薬学生・薬剤師レジデントのための
感染症学・抗菌薬治療テキスト 第2版
商品コード |
51148 |
編著 |
二木 芳人/監
石井 良和、藤村 茂、前田 真之/編 |
判型 |
B5判 |
発行日 |
2018年8月 |
ページ |
536頁 |
定価 |
¥4,600 +税 |
在庫 |
|
内容
●最新情報にアップデート!改訂でより使いやすく読みやすい
●臨床感染症の基本から実践まで薬学生や若手の頼れる1冊
臨床感染症の標準的治療と抗菌薬の使い方について解説した好評テキストの改訂版が出来ました。平易な解説は変わらずに、初版の発刊から3年の間に新しくなったガイドラインやエビデンスに基づいて内容をアップデートし、取り上げる疾患・薬剤も増えて、ますます使いやすくなりました。改訂 薬学教育モデル・コアカリキュラムにも準拠し、大学での講義、実習から臨床現場での実践まで頼れる1冊です!
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目次
第1章 感染症治療の基本原則
1 診断から治療までのプロセス
1 感染症治療の基本プロセス
2 抗菌薬治療の原則
3 PK/PD 理論
2 感染症に関連する検査
1 検査の基本
2 代表的な検査の概要と結果の解釈
第2章 臓器・症候別感染症
1 呼吸器感染症
1 気道感染症
2 肺炎
3 肺結核
4 肺化膿症
5 肺アスペルギルス症・肺クリプトコックス症
6 インフルエンザ
2 消化器感染症
1 腸管感染症・食中毒
2 腹膜炎
3 胆嚢炎・胆管炎
4 ウイルス性肝炎
5 その他の消化器感染症
3 皮膚・軟部組織感染症
1 伝染性膿痂疹
2 丹毒、せつ・よう、毛嚢炎
3 蜂窩織炎
4 壊死性筋膜炎
5 単純ヘルペス、水痘・帯状疱疹
6 ハンセン病
7 尋常性ざ瘡
8 皮膚真菌症
9 疥癬
4 筋・骨格感染症
1 骨髄炎
2 関節炎・脊椎炎
5 尿路・泌尿器感染症
1 膀胱炎
2 腎盂腎炎
3 骨盤内炎症性疾患
6 性感染症
1 性器クラミジア感染症
2 淋菌感染症
3 性器ヘルペスウイルス感染症
4 性器パピローマウイルス感染症
5 性器カンジダ症
6 腟トリコモナス症
7 軟性下疳
8 梅毒
7 中枢神経感染症
1 髄膜炎
2 脳膿瘍・脳炎
3 クロイツフェルト・ヤコブ病
8 心・血管系感染症
1 感染性心内膜炎
2 菌血症/血流感染症・敗血症
3 結膜感染症
9 眼感染症
1 眼瞼感染症
2 涙器感染症
3 結膜感染症
4 角膜感染症
5 眼内感染症
10 耳鼻咽喉感染症
1 中耳炎
2 副鼻腔炎
3 耳下腺炎
11 HIV感染症/後天性免疫不全症候群
1 HIV感染症/後天性免疫不全症候群(AIDS)
2 サイトメガロウイルス感染症
3 トキソプラズマ症
4 ニューモシスチス肺炎
12 全身感染症、その他の感染症
1 マラリア
2 ジフテリア
3 破傷風
4 劇症型A群β溶血性レンサ球菌感染症
5 新生児B群レンサ球菌感染症
6 麻疹
7 風疹
8 伝染性紅斑
9 手足口病
10 突発性発疹
第3章 感染症治療薬
1 β-ラクタム系薬の使い方
1 ペニシリン系薬
2 セフェム系薬
3 モノバクタム系薬
4 カルバペネム系薬
2 テトラサイクリン系薬の使い方
1 テトラサイクリン
2 ドキシサイクリン
3 ミノサイクリン
4 チゲサイクリン
3 マクロライド系薬の使い方
1 エリスロマイシン
2 クラリスロマイシン
3 アジスロマイシン
4 リンコマイシン系薬の使い方
1 クリンダマイシン
5 アミノグリコシド系薬の使い方
1 ゲンタマイシン
2 アミカシン
3 アルベカシン
4 トブラマイシン
6 キノロン系薬の使い方
1 シプロフロキサシン
2 レボフロキサシン
3 パズフロキサシン
4 モキシフロキサシン
5 シタフロキサシン
6 ガレノキサシン
7 グリコペプチド系薬の使い方
1 バンコマイシン
2 テイコプラニン
8 オキサゾリジノン系薬の使い方
1 リネゾリド
9 環状リポペプチド系薬の使い方
1 ダプトマイシン
10 抗結核薬の使い方
1 リファンピシン
2 イソニアジド
3 ピラジナミド
4 エタンブトール
5 ストレプトマイシン
