月刊薬事 2026年7月増刊号(Vol.68 No.10)
医師や看護師、患者らからの問い合わせ対応に困ったとき、生成AIに聞いてみたことはありませんか? しかし、生成AIは“それっぽく”回答してしまう「ハルシネーション」がみられることがあり、結局うまく活用できずにモヤモヤした経験がある人も多いのではないでしょうか。
本増刊号では、生成AIへの質問と回答をDIの専門家に渡し、間違っている情報や不足している情報は何か、生成AIだからこそ回答できた情報は何か、DI担当者の視点からエビデンスに基づき回答内容を徹底検証してもらいました。さらに、回答精度が高まる追加質問の仕方や、使用するツールの工夫なども提示。生成AIの得意分野・苦手分野を知ることで、上手に活用するための道筋が見えてきます。検証過程は、生成AIを使うかどうかに限らず、DI術を学びたい人にとっても必見です。
昨今の生成AI時代、DI業務に生成AIを使わない手はありません。「あわせて使う!」がこれからの新常識です。
第1章 生成AIを使うときの基本的な考え方
1.生成AIをどのように「あわせて」使うのか? 若林 進
2.生成AIにはどのようなものがある? 使い方の注意は? 佐藤 弘康
3.薬学部での生成AI教育はどうなっているのか? 酒井 隆全
第2章 生成AIの回答をファクトチェックしてみよう
1.製剤特性に応じた使い分け 山本 佳久
2.経管投与の粉砕可否 太田 美鈴
3.バイオ医薬品の持ち歩き 若林 進
4.褥瘡に対する外用剤選択 飯塚 雄次
5.妊婦に対する薬剤選択 小原 拓
6.HIV治療薬の服薬指導 稲村 由香
7.糖尿病の薬剤選択 木村 好伸
8.緩和ケアのオピオイドスイッチング 田島 紳介
9.抗菌薬のTDM 木村 利美
10.健康食品・サプリメントの術前休薬 清宮 啓介
11.睡眠薬の増量 別所 千枝
12.BPSDへの追加処方 武藤 浩司
13.喘息の吸入剤選択 中田 英夫
14.がん患者への服薬指導 平岡 知子
15.皮下注射抗がん薬の副作用対応 橋口 宏司
16.術後悪心・嘔吐への予防投与 鈴木 信也
17.尿路感染症の抗菌薬選択 上ノ段 友里
18.小児のPPI選択 大庭 理寛
19.高血圧の薬剤選択 荒 義昭
20.心不全の薬剤選択 磯貝 一成
21.救急センターからの注射処方 佐々木 祐樹
22.透析中の鎮咳薬処方 町谷 安紀
付録 DI業務で押さえておきたい参考Webサイト
生成AI時代の情報確認に役立つ情報源 大幸 淳
序
皆さんは話題の「生成AI」,使っていますか?
近年,ChatGPTをはじめとする生成AIは,文章作成,要約,翻訳,情報整理,アイデア出しなど,さまざまな場面で利用されるようになりました。医療現場においても,診療記録の整理,患者説明文書の作成,論文検索の補助,教育資料の作成など,活用の可能性が広がっています。薬剤師業務においても例外ではなく,日々の問い合わせ対応や医薬品情報の確認において,「生成AIに聞いたら,どの程度答えられるのだろうか」と感じたことのある方も少なくないのではないでしょうか。
一方で,薬剤師に寄せられる問い合わせは,単に“もっともらしい回答”が得られればよいわけではありません。薬剤名,用法・用量,相互作用,禁忌,妊娠・授乳,腎機能や肝機能に応じた投与設計,副作用への対応など,万が一間違えれば,医療安全に直結する内容が多く含まれます。回答には正確性だけでなく,根拠の明確さ,情報源の妥当性,最新性,そして臨床状況に応じた解釈など,薬の専門家である薬剤師としての専門性も求められます。生成AIは自然な文章で回答できる一方で,誤った内容を自信ありげに示すことや,根拠が曖昧なまま一般論を提示することもあります。そのため,生成AIの回答をどのように評価し,どのように活用すべきかを考えることが重要です。
本号では,実際に薬剤師が受けるような問い合わせを題材に,生成AIがどのような回答を示すのかを確認し,その有用性と限界を検討します。単に「使える」,「使えない」と判断するのではなく,「どのような質問では役立ちやすいのか」,「どのような場面では注意が必要なのか」,「薬剤師が確認すべきポイントはどこにあるのか」を整理していきます。
生成AIは,薬剤師の判断を置き換えるものではありません。しかし,適切に使えば,情報整理や論点抽出を支援する有用な道具となる可能性があります。これからの薬剤師業務において,生成AIとどのように向き合い,患者安全に資する形で活用していくのか。本号が,その第一歩を考えるきっかけとなれば幸いです。
2026年7月
杏林大学医学部付属病院薬剤部 薬剤科長 若林 進
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医師や看護師、患者らからの問い合わせ対応に困ったとき、生成AIに聞いてみたことはありませんか? しかし、生成AIは“それっぽく”回答してしまう「ハルシネーション」がみられることがあり、結局うまく活用できずにモヤモヤした経験がある人も多いのではないでしょうか。
本増刊号では、生成AIへの質問と回答をDIの専門家に渡し、間違っている情報や不足している情報は何か、生成AIだからこそ回答できた情報は何か、DI担当者の視点からエビデンスに基づき回答内容を徹底検証してもらいました。さらに、回答精度が高まる追加質問の仕方や、使用するツールの工夫なども提示。生成AIの得意分野・苦手分野を知ることで、上手に活用するための道筋が見えてきます。検証過程は、生成AIを使うかどうかに限らず、DI術を学びたい人にとっても必見です。
昨今の生成AI時代、DI業務に生成AIを使わない手はありません。「あわせて使う!」がこれからの新常識です。
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