こんなときどうする?

薬剤師のための循環器ポケットブック

¥4,180

●ガイドラインの先にある、リアルな判断の「考え方」をレクチャー
●薬剤師目線で必要な知識を整理。だから処方提案に自信がもてる!
●平易な解説と豊富な処方例で、循環器治療に不慣れな薬剤師にも役立つ!

 
循環器の薬物療法は日進月歩ですが、それゆえ日常臨床で迷うことも少なくありません。ガイドラインは整備されていますが、「この患者さんにこの薬でいいの?」「代替薬はどれがよい?」など、個別のケースでは現場の薬剤師に判断が求められます。
そこで本書では、病院薬剤師や循環器専門医が、現場でホントに使える循環器治療のコツや薬学的管理をやさしく解説。循環動態や検査値をどう読み解き、適切な処方につなげるかがよくわかります。ポケットに入るサイズだから、いざというときにサッと取り出して使える便利な1冊です。
編著
循環器病薬剤師ネットワーク、芦川 直也、足立 参希、澤田 和久、武田 真央/編
発行日
2026年3月
判型
B6変型判
ページ数
368頁予定
商品コード
57072
ISBN
9784840757072
カテゴリ
目次

■第1章 高血圧

標準業務チェックリスト

1.血圧はどこまで下げればよい?

2.血圧が下がらない。さてどうする?

3.患者の併存疾患や状況により降圧薬を使い分けたほうがよいか?

4.家庭血圧測定を継続するうえで大事なことは?

 

■第2章 不整脈

標準業務チェックリスト

1.不整脈治療の全体像を理解しよう! 非薬物療法と薬物療法には何がある?

2.抗不整脈薬を静注投与する場合の具体的な投与方法や注意点は?

3.心房細動アブレーション周術期の抗凝固薬は事前休薬不要? いつまで続ける?

4.抗凝固療法中の患者が出血した! これは経過観察でOK?

5.患者が持参した抗不整脈薬が当院で非採用! どの薬剤に切り替える?

6.患者に抗不整脈薬が処方された。何をモニターすべき?

7.心房細動の心拍数がなかなか下がらない! 具体的な使用薬剤の使い方と使い分けは?

8.不整脈管理でK値の補正はどうする? 高K血症・低K血症の注意点は?

9.カルディオバージョン施行時に用いる鎮静薬の使い分けと注意点は?

10.Torsade de
pointes出現時の治療は? Mg静注はどのように投与し,何に注意する?

11.患者がVT/VFで急変! 使用する薬剤と注意すべき点は?

12.アミオダロンの副作用を疑ったらどうする?

13.透析で除去される,されない抗不整脈薬は? 透析の種類などにより選ぶ薬剤は変わるか?

14.ジゴキシンのTDMってどうするの? どういう患者に特に注意が必要?

15.心房細動患者へのABCパスウェイとは? 肥満・アルコール・生活習慣への指導のコツは?

 

■第3章 冠動脈疾患

標準業務チェックリスト

1.冠動脈疾患患者がやってきた! 心筋梗塞,狭心症それぞれどの薬をどれだけ導入する?

2.心筋梗塞急性期,使用する薬剤は?

3.冠動脈ステント留置後のDAPT期間は何によって変わるか? 抗凝固薬服用中の場合は?

4.脂質降下療法はどのような症例で本気でやるべきか?

5.LDLコレステロールが下がらない! 考慮すべき疾患は?

6.カテーテル室での冠動脈造影や検査・治療に使う薬は? INOCA患者に何を伝える?

7.2型糖尿病合併の虚血性心疾患に選択される糖尿病治療薬は?

8.下肢虚血患者の薬物療法と疼痛管理はどうする?

9.冠動脈治療後に抗血栓薬内服中の患者が手術予定! 周術期の抗血栓療法は継続?

 

■第4章 脳血管疾患

標準業務チェックリスト

1.脳卒中後に追加されうる薬剤にはどのようなものがあるか?

2.脳血管疾患に伴う合併症の治療は?

3.入院中の患者がけいれんを発症! 使用する薬剤の用量設定と注意点は?

4.脳卒中を発症した患者の血圧管理目標は?

