臨床検査専門医が教える 異常値の読み方が身につく本

立ち読み

臨床検査専門医が教える 異常値の読み方が身につく本

商品コード 50226
編著 村上 純子/著
判型 A5判
発行日 2018年2月
ページ 280頁
定価(税込) ¥3,672
在庫

facebook twitter

カートに入れる

  • 内容
  • 目次
  • 書評
  • 序文
  • 関連商品

内容

●専門医だから教えられる検査値の読み方、異常値・パニック値の判断のコツ
●ケーススタディ形式だから、ずらっと並んだ検査項目を関連づけて読み解くスキルが身につく
●全医療者向け。疾患の鑑別、薬の効果・副作用の判断、患者アセスメントの質が上がる


「ALTが高いから肝臓が悪そう」「BUNが高いから腎障害」…そんな通り一遍の見かたをしていませんか? 現場で必要なのは、複数の検査値を関連づけてとらえ、異常値のメカニズムから疾患を推測し、鑑別のためさらに必要な検査を考える、といった総合的な“検査力”です。
本書はそうした検査値の読み方、異常値・パニック値の判断のコツを、臨床検査の専門医がわかりやすく解説。検査項目を列挙して説明する従来型の本とは違った、臨床直結型の読み方が身につきます。

▲ページの先頭へ

目次

総論  検査に関する基本的な知識
Lesson1  尿・血算・生化学検査の基本を理解する
Lesson2  血算のパニック値とそのメカニズムとは
Lesson3  肝機能を正しく評価するためのアプローチ
Lesson4  メカニズムから考える凝固・線溶系
Lesson5  “腎臓からの手紙”尿検査に強くなる
Lesson6  一歩踏み込んで考える血糖とHbA1c
補講  これだけは知っておきたい血ガスの読み方

検査値の推移をみるシリーズ
Lesson7  白血球・CRPの陥りがちなピットフォール
Lesson8  カンファレンス実況中継① 若年女性の異常値をどう捉えるか
Lesson9  短時間で検査値が急変化…そのとき何を考える?

小児・高齢者シリーズ
Lesson10 小児の検査値の読み方はじめの一歩
Lesson11 高齢者の高蛋白血症ときたら外せない鑑別は?

Lesson12 何気ない貧血を見過ごすと痛い目に!
Lesson13 カンファレンス実況中継② 再び、若年女性の異常値をどう捉えるか
Lesson14 腫瘍マーカーの陥りがちなピットフォール

臨床推論能力を鍛えるシリーズ
Lesson 15 貧血のタイプをどう絞り込むか
Lesson 16 病態のキモはどこ? データの変化を読み解こう
Lesson 17 救急受診のケース…速やかにBestの決断を!
 

▲ページの先頭へ

書評

高木 康先生(昭和大学副学長・特任教授)

 本書の著者の村上純子先生は「臨床検査値のウラとオモテ」を理解する数少ない“真の臨床検査専門医”の一人であり、検査値のもつ深い意味を読み解くことのできる専門医です。
 RCPC(Reversed Clinico-Pathological Conference)は、1965年に日本臨床病理学会(現・日本臨床検査医学会)関東支部例会で初めて企画され、そのときの演者のお一人である河合忠博士(元・日本臨床病理学会会長)が1967年から日本大学医学部臨床病理学教室(現・臨床検査医学)での卒前教育に導入されたのが先駆けです。村上先生はその教室に在籍し、RCPCのノウハウを修得するとともに、この素晴らしい教育技法を全国に普及させたお一人です。
 本書はこのRCPCの優れた点を活かすとともに、村上先生が極めたRCPCの奥義を読者に伝授することで、読者は臨床検査異常値の読み方を身につけることができます。本書は『解説の前に』、『○○検査はどう読む?』、『○○検査からわかったこと』、『この症例の疾患・病態』、『プラスαの解説』、『まとめ』で構成されています。従来のRCPCにはなかった『解説の前に』には、村上先生のRCPCに対する「思い入れ」があります。「基準範囲」、「パニック値」、「検査値の推移」、「小児の基準範囲」、「臨床推論」、そして「臨床検査医」など、そのLessonにあわせた村上流イントロが記載されていて、読みごたえ十分な内容です。『プラスαの解説』には治療や臨床経過、そのLessonでのワンランク・アップ(new heights)の知識を提供しています。
 本書は最初から順に読んでも十分な知識を得ることができるのですが、Lesson8と13の「RCPCの実況中継」を最初に読むことをお勧めします。これがRCPCの本懐です。このようなトレーニングを積むことで、最初は初年次であっても、中堅、さらにはベテラン、そしてついには村上先生のような異常値の読み方を身につけていってください。
 現在は「チーム医療」、「多職種連携医療」の時代です。医師、薬剤師、看護師、検査技師、放射線技師、理学療法士、作業療法士などの医療スタッフに本書のご一読をお勧めします。臨床検査データはデジタル情報です。異常値を読み解く能力を身につけて、医療チームでのカンファレンスに積極的に参加し、患者の診療に役立ててください。
 