11 サルファ剤(ST合剤)の使い方
1 スルファメトキサゾール・トリメトプリム
12 その他の抗感染症薬の使い方
1 メトロニダゾール
2 ホスホマイシン
3 コリスチン
13 抗真菌薬の使い方
1 アムホテリシンB
2 アムホテリシンBリポソーム製剤
3 フルコナゾール
4 ホスフルコナゾール
5 イトラコナゾール
6 ボリコナゾール
7 ミカファンギン
8 カスポファンギン
9 フルシトシン
10 テルビナフィン
11 ペンタミジン
12 アトバコン
14 抗ウイルス薬の使い方
1 抗ヘルペスウイルス薬
2 抗サイトメガロウイルス薬
3 抗インフルエンザウイルス薬
4 抗肝炎ウイルス薬
5 抗HIV薬
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序文
今日、感染症の診療を取り巻く環境は大きく変貌しつつある。エボラ出血熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)あるいはジカウイルス感染症などの各種新興・再興感染症もわれわれのすぐ身近に感じられるようになり、とりわけわれわれ医療従事者にとって大きな問題となっているのが薬剤耐性菌感染症の増加である。各種薬剤耐性菌は、もはや院内感染の問題にとどまらず、各科領域のさまざまな市中感染でも大きな脅威となりつつある。20世紀後半の抗菌薬開発の黄金時代はすでに過去のものとなり、新規抗微生物薬の開発はこの十数年停滞しており、われわれには手持ちの抗微生物薬をいかに使いこなすかの知識や技量が求められるようになっている。
このような観点から、感染防止対策や抗菌薬適正使用推進の担い手である感染管理認定看護師(ICN)や感染症専門医(ID)はそのニーズの著しい高まりを見せており、感染制御専門(認定)薬剤師(BCICPS)もその例外ではない。むしろ抗菌薬適正使用推進活動の中核は、感染症や感染制御に十分な知識や技量をもつ薬剤師であるといっても過言ではない。薬学教育が6年制に移行した今日、薬剤師にもさまざまな臨床分野での専門性の発揮には大きな期待が寄せられており、感染症領域はそのなかでも特に薬剤師の活躍が期待されるものの一つである。そのためには、薬剤師の本来の守備範囲である感染症の薬物療法に関わる部分にとどまらず、感染症そのものの原因や病態の理解をさらに進め、感染症患者のトータルケアを目指していただく必要があると思われる。それによって、薬剤師は感染対策チームのみならず、病棟で患者の診療に関わる医療チームのなかでその存在感を増すであろう。
2018年の4月から、診療報酬上の感染防止対策加算の要件が見直され、抗菌薬適正使用支援加算が追加された。これはいわゆる抗菌薬適正使用支援プログラム(Antimicrobial Stewardship Program;ASP)を、感染防止対策加算1を申請しているレベルの病院で推進させるための施策であり、欧米では1990年代から取り組まれているものである。これに伴って、すでに多くの医療機関がこれに取り組み、そのなかで施設基準として設置が義務づけられている抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team;AST)を立ち上げつつある。
ASTには1名のチーム専従者を置くことが求められているが、欧米ではその任は間違いなく薬剤師が担っており、わが国でもASTの専従者、あるいはチームリーダーは薬剤師であることが望ましいと考えられている。
本書は、このように将来期待の大きい感染症の専門薬剤師を目指す薬学部の学生や若手薬剤師諸氏にとって、習得すべき感染症の知識や技術を幅広く基礎から臨床まで網羅したテキストであり、わが国を代表する感染症の専門家によって執筆されたものである。いわば感染症を専門とする薬剤師のバイブルとしても位置づけられるものと考えている。ぜひ十分に活用していただき、感染症の専門薬剤師としてのさらなる高みを目指していただきたい。
二木 芳人
昭和大学医学部内科学講座臨床感染症学部門 特任教授
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