QbDの考え方を踏まえた

CTD-QとCMC申請資料作成のポイント

¥13,200

●CTD-Q各セクションの記載内容と作成のポイントを学ぶ!
●QbDの考え方を踏まえ、CMC申請資料作成の要点を実務経験から解説!

 
本書は、QbD(Quality by Design)の基本から、デザインスペース、RTRT、CTD-Q(Module 2.3/3)の作成ポイント、承認後の変更管理、ICH Q12まで、CMC申請業務に必要な知識を実務経験に基づき解説する実践書です。CMC薬事担当者が、開発・製造現場や海外サイト、規制当局との円滑なコミュニケーションに必要な考え方を身につけるために役立つ1冊です。
編著
岡崎 公哉、相馬 淳也/著
発行日
2026年10月
判型
B5判
ページ数
424頁予定
商品コード
57478
ISBN
9784840757478
カテゴリ
目次

CONTENTS

 

第1章 医薬品品質保証のパラダイムシフト

 1 医薬品の品質を取り巻く環境とICH

 2 QbD(Quality by Design)のこれまで

 3 ICH Q8とQbD

 4 ICH Q8に基づく品質保証のパラダイムシフト

 5 各開発段階におけるQbD研究の概略

 6 より進んだQbD手法(Enhanced Approach)

 7 デザインスペースとは

 8 重要品質特性(CQA)と重要工程パラメータ(CPP)

 9 より進んだQbD手法におけるデザインスペースの構築

 

第2章 QbDアプローチの事例

 1 より進んだQbD手法におけるデザインスペースの構築

 2 製造工程パラメータにおけるデザインスペースの構築手順

 3 サクラ錠P2モック

 4 サクラ錠P2モックの内容,構成および処方

 5 サクラ錠P2モックの製剤開発戦略

 6 製造工程の開発の経緯

 7 サクラ錠の管理戦略

 8 サクラ錠P3製造の項

 9 サクラ錠の規格及び試験方法

 10 サクラ錠AFモック

 11 QbDアプローチ及びRTRT戦略における研究班の取り組み

 12 サクラ開花錠P2モック

 13 サクラ開花錠の目標

 14 「サクラ開花錠P2モック」製造の項

 15 サクラ開花錠 素錠の製剤均一性試験判定基準

 16 サクラ開花錠P2モック添付資料

 17 サクラ開花錠承認申請書モック

 

第3章 CMC申請資料作成の要点

 1 CTD-Qの構成

 2 CTD-Q 原薬欄記載のポイント~S原薬

 3 CTD-Q製剤欄記載のポイント~P製剤

 A その他,R〜各極の要求資料

 

第4章 国内外のCMC薬事規制の要点

 1 改正薬事法と承認申請書

 2 日米欧でのCMCに係る変更管理の規制

 3  法規制合理化検討プロジェクトとの承認申請書の規格及び試験方法欄

 4 ICH Q12ガイドラインの導入と概要

 5 ICH Q12ガイドライン施行後の国内での課題

 

第5章 CMC薬事規制概論

 1 CMC薬事規制とは

 2 日米欧の承認審査制度の違いとCMC薬事規制の違い

 3 日米欧のCMC薬事規制のハーモナイズ

 4 日本独自の規制について

 5 開発段階における処方変更,生物学的同等性の担保

 6 日本の薬事規制で注意すべき点

序文

 はじめに

 