 

■第5章 心不全・心筋疾患

標準業務チェックリスト

1.HFrEF患者が入院! 標準治療薬を導入する際の注意点は?

2.血圧が低くて標準治療薬が導入できない! そんなときはどうする?

3.心不全治療薬使用中に遭遇しやすい高K血症にいざ出合ったらどうする?

4.HFpEFの患者が入院! 標準治療薬はHFrEFと異なるの?

5.うっ血解除に必要なループ利尿薬の使い方は? フロセミドだけで不十分な場合にどうする?

6.心不全療養指導ってどう実践するの?

7.食欲不振のある心不全患者にどう対応する?

8.静注強心薬を要する重症心不全患者が入院! 投与中の観察ポイントは?

9.心不全治療薬を服用中の患者が他疾患で入院! 非循環器病棟の薬剤師は何に注意する?

10.心膜炎を発症! どの薬剤をどう使う?

11.心臓サルコイドーシス患者に対するステロイド導入はどうやる? 副作用対策は?

12.がん化学療法中の患者が心不全を発症! 薬物療法はこう考える

13.終末期心不全患者にモルヒネを使うのはどんなとき? 使用時の注意点は?

 

■第6章 深部静脈血栓症・静脈血栓塞栓症

標準業務チェックリスト

1.深部静脈血栓症を発症した場合,全例に抗凝固療法を行う必要があるのか?

2.肺血栓塞栓症の抗血栓療法で注意すべきことは? そして実際の使い方は?

3.がん患者の深部静脈血栓症に対する抗血栓療法で注意すべきことは?

 

■第7章 その他の疾患,薬学的管理

1.血糖値がDPP-4阻害薬だけで下がらないとき,低血糖リスクの低い薬に何を選ぶ?

2.心臓血管外科手術前に休薬を要する薬剤は?

序文

はじめに

 

「循環器の薬について,こんなときどうする?」

 このように自問自答しながら臨床の場に立っているのは,決してあなただけではありません。近年,循環器領域における薬物療法の進歩は目覚ましく,画期的な新薬や治療アルゴリズムが次々と登場しています。それに伴い,診療ガイドラインも迅速に改訂され,標準的な治療指針はかつてないほど明確になりました。しかしながら,いざ目の前の患者さんと向き合ったとき,教科書どおりの対応が通用しない“臨床のリアル”という壁にぶつかります。

「患者が院内採用のない抗不整脈薬を服用しているが,代替薬をどうするか?」

「ガイドラインの推奨どおりに薬剤を導入したいが,血圧は低くてどうすればいい?」

 このような「こんなときどうする?」という疑問を抱くのは,あなたが最善を尽くそうと真摯に目の前の患者さんと向き合っているからこそです。とはいえ,多忙な業務のなかで膨大なガイドラインやエビデンスのなかから即座に最適解を導き出すのは容易ではありません。

 本書は,現場の薬剤師の戸惑いに寄り添い,解決の糸口を示すために企画したものです。最大の特徴は,知識や理論の羅列にとどまらず,薬剤師の視点での判断プロセスを可視化した点にあります。さまざまな状況を踏まえて,患者さんの訴え,バイタルサイン,検査値をどう読み解き,医師へいかにロジックな処方提案を行うか? 患者さんの不安を安心に変えるためにどのような言葉を届けるべきか? これらについて,臨床経験豊富な執筆陣が自身の思考回路を可能な限り言語化しました。さらに,循環器疾患に携わる機会が少ない薬剤師でも不安なく対応できるよう,各章の冒頭には「標準業務チェックリスト」を設け,最低限押さえるべきポイントを一目で把握できるよう工夫しています。また,循環器と密接に関係し,併発リスクの高い脳血管疾患についても解説を加えることで,より包括的な対応ができるよう配慮しています。

 循環器疾患の薬物療法は,私たち薬剤師の関わり方ひとつで患者さんの予後やQOLを劇的に変える可能性を秘めています。日々身にまとう白衣のポケットに本書を携え,迷ったときの道標として活用していただければ,編者としてこれ以上の喜びはありません。

「循環器疾患に携わるのって面白いよね」

と本書を通じて一人でも多くの薬剤師がそう実感し,自信をもって臨床の場に立てることを心より願っています。

 

芦川 直也

足立 参希

澤田 和久

武田 真央