松原 和夫先生(京都大学医学部附属病院 薬剤部長・教授)
 昨今、外来や病棟で薬剤師を見かけることがあたりまえのようになってきた。薬剤師が患者さんの治療について医師や看護師などの医療スタッフと協議する場面が日常となっている。もちろん,患者さんに処方された薬剤が適切な量なのか,それによって有害反応が出ていないかなど,処方監査を行ううえで検査値を参照することは不可欠である。そのため多くの検査の基準値については,病院の薬剤師は知識をもつようになってきた。しかし検査値を読むということは,何が患者さんに起こっているのかの「謎解き」である。薬剤師にあっては,処方された薬剤との関連から検査値データの「謎解き」が必要である。それができてやっと薬剤師も真のチーム医療の一員となれると思う。
 その学習の手助けとして,本書はたいへんすばらしい参考書といえる。検査値をみる視点を学習することができる。病院勤務が間もない薬剤師のみならず,すでに病棟で活躍している薬剤師にも,患者さんの病態と検査値を理解するために本書をぜひ勧めたい。膨大な数値の羅列ではなく,読みやすくコンパクトにまとめられた良書である。
 また,検査値が印字あるいは添付された処方箋の発行も全国的に拡大し,検査値を読む力が保険調剤を行う薬局薬剤師にも必要とされるようになってきた。単に基準値を覚えるのではなく,検査データを理解することによって「かかりつけ薬剤師」として患者さんに信頼される薬剤師となれる。「かかりつけ薬剤師」を目指す多くの薬局薬剤師にとって,本書はたいへん役に立つであろう。
 
常名 政弘先生(東京大学医学部附属病院検査部)
 日当直を担当・中堅の臨床検査技師は必読! 日常検査や日当直でよく遭遇する症例の検査結果の読み方が身につく一冊です。
 臨床検査結果の見方に関する書籍はよく目にしますが、それらには検査項目ごとの検査の意義や異常値を示す疾患が記載されており、実際に診断・治療ができるように至るまでの書籍はあまり目にしません。一方、本書は具体症例をあげ、ポイントとなる項目のデータから何を考えるかが簡潔にまとめられ、疾患による異常値の出るメカニズムや診断に至るまでのプロセスがわかりやすく書かれています。
 前半は、代表的な疾患の検査データから尿検査、血球計数検査、血液生化学検査、免疫血清検査のデータの読み方について図や表、写真やイラストを用いて、わかりやすく解説されています。検査項目一つひとつについての説明のほか、他の検査項目との関連(AST/ALT、LD/ASTなど)や減少(増加)するメカニズム、診断のためのポイント、さらにプラスαの解説として専門的な内容がコンパクトにまとまっています。また、教科書のような説明ではなく、現場で実際に著者と対話しているような形式で、臨床検査技師には実践的な内容となっています。白血病、糖尿病、肝疾患、内分泌異常、膠原病、がん、心臓病、敗血症など多種多様な疾患に関連する専門的な知識のほかに、幅広い知識も必要であることがわかります。
 後半は、著者の所属施設で行っているカンファレンス(reverse clinic-pathological conference;RCPC)の実況中継や“腫瘍マーカーのピットフォール”、“CRPが上がっていない=炎症がないではない”など、教科書には掲載されていないが実際の現場ではよく遭遇する現象について、理由も含めて解説され、実践的な内容となっています。
 現在の医療における臨床検査技師の現場では、医師から依頼された項目の検査のみをしている時代から、チーム医療の必要性により、技師が検査データを理解して、必要であれば診断・治療ができるまでの追加検査を臨床医にアドバイスできることが求められる時代に変化してきています。近年の検体検査(特に臨床化学)は自動化が進み、ボタンを押せば誰でも同じ結果が得られ、若い臨床検査技師にとっては魅力がないような印象です。しかし本書を読むこと、本書で紹介したようなRCPCの手法を通じて検査データの読み方を身につけることにより、臨床検査の面白さが理解できるのではないでしょうか。
 
滝口珠子先生(公益社団法人東京都看護協会 教育部研修係)
 検査データに関する書籍といえば「循環器系」、「消化器系」、「呼吸器系」等々、領域ごとに関連する検査データがずらりと並び、異常値か正常値か、そのデータの発生機序は…といった従来の内容を想像されるのではないでしょうか。
 本書はこれまでのそんな書籍とは一線を画しています。例えば、全身倦怠感や腹部膨満感をもつ65歳女性の「尿検査」、「血球計数検査」、「血液生化学検査」等々のデータが示され、「この所見からどういう病態が読み取れるか」というアプローチで読み進めていきます。こうした症例がいくつか提示され、読者がアセスメントしつつ、患者の状態を適切にとらえるためのポイントや思考過程を学べる内容になっています。
 私の所属する組織でも、本書の著者で臨床検査専門医である村上先生を講師にお招きし、検査データに関する研修を3年にわたり開催してきました。村上先生は平易な言葉で検査データの基礎知識をご講義くださり、その後、ある疾患をもつ患者の検査データを示しながら、何が考えられるかを受講生に問いかけるようにお話ししてくださいました。先生の柔らかくしなやかなお人柄も相まって、この研修はたいへんご好評をいただき、おかげさまでいつも満員御礼、非常に満足度の高い研修となりました。
 村上先生は「検査データは雄弁で、患者さんに起こっていることを語ってくれる。データを味方につけて、とことん考え抜いてください」と述べておられます。昨今求められる看護実践能力の一つに「臨床推論」があげられますが、今後検査データの読み取りはますます必要なスキルになっていくでしょう。これまで検査データに何となく苦手意識があった方も、その奥深さや面白さに気づくことができるのではないでしょうか。