 本書は2019年から2020年にかけてじほう社PHARM TECH JAPANに掲載された『今さら聞けない「QbDって何?」―医薬品品質保証のパラダイムシフト―』の内容をまとめ直したものである。また,産・官・学のエキスパートからなる厚生労働科学研究班(現AMED研究班)によって作成された国内で初めてのQbDa)アプローチに基づくモデル薬剤「サクラ錠P2モック」及び「サクラ錠AF b)モック」に続いて,「サクラ開花錠P2モック」及び「サクラ開花錠AFモック」を考案した研究班の活動を当時の報告書を引用する形で紹介する。当該研究班は国立医薬品食品衛生研究所(以下,国立衛研)薬品部部長(当時)奥田晴宏先生をはじめとした国立衛研の主たる先生方を主任研究者として2006年から2014年まで研究班メンバーを一新しながら継続された。筆者もほぼすべての研究班の活動に参加した。さらに,筆者の経験に基づきCTD c)品質分野(Module 2.3/3)における各セクションでの記載内容及び留意点をICH d) M4ガイドラインの配列に沿って解説する。最後に,承認後の変更管理システムにおける三極(日米欧)の規制の違いを示すとともに,製品ライフサイクルを通じて,より予測可能かつ効率的な方法でCMC e)に関する変更を行うことが可能となる枠組みの構築を目的として発出されたICH Q12についても解説している。

 筆者は入社以降退職するまで(3社の)外資系企業のCMC部門に所属して主に新薬申請業務に従事した。入社後1990年頃からICHが発足し,三極で共通のデータが使用できるようになるまでは,国内の自社の実験室で分析法の開発や処方検討を行い,そのデータを用いて新薬申請を行っていた。因みに当時はCMCという用語は一般的ではなく,「ロ」,「ハ」項と呼ばれる品質分野の専門家として“ロハ担当者”と称されていた。その後数々のICH-Q(品質分野)ガイドラインが三極で合意され,外資系企業の日本法人の研究所,特に新薬申請に必要なデータを国内で取得する部門は研究所とともに閉鎖されていった。筆者もその時流に飲み込まれていった一人である。一方,その頃からCMCという用語が一般化され,また,ICHの合意に基づき三極で共通のデータが使用できると謳われつつも三極の規制当局(PMDA,FDA,EMA)の考え方の違いにより,しかも特に日本ではCMC(ロハ項の)データは基本的には日本薬局方の理念に基づき取得されるべきであるとの考え方から,日本薬局方に対応した日本独自あるいは追加のCMCデータを取得せざるを得ない場面を多数の外資系企業日本法人のCMC担当者は経験した。そのような背景から,日本においても“CMC薬事担当者”あるいは“CMC薬事部門”が海外親会社あるいは海外研究サイトと主に日本独特のCMC薬事規制(筆者は“Japanese CMC specific regulatory requirement”と表現した)を伝える役割を担う部門が立ち上がった。筆者も典型的なその一人である。

 近年一つのCTD document及びCMC dossierを目指す外資系企業(及び内資企業)が増え,CMC薬事の役割はより重要となってきている。海外とのコミュニケーションにおいて筆者のような企業でのラボ経験者は海外が作成したデータや文書を読み解くこと及び日本独自のCMC薬事規制を伝えることは,実体験に基づくデータ/文書の作成の経験からさほど重労働ではなかったが,最近では大学等研究機関のみでのラボ経験から入社後すぐにCMC薬事部門に所属するというケースもあると伺っている。そのような状況で海外サイトとスムーズなやり取りを行うことが簡単ではないことは容易に想像がつく。筆者自身も本書で説明しているQbD,デザインスペースあるいはRTRT等の新しい概念が導入されたときには実体験なく海外サイトとコミュニケーションを図り,また,規制当局ともやり取りを行うことになり大変苦労した。

 本書は,そのような実際のラボ経験を有しないCMC薬事担当者がラボ実務者と異なった立場で,前述したQbD等について解説している。また,まさにCMC薬事担当者の本業でもあるCTD-Qの作成のポイントも筆者の経験に基づき示している。本書が,そのようなCMC薬事担当者がQbD等を理解する上での一助となれば幸いである。

 なお,本書は2026年8月現在までの情報に基づき執筆しているので,その後の新たな情報については,最新の通知等をご参考いただきたい。

 

 2026年8月

 岡崎公哉