間は、各条にせよ一般試験法にせよ、なんと一つも調和されないままに過ぎてしまったんだよ!5)
そこでPDGは、完全調和へのこだわりを捨てて、調和が困難な部分を明示的に除外した部分的調和(harmonization by attribute)を取り入れる現実的な方策へと軌道修正したんだ6)。調和がまったく行われないことに比べれば、部分的にでも調和するほうがいいからね5)。こうして20世紀も終わるころ、やっとPDGの調和活動は、目に見える成果を上げることができるようになっていくんだよ6)。
そうそう、平成13年(2001年)からは、世界保健機関(WHO)がオブザーバーとしてPDGに参加していることも知っておこう!
1)前川彦一郎:日本薬局方の国際調和活動について―PDG活動の紹介など―.医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス、55(2):126-128、2024
2)松濵万貴、他:日本薬局方、米国薬局方および欧州薬局方の比較検討―構成、通則および不純物の管理について―.レギュラトリーサイエンス学会誌、8(2):55-68、2018
3)Pharmacopoeial Discussion Group:Statement of Harmonisation Policy. Revision October 2023(https://www.pmda.go.jp/files/000266950.pdf)(Accessed September 17, 2026)
4)The United States Pharmacopeia (USP) : Pharmacopeial Discussion Group (PDG)(https://www.usp.org/harmonized-standards/pdg)(Accessed September 17, 2026)
5)Kameyama Y:Overview of PDG. EDQM Conference 2022; Session4 Pharmacopoeial Harmonisation, 2022(https://www.edqm.eu/documents/52006/1024763/Presentation+6+-+EDQM+Conference+2022+Session+4+Pharmacopoeial+Harmonisation.pdf/7218c7f6-7781-52dd-5221-ec195c9c983a?t=1664883953969)(Accessed September 17, 2026)
6)武田 寧:国際的動向を踏まえた日本薬局方の国際化.「国際的動向を踏まえた医薬品等の品質・安全性確保に関する研究」平成17年度(2005年度)分担研究報告書、厚生労働科学研究成果データベース(https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2005/058051/200501117B/200501117B0020.pdf)(2026年9月17日閲覧)

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本書は資料編として、本改正に関連する告示・通知のほか、改正事項の趣旨やポイントがわかる事務連絡、技術情報等の資料を網羅し、生薬試験に関する資料や検索に有用なオリジナル索引を収載しています。

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