AMR対策につながる 抗菌薬の使い方実践ガイド

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月刊薬事 2018年1月臨時増刊号(Vol.60 No.2)

AMR対策につながる 抗菌薬の使い方実践ガイド

商品コード 93525
編著 北原 隆志 長崎大学病院薬剤部 副薬剤部長
浜田 幸宏 東京女子医科大学病院 副薬剤部長
松元 一明 慶應義塾大学薬学部薬効解析学講座 教授
村木 優一 京都薬科大学臨床薬剤疫学分野 教授/編
判型 B5判
発行日 2018年1月
ページ 240頁
定価 ¥3,960(税込)
在庫 品切れ

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内容

本書でわかる4つのこと
◎AMR対策のために効果的な戦略・取り組み
◎抗菌薬を使いこなすための基本
◎臨床で問題となっている耐性菌の特徴
◎耐性菌抑制に向けた抗菌薬の実践的な使い方


世界的な取り組みとともに、日本でも関心が高まっている薬剤耐性(AMR)。抗菌薬適正使用のために正しい知識と戦略をもつことが欠かせません。本書では「耐性菌」と「抗菌薬」という2つのキーワードを軸に、感染症に関わるすべての医療者が知っておきたい耐性菌の特徴や抗菌薬の使い方のポイントを解説します。

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目次

第1章 AMR対策のために知っておきたいこと
1 AMRの現状と薬剤師ができること
藤友結実子、具 芳明
2 薬剤耐性のメカニズムを理解する
金子幸弘
3 抗菌薬適正使用のためのAntimicrobial Stewardship Programs
前田真之
4 薬剤感受性結果の読み方・活かし方
笠原 敬
5 耐性菌サーベイランスの方法と活用のコツ
山本 剛
6 抗菌薬使用モニタリングの方法と活用のコツ
丹羽 隆、村上啓雄
7 AMRと医療経済の関係について考える
赤沢 学
 
第2章 抗菌薬を使いこなすための基本と実践
1 抗菌薬のPK/PDで大事なポイントのおさらい
猪川和朗
2 培養検査の基本と落とし穴
清水博之、木田沙緒里、椙山聡一郎、築地 淳
3 De-escalationできる時、できない時
竹内 萌、國島広之
4 投与期間をチェックしよう
山田智之
5 高齢者への抗菌薬投与で気をつけたいこと
松元一明
6 小児への抗菌薬投与で気をつけたいこと
庄司健介
7 抗菌薬の予防投与で気をつけたいこと
高橋佳子
8 発熱の原因がわからないときの抗菌薬投与の考え方
浦上宗治、青木洋介
9 服薬アドヒアランス向上に向けた患者指導
小林昌宏
 
第3章 耐性菌の特徴と治療のポイント
1 ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)
小倉 翔、荒岡秀樹
2 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
関 雅文
3 多剤耐性緑膿菌(MDRP)
藤村 茂
4 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)
井口光孝、八木哲也
5 多剤耐性結核菌
八木光昭、小川賢二
6 その他の耐性菌
松本哲哉
 
第4章 耐性菌抑制のための抗菌薬の実践的使い方
1 ペニシリン系薬
浜田幸宏
2 セフェム系薬(経口)
原田壮平
3 セフェム系薬(注射)
原田壮平
4 カルバペネム系薬
西 圭史
5 マクロライド系薬
佐村 優
6 ニューキノロン系薬
野口雅久
7 抗結核薬
平井 潤

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序文

薬剤耐性(antimicrobial resistance;AMR)を巡っては、WHOが2011年、世界的な取り組みの必要性を訴えたことを契機に国際的な議論が起こり、2015年の世界保健総会では「AMRに関するグローバル・アクションプラン」が採択されました。同プランは加盟各国に対し、2年以内に自国の行動計画を策定するよう求めており、これを受ける形で日本でも2016年4月に「AMR対策アクションプラン」(以下、アクションプラン)が発表されたことは読者の多くの方々もご存知だと思います。このアクションプランは、①普及啓発・教育、②動向調査・監視、③感染予防・管理、④抗微生物薬の適正使用、⑤研究開発・創薬、⑥国際協力の6項目に分かれていますが、いずれも耐性菌対策にとって必須の事項であり、1つでも欠落してしまえば達成が困難になることは明らかです。特に④抗微生物薬の適正使用は、耐性菌の抑制において極めて重要であり、薬剤の選択から投与法・投与量の決定まで理論的な判断がますます求められています。
AMRは今日、感染症診療における身近な脅威として注目されています。耐性菌は医療関連感染症の増加とあいまって広がってきましたが、近年では市中感染でも大きな問題となっています。日本の場合、海外と比較して抗菌薬使用量は多くないものの、マクロライド系薬や第三世代セファロスポリン系薬など新規の広域抗菌薬の使用量が多いことや、外来で小児に対する処方頻度が多いことがアクションプランで述べられています。経口抗菌薬の使用量が注射薬を大きく上回っていることも特徴です。
こうした現状は以前から認識されており、病院では抗菌薬の届出制や許可制などの規制を行うとともに、行政も1996年度の「院内感染防止対策加算」新設以来、感染防止対策を強化してきました。にもかかわらず、AMRに対して思うような効果はあがっていないのが実情です。そこで近年、世界的にも取り組みが進んでいるのが抗菌薬適正使用支援(Antimicrobial Stewardship;AS)です。
ASの詳細は本書で解説されているのでそちらに譲るとして、AS成否の大きなカギを握るのが薬剤師です。2017年夏に8学会が合同発表した「抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス」では、ASを実践するチームのリーダーを医師とともに薬剤師が担うことが明記されています。具体的に、薬剤師はTDMやPK/PDに基づいた適切な用法・用量を処方医に提案し、治療終了までフォローアップすることが求められています。治療効果を得ることを大前提に、いかに患者にとって安全で、かつ耐性菌の増加を抑える抗菌薬の使い方ができるか、まさに腕の見せ所といえます。
以上を踏まえ本書では、①AMR対策のために効果的な戦略・取り組み、②抗菌薬を使いこなすための基本、③国内で問題となっている耐性菌の特徴、そして④耐性菌抑制に向けた抗菌薬の実践的な使い方を、ご専門の先生方に平易に解説していただきました。中小規模病院などでは感染症について身近な相談相手がいないことも多いと思いますが、本書には現場で役立つ知識やヒントが随所に散りばめられています。アクションプランでも、感染症対策の専門家が国内に数少ないことから教育・研修の充実がうたわれており、本書がその一助になれば編者としても幸いです。

編者を代表して
東京女子医科大学病院 副薬剤部長
浜田 幸宏

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