 

▲ページの先頭へ

序文

 検査は誰が何のために行うのでしょうか?
従来から、検査は、医師が医療の現場で、患者さんの疾患や病態を「診断するために」あるいは「治療を行うために」あるいは「経過観察のために」実施するものでした。検査データは診療録(カルテ)に綴じ込まれ、医師の手もとにありました。
私は、1996年に“臨床検査専門医”という認定資格を取り、約20年間、検査の業界にいるのですが、特にここ数年、医学生や研修医だけでなく、看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士、栄養士など、多職種のメディカルスタッフから「検査データが読めるようになりたい」という要望の声を聞くことがすごく多くなったように感じています。なぜでしょうか?
その理由の一つは、チーム医療の必要性・重要性が、医療現場だけでなく、社会全体に理解されてきたことでしょう。チーム医療とは「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と定義されています。メディカルスタッフが医師とともに医療に深く関わる場面は今後ますます増加するものと思われます。
もう一つの大きな理由は、電子カルテの普及でしょう。電子カルテシステムへのアクセス権さえあれば、いつでも、どこからでも、患者さんの検査データを見ることができますので、熱心なメディカルスタッフがそのデータを業務に活かすために「解釈する能力を習得し、医師とディスカッションできるようになりたい」と考えるのはもっともなことです。医師もうかうかしていられません。
では、どのようなトレーニングを積めば、検査データを的確に解釈する力がつくのでしょう。検査の本を読んで勉強すればよいのでしょうか?

 書店の医学書コーナーには、検査関連の本がたくさん並んでいます。インターネットの大手書籍通販サイトで「検査医学」と検索したら、約6,000件ヒットしました。よりどりみどりですが、実はどれも似たりよったりで、目の前の患者さんの診療に本当にピタッとくる本はあまりないように、私は思っています。
どの本もたいてい、検査項目ごとに、その検査の意味、異常値を示す疾患・病態がずらずら…と記載してあります。例えば、ALTが高値を示すのは急性肝炎、慢性肝炎、劇症肝炎、アルコール性肝炎、薬剤性肝障害……のように。
しかし、臨床の現場で必要なのは、同時に複数の検査が異常値を示している目の前のこの患者さんについて、何が起こっているのだろう、可能性がある病態を鑑別するためには何をみればいいのだろう、この後どうなっていくのか判断するためにはどの検査データを追っていけばよいのだろう…というような見方です。いわゆる検査本…検査項目列挙・解説型の本が、このような検査データの「読み方(解析)」と「考え方(解釈)」を習得するのに適しているとは思えません。
そこで、「the 検査力in現場」を涵養するために、これまで主に医学生や研修医を対象とする検査医学教育において実施されてきたReversed ClinicopathologicalConference(RCPC)の技法を用いてみてはどうかという企画が持ち上がりました。
臨床の現場では、まず患者さんからよく話を聞き(医療面接)、身体所見を十分に把握し(身体診察)、それから検査計画を立てますが、RCPCでは、ほぼ検査の結果のみから患者さんの病態解析を試みます。ちなみに“reverse”とは、裏返すとかひっくり返すという意味です。
これまでRCPCを経験したことがない読者は、普段「大切にしなさい」と言われている医療面接や身体診察の情報なしに、検査の数値だけであれこれ考えるのは邪道のような気がするかもしれません。しかし、RCPCは、合理的な検査成績の読み方(=臨床推論能力)を習得することを目的とした、確立した学習法です。同時に、検査成績から病態解析ができる範囲や限界を自覚することも学習目標の一つです。

 本書の編集方針は、1症例だけをピックアップして読んでも一通りの理解が可能なよう、「一話完結」としました。読み進めるうちに、「また同じことが書いてある」と感じることがあるかもしれませんが、「何回も出てくるのはとても重要なことなのだ」と受け止めていただきたいと思います。

埼玉協同病院臨床検査科 部長
村上純子

▲ページの先頭へ


関連商品

  • 小児の臨床検査基準値ポケットガイド 第2版
  • 在宅医療チームのための臨床検査
  • 臨床検査値ハンドブック 第3版
  • 続 処方せん・店頭会話からの 薬剤師の臨床判断
  • 検体測定室ハンドブック
  • 薬剤師のための臨床推論
  • 健康サポート薬局・かかりつけ薬剤師のための 臨床判断ハンドブック
  • 検査値×処方箋の読み方
  • 改訂6版 薬剤師のための臨床検査の知識
  • くすりでひける臨床検査
  • 一発解決 パニック値(像)と遭遇したときの対処法
  • 「あ、検査値が変わった」そのとき、薬のリスクは?

▲ページの先頭